京王線の連続立体交差事業
1.はじめに
みなさんこんにちは。中学2年の**です。今回は、京王電鉄京王線において行われている連続立体交差事業について書いていこうと思います。初めての文化祭号の執筆ということで張り切って書いていこうと思います。最後までお読みいただけると幸いです。
2.京王線の連続立体交差事業の概要
京王線の連続立体交差事業(以下、連立事業)は、京王電鉄京王線の笹塚駅から仙川駅付近までの約7.2kmにかけて、線路を高架化するという事業です。これにより、同区間に25か所ある踏切を廃止します。また、それと同時に代田橋駅から上北沢駅、芦花公園駅から千歳烏山駅の計7駅を新たに高架駅化し、現在すでに高架駅となっている八幡山駅を含め、笹塚駅から千歳烏山駅までの全駅を高架駅とします。工事は8区間に分けられて行われ、現在は代田橋駅周辺の第1工区、明大前駅周辺の第2工区、芦花公園駅付近の第6工区、仙川駅付近の第8工区で工事が始まっています。
3.事業による効果
①開かずの踏切問題の解消
開かずの踏切の解消は、今回の事業の目玉です。これによって、線路と道路とが立体交差化し、交通渋滞が解消されると同時に、踏切事故のリスクも解消されます。
②京王線のダイヤの改善
今回の事業で、現在対向式の2面2線のホームとなっている明大前駅と千歳烏山駅が2面4線化されます。現在、明大前駅と千歳烏山駅は、他駅と比べても乗降客数が多く、特急(千歳烏山駅は通過)や準特急といった優等種別が停車するのにも関わらず、設備は先述の通り2面2線と貧弱です。この2駅が2面4線化されることによって、優等種別の列車と下位種別の列車との接続が可能になります。
また、朝ラッシュ時において、京王線では列車の詰まりが発生しています。
▲ 明大前駅では列車が詰まる現象が発生する
調布駅は、京王八王子方面からの京王線と、橋本方面からの相模原線の接続駅です。この2つの路線は、どちらも需要が大きく、朝ラッシュ時にはすべての列車が新宿駅方面へと直通していきます。そのため、朝ラッシュ時には、調布駅から新宿駅の間で列車が増え、列車が詰まるという現象が発生します。
今回2面4線化される明大前駅と千歳烏山駅は、いずれも乗降客数が多く、乗降に時間がかかる駅です。これらの駅が2面4線化されることによって、列車の詰まりを改善することができます。
▲ 交互発着をする場合としない場合の違いの参考図
片方向1線(現在の設備)では、列車が駅に停車している間に後続の列車が来ても駅に進入できず、列車が詰まっていました。しかし、片方向2線(高架化後の配線、2面4線)化すると、列車が駅に停車している間に、後続の列車は先行列車とは違うホームに進入することができ、列車の詰まりが改善されます。それにより、ダイヤにゆとりを持たせ、遅延を軽減することができます。
4.事業の問題
①沿線住民との調整
この事業は、既に工事が始まっている区間がある一方で、今回の事業に反対する住民も少なくありません。現在工事が開始できているのは一部のみで、現在工事が開始できていない地域の一部には、「高架反対 地下化を」といったような意味合いの旗が掲げられており、高架化ではなく地下化を求める声が少なくありません。このように、連立事業を今回の内容で進めることに不満を持つ人は一定数存在します。そのため、沿線住民との調整は重要な課題となります。
②騒音問題
現在、高架化工事区間で地上を走る京王線は、線路と住宅とが非常に近くなっているため、列車走行時の騒音が長年大きな問題となっていました。今回の事業では、地上区間の一部が高架化されますが、高架化したのちも、引き続き騒音問題は残り続けることになります。
▲ 京王線桜上水駅~上北沢駅 線路右側には、すぐそこまで住宅が迫っている
5.対応方法
①沿線住民との調整
これについては、積極的に、連立事業に関する説明会を実施するのがいいと思います。工事の具体的な内容や高架化による効果などをしっかりと沿線住民の方々に知ってもらうことで、納得をしてもらうのが一番良い方法だと思います。ただ、これでも納得のいかない住民も一定数いることが予測されます。が、すべての意見を反映するのはほぼ不可能です。ある程度は致し方ない面もあるでしょう。
②騒音問題
騒音問題については、線路沿いに防音壁などを整備する必要があります。また線路は、ロングレールを使用することによって、ジョイント音を極力抑えるなどの工夫が必要そうです。
6.複々線化に関連して
京王線には、今回の連立事業とは別に複々線化をするという構想があります。この計画は、つつじヶ丘駅から笹塚駅までの区間に、今回の連立事業で造られる高架の緩行線とは別に地下急行線を造るというものです。この地下急行線には途中駅が設けられない予定です。この地下急行線によって、線路容量が増加し、朝ラッシュ時に、列車の詰まりが改善されると同時に優等列車の速達化が図られます。
▲京王線の現在、連立事業後、複々線化後の配線図 (一部、配線省略)
しかし、新たに急行線を造る場合、公的な事業として行政から補助金が出る高架化とは違ってすべてを京王電鉄が負担する必要があり、財政面でかなり厳しいものとなります。また、急行線には途中駅が設けられないため、つつじヶ丘駅から笹塚駅の間の駅に停車する優等列車は必然的に高架の緩行線を走る必要があります。そうすると、緩行線を走る列車の本数は多いままとなり、列車が詰まってしまいます。そうなると、新宿駅から近距離の駅の利用客は、朝ラッシュ時に複々線化の恩恵をあまり受けないことになります。ただ、調布駅以西の駅においては、急行線を走らせることによって十数分の所要時間短縮をすることができます。そのため、沿線の自治体に補助金を出してもらえるような場合は、複々線化をするのもよいのではないかと考えます。
7.まとめ
・連立事業に反対する住民に納得してもらえるよう、説明会を積極的に開く。
・ロングレールの使用など、騒音ができるだけ響かないように配慮する。
・複々線化は、沿線自治体の協力が得られた場合はしてもよい。
8.おわりに
いかがでしたか。個人的には、考察が薄っぺらく、ただ事業を紹介するだけの文章になってしまったなと反省しています。次回からは、自信をもって「研究」といえるようなものを書いていきたいです。
最後に、校閲してくださった先輩方、そしてこの研究を読んでくださった読者の皆様、最後までお読みいただきありがとうございました!
9.参考資料
-書籍-
海渡雄一・筒井哲郎 沿線住民は眠れない -京王線高架化計画を地下化に- 緑風出版
-インターネット-
・京王グループ
https://www.keio.co.jp /
・東京都建設局
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/
・産経ニュース
https://www.sankei.com/