セクシャリティについて
小説を書きながら色々調べるうちに(ネットでだけど)デミセクシャルという単語を知る。
デミセクシュアル(demisexual、半性愛)とは、他者に対して基本的に性欲を抱くことはないものの、強い愛情や深い友情を持った相手に対してなど、ごく一部の場合に性的な欲求を抱くこともあるセクシュアリティです。
https://jobrainbow.jp/magazine/demisexual
思い当たる節がかなりあり、他にもいろんな記事をあたってみる。はじめてこういうセクシャリティ関係の文章を自分のことだと思いつつ読んだ。
以下に自分のことを記しておく。嫌い、気持ち悪い、分からないなどの単語がそれはもうたくさん出てくるけれど、どれも個人的な感情や実感であり、取り上げたものを否定するものでないことを断っておく。また嫌い、気持ち悪い、分からないと一応使い分けてはいるけれど、自分でも曖昧なところが多く、使い分けも曖昧なものである(性的コンテンツが好きな方はあまり読まない方がいいかもしれません)。
私は性的なものに対する耐性があまりない。年齢制限のあるBLを読む友人たちをなんだか楽しそうだなと思いつつも手に取ろうとは思わなかったし、某投稿サイトに18禁の二次創作が溢れている理由もよく分からないし、特にイラストなんかは過度なものは気持ち悪くなってしまう。電車など公共の場でいちゃついているのを見かけたときも年齢性別容姿問わず気持ち悪いと思ってひどく疲れる。はしたないとかじゃなくて。
過度な下ネタも苦手というか、気持ち悪いと感じてしまう。聞きたくないし言いたくない。恥ずかしいとかじゃなくて気持ち悪いのだ。性教育とかはまた別で、遊び半分に消費するみたいにそういう言葉を言うことが気持ち悪い。だから下ネタを話せないのはかえってダサい、格好つけてる、みたいな向きがすごく嫌だ。性を娯楽として捉えるのもかなり抵抗がある。
創作物、特に小説においてこの線引きは難しい。結局、私が判断材料にしているのは、性的描写の程度と作品から受ける作り手の姿勢だからだ。読まないことには分からない。結構博打だと思う。なので18禁は基本的に読まない。女性同士のものは抵抗がないのでフォロワーさんのものは読んだりするけれど。あと自分で自分の身体を触ったこともない。気持ち悪いからだ。
恋はするからアセクシャルではないし誰かに差し向ける性欲がないわけではないのでノンセクシャルではない。男の人の視線が気持ち悪いと思う一方、先に書いたように女性同士の性的描写には抵抗が無いので、女のことが好きなのかと思ったけれど(なぜそんな思考になったのか今となっては不明)、女と付き合ったことはない。付き合ってきたのは男なので男性嫌悪なのかと言われればそうでもない。結局、自分はヘテロであり、最近は性に関心のない人が多いというし、自分もその一部なのだろうと思っていた。
なのではじめて自分のセクシャリティの名前を知って嬉しい気持ちになった。セクシャリティのことを調べるうちに、いろんなセクシャリティがあり、そのセクシャリティの中にもグラデーションがあるという、文字に起こしてしまえば当たり前のことを知り、名前を与えることはそうしたあり方と矛盾するのではと思ったりもしたのだが、不思議なことに実際そうした名前を得られたことは、自分にとって嬉しいことだった。
その一方でデミセクシャルとは名乗らないだろうなと思う。そもそもデミセクシャルとは何かネットで調べた範囲でしかわかってないし、名乗ると、これからデミセクシャルについて知るいろんなことに変に自分を当てはめていってしまいそうな気がするのだ。
と書いたけれど、私はデミセクシャルが否定されるようなことがあれば声をあげると思う。今までセクシャルマイノリティの人はことさらに声をあげているイメージがあったけれど、それはその声量分だけ否定されるようなことがあったからだろう。声をあげなくても暮らしていけるようになればいいと、きっと当人がいちばん思っていると思った。私は、名前を得て嬉しいままの私でいられるだろうかと考える。
次の新刊ではセクシャリティについてそういう傾向のある女の子たちを書いている。けれどもそれを明記する予定はない。前まではそういう傾向があるキャラクターを書くのであれば、真っ向から向き合う=明記しなければいけないと思っていたけれども、逆に明記さえすれば理解がある風に装えてしまえるのではと思い至り、物語にとって自然な形でセクシャリティを描けたらいいなと今は思っている。