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yoyo

明石散策

2021.07.16 15:00

某キャラクターのコンサートを見に明石へ行く。上演中、子どもはほとんど真顔だった。家で踊っている歌が流れても、「手をあげて」と呼びかけられても動かない。たまに笑ったり、照明が天井を照らしたりするのを指さしたり、キョロキョロするほかはだいたいそうだった。

けれども終わってキャラクターたちが捌けていってしまったあと、寂しくなったのかみるみるうちに顔に皺がいってピエーと泣きはじめた。ほとんど地蔵のようだったけれど、子どもは子どもなりに楽しんでいたのだと思う。

人間というのはもうこの時点で楽しみ方が人それぞれなのだ。なのになぜ「笑ったり体を動かしたりしないと楽しんでいない」と勝手に思ってしまうのだろう。いつから同じ楽しみ方をしないといけないと思ってしまうのだろう。子どもが人と同じようにできないことがあったとき、今日のことを思い出せるようにしておきたい。


終わった後は、ひととおり散策する。行きたかった富士の山菓舗は想像通り良いお店だった。着色された砂糖がかかった子どものおやつから、柿の種やえびわさなど大人のおつまみ、明石大橋の焼き印を入れたせんべいやたこせんべいなどお土産に最適なものまでいろんなおせんべいがあった。たこせんべいと富士せんべいを買う。店頭に「日本のヤバい女の子」が並んでいたのでどういうことなのか店主に尋ねてみるとはらださんは娘さんなのだと教えてくださった。裏表のないストレートな感じが良かった。私はこういう接客が好きだとしみじみ思う。


次に藤江屋分大本店へ寄る。お店の広さのわりにたくさん店員さんがいた。多分、私たちのような観光客にむけた店頭販売だけでなく、他の筋に向けた販売も多いのだろうと思う。お店の中のしつらえも美しく、鍵善など京都の老舗のお菓子屋さんを思い出す。


魚の棚商店街に行く途中に古めかしい構えのお店に出会う。こうじや京作という麹やお味噌を扱うこじんまりとしていいお店だった。

元々松平氏お抱えの御用職人で松平氏が江戸時代に越前から明石へ移った際に一緒についてきたとのこと。そこを起点にして創業300年ほどと言っているので、お店としてはもっと続いてるらしい。

店の奥の棚には、江戸時代の提灯がおさめられた行李、明治期の洋酒の瓶、先代(現役)が前回の東京五輪のとき聖火ランナーの伴奏をした際にもらったペナントなどが飾られていた。代々大切にしてきたものが、カテゴライズされず、ただただ「大切なもの」として棚に飾られている様子は人間味があって面白かった。陳列されているものたちも生き生きしている気がする。


商店街の後は変わりきった駅前へ行く。駅ビル内のジュンク堂へ寄る。店のつくりも陳列の仕方もだいたい一緒なのに店舗が違うだけで本の見え方が違う風に感じるのはなぜなんだろう。この店舗では雑誌がよく目について、興味がある分野なのに知らなかった雑誌の存在に気づく。先日読んだ朝井リョウさんの『スター』がとても良かったので『正欲』を買ってみる。ナガサワ文具店が併設されていてそちらもぷらぷらする。アデリアレトロシリーズの文具がでていて欲しかったけれど我慢する。ナガサワに行くといつも文具店で働いてみたくなる。


同じビルに入っている市立図書館にも行ってみる。TRCがまるごと請け負った館ということでずっと見てみたかったのだ。とにかく広くて綺麗だった。子ども向けのゾーンの読み聞かせスペースはちゃんと部屋になっていて、その近くに子ども用トイレがあるのもさすがという感じ。

入り口近くにはティーン向けの丸いおしゃれな本棚があって、その中に閲覧席があったのだけど、そこにいたのは一人残らず新聞を読むお年寄りでまあそうなるかと思う。その向かいにはサービスタワーなるものがあり「高額紙幣はご遠慮ください」という張り紙がしてあったのでそんなにもIL Lの需要があるのかと思ったらカフェコーナーだった。値段を見るとかなり安い。見ているそばからおじいさんがコーヒーを注文していく。

こんな図書館がある上に県立図書館もあるとか、明石市の読書環境は県内最強ではと思う。本当に利用者側からみたらいいことしかなくて、小額から始められる投資のCMを見たときのような、参加したとしてどこか自分の知らないところで何か良くないシステムが働いているのではというもやもやとした気持ちになる。図書館で働いている側の人々にしわ寄せがいっているのではとなんとなく考える。


のちミスドで休憩。明日の選挙について色々と話す。結局、観光しているよりジュンク堂とミスドに居た時間の方が長かった気がする。けれども旅先のチェーン店って落ち着くけれど特別で独特な味わいがあると思う。朝霧の海岸へ寄った後帰宅。