■Time Machine 1977-1986 第4回 1977年4月
翌77年になると、パンクはイギリスで大きな現象になりつつあり、1月25日、CBSと10万ポンドというライヴ・デビューしたてのバンドとしては破格の値段で契約を交わしたクラッシュは、3月18日、アルバムに先行してシングル「白い暴動(White Riot)」を発表。翌月となる4月8日、セルフ・タイトル・アルバム『The Clash(白い暴動)』(CBS / CBS 82000)でアルバム・デビューを飾った。
77年2月に3週間をかけて約4000ポンドで制作された本作は、レゲエのカヴァー「ポリスとコソ泥(Police & Thieves)」以外はすべてストラマーとジョーンズによる楽曲で、前述の「白い暴動」のほか、「リモート・コントロール」と「コンプリート・コントロール」がシングル・カットされ、イギリスではすべてチャートインするヒットとなり、アルバム自体も全英12位を獲得している。アルバム・ジャケットは、ロンドンのカムデン・マーケットにある彼らがリハーサルを行っていたビルの前で撮影されているが、ドラムスのテリー・チャイムズは、このときすでに脱退を決めていた(クレジットは、トーリー・クライムズ名義)ため、ジャケットには3人しか写っていない。クラッシュは79年発売のサード・アルバム『ロンドン・コーリング』でより大きな成功を手にするが、時代の閉塞感と、若さによる怒りとスピード感を閉じ込めたこのデビュー・アルバムは、批評家からも高い評価を受け、当時も今もパンク・ムーヴメントを代表する一枚として愛され続けている。また『The Clash(白い暴動)』は、アメリカでは“ラジオ向きではない”という理由でイギリスと同時期には発売されなかったため、この年のアメリカでもっともセールスを上げた輸入レコードとなった。本作のアメリカ盤は79年7月26日にアメリカ向けに内容を編集したかたちで発売となっている。
1977年4月には、もう一つイギリスのパンク・ムーヴメントの中で大きな足跡を残すことになるグループのファースト・アルバムがリリースされている。同年4月15日に発売されたストラングラーズのデビュー作『Rattus Norvegicus(夜獣の館)』(United Artists / UAG 30045)だ。
1977年4月10日には、やはり英グループ、スーパートランプの通算5作目のアルバムとなる『Even In The Quietest Moments…(蒼い序曲)』(A&M / AMLK 64634)がリリースされている。
1970年、ロジャー・ホジソン(vo, key, g)とリック・デイヴィス(vo, key)を中心にロンドンで結成されたスーパートランプは、同年7月14日、セルフ・タイトル・アルバム(邦題はスーパートランプ・ファースト)でデビューを果たした。デビュー当時はヒットに恵まれなかったが、ロジャーとリック以外のメンバーを一新し、ポップ路線に転向したサード・アルバム『クライム・オブ・センチュリー』が全英4位を獲得する大ヒットとなり、人気グループの仲間入りを果たした。本作は、前作『危機への招待(Crisis? What’s Crisis?)』から約2年ぶりに発売されたアルバムで、活動の拠点をアメリカに移し、全編アメリカのスタジオでレコーディングされている。一段とポップ指向が強まった本作は、全英12位・全米16位と彼らにとってはアメリカではそれまででもっとも好位置につけた作品となったが、それも続く79年発売のアルバム『ブレックファスト・イン・アメリカ』への布石に過ぎなかった。
77年4月11日には、ビーチ・ボーイズの21枚目のアルバム『ラヴ・ユー(The Beach Boys Love You)』(Brother/Reprise / MSK 2258)がリリースされている。もともとブライアン・ウィルソンのソロ・アルバムとなるはずだった『Brian Loves You』収録予定曲から転用されているため、ほとんどの楽曲がブライアン作でプロデュースも彼が行っている。前作『15・ビッグ・ワンズ』もブライアンのプロデュース作で“ブライアンズ・バック”とメディアに騒がれたが、全曲がブライアンの手によるものであることを考えると、本作『ラヴ・ユー』が実質的に70年代のブライアンのカムバック作とも受け取られた。
そのほか、77年4月には、アリス・クーパーの3枚目のソロ・アルバム、バンド名義のものを含めると通算10作目となるアルバム『レースとウイスキー』(Warner Bros. / BSK 3027)が発売されている。バラードあり、ハード・ロックあり、ロカビリーありのヴァラエティ豊かな内容となっている。またヴァン・モリソンの9作目のアルバム『安息への旅(A Period Of Transition)』(Warner Bros./ K56322)、デイヴ・エドモンズの3作目のソロ・アルバム『ゲット・イット』(Swan Song /SSK 59494)がレッド・ツェッペリンのスワンソング・レーベルからリリースされている。ボンゾ・ドッグやモンティ・パイソンで知られるニール・イネスのセカンド・ソロ・アルバム『テイキング・オフ』(Arista/ SPARTY1004)も77年4月のリリースだ。