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政府委員会、米国の鉄道回廊を再構築するために1億1700万ドルを提案

2021.07.16 10:00

 米国政府の委員会は、2035年までに1,170億ドルを投じてボストン - ワシントンD.C.間を結ぶ米国で最も交通量の多い鉄道路線「北東回廊(Northeast Corridor)」を再構築し、所要時間の短縮と輸送能力の増強を図る計画を提案した。

 北東回廊委員会(Northeast Corridor Commission)の声明によると、ニューヨークやフィラデルフィアを含む北東部の主要都市を通るこのルートは、1日に約80万人の乗客が利用しているという。

 この計画により、渋滞したアメリカの道路からより多くの自家用車を取り除き、飛行機での移動を一部なくすとともに、気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を削減することができると擁護派は主張している。

 同委員会は、州、連邦、全米鉄道旅客公社「アムトラック(Amtrak)」の旅客鉄道関係者で構成されているが、必要な資金のうち170億ドルしか確認できていないという。この委員会は、未達成の1,000億ドルの費用は、連邦政府とルートが通過する州とで分担するとしている。

 議会によって設立された北東回廊委員会は、北東部の州政府、連邦政府、8つのコミューター鉄道機関、アムトラックが「150のプロジェクトをカバーするインフラ投資の詳細かつ効率的な順序を開発する」ために働いたと述べた。

 整備内容は、線路、トンネル、橋、駅などの修理やアップグレードで、列車のサービスを大幅に向上させることができるという。

 利用者の多い路線のインフラの多くは老朽化しており、交換が必要とされる。ニューヨークとニュージャージーを結ぶ、111年の歴史を持つ重要なハドソントンネル(別名:ノースリバートンネル)は、2012年のスーパーストーム「サンディ(Sandy)」で損傷していた。

 提案されている工事によって2035年までに、ワシントンからニューヨークまでの高速列車「アセラ(Acela)」の平均所要時間約3時間が30分近く短縮され、ニューヨークからボストンまでの所要時間は3時間半強となる。また、アムトラックでは、この回廊に沿って、より低速の「ノースイースト・リージョナル(Northeast Regional)」列車を低価格のチケットで運行している。

 総延長457マイル(735km)の北東回廊を改良すると、現在の32ルートマイル(52km)で時速150マイル(240kph)で走行できる列車が、132マイル(258km)で時速160マイル(258km)で走行できるようになる。

 連邦鉄道局(Federal Railroad Administration)の副局長であり、委員会の共同議長でもあるボビー・ベイカー(Bobby Baker)氏は、「この計画は、経済が完全に回復したときの新しい旅行パターンをサポートするものです」と述べている。

 連邦議会で検討されている超党派のインフラ整備計画では、高速鉄道を含む既存の鉄道網を修復・拡張するために、旅客・貨物鉄道に660億ドルを拠出することになっている。

 アムトラックは4月、北東回廊の整備のために5年間で310億ドルを議会に要求した。アムトラックは、全米に拡大し、2035年までに39もの新しい回廊ルートと166の就航都市を追加したいと考えている。