TA理論、人格適応論、再決断療、
https://www.gestalt-therapy-tokyo.jp/ta 【TA理論、人格適応論が自己理解、クライアント理解の助けになる優れた理論です。】より
TAでは、一人の人の人生を「脚本」ととらえ、その人の陥りがちなクセ、他者との間でくり返し行われる不快な人間関係(ゲーム)、くり返し感じる不快な感情(ラケット感情)、日常的に心を牛耳り、駆り立てるもの(ドライバー)、心の中の禁止令、行き詰まり(イムパス)などを理論的に、視覚的に明快に説明しています。
また、TAは自己成長のための道具です。人間関係と心のカラクリに気づくことによって、真に自由で主体的な生き方を選べるということをめざします。 TAを学んでいると、ついついやってしまいがちな自分のクセ、自分の中で何が起きているか、人間関係で何が起きているかなど、自分や他者の適応タイプがだんだんと見えてきます。 それと同じように、クライアントの適応タイプもわかりやすくなり、セラピーの方向性が見え、役に立ちます。
ヴァン・ジョインズ博士が来日した際、世田谷のリキハウス(ゲシュタルト療法・東京・セミナーハウス)でもワークショップを開催しました。
人格適応論
人格適応論とは
TAを使った人間理解のための実践的理論です。
あらゆる分野の心理療法家やカウンセラー、また心理の専門家でなくても、自分を理解し、他者との人間関係を深めるために役に立つ理論です。
精神科医、心理療法家のポール・ウェア博士と臨床心理学者、心理療法家、マネジメントのエキスパートのテイビ・ケーラー博士によって開発され、さらにヴァン・ジョインズ博士によって発展しました。
6つの人格適応タイプを使って、人間を理解する方法を提供します。しっかりとした研究と長年にわたる心理療法、カウンセリングの臨床経験から産み出されています。
早い時間で(数分)クライアントの示している適応タイプを診断することができ、それにともなって、そのクライアントにどのようなアプローチをすれば、効果のあるカウンセリングができるかの方法を提供します。
各人の人格適応タイプが何かを正確に診断する方法を学ぶことによって、個人に応用できる多くの情報がいつでもそばにあるという実感を持たれることでしょう。
6つの適応タイプとは
熱狂的過剰反応者 責任感ある仕事中毒者 おどけた反抗者
魅力的操作者 才気ある懐疑者 創造的夢想家
人は誰でも少なくとも2つ以上の適応タイプを持っており、そのときによって出方は変わります。6つの適応タイプを図に分布してみると下図のようになります。
参考:「交流分析による人格適応論」ヴァン・ジョインズ&イアン・スチュアート著
白井幸子・繁田千恵監訳 誠信書房
再決断療法
再決断療法とは
TAとゲシュタルト療法を統合した心理療法で、心理療法家ロバート・グールディングとメリー・グールディング夫妻によって、生み出されました。
《再決断療法の誕生》
昨年11月にヴァン・ジョインズ博士が来日した際、世田谷のリキハウス(ゲシュタルト療法・東京・セミナーハウス)でもワークショップを開催しました。その時に、「再決断療法」について質問しました。とてもわかりやすくお話していただいたので、その内容を少し引用させていただき、再決断療法の誕生についてご紹介します。
再決断療法は、ボブ・グールディング、メリー・グールディング夫妻によって開発されました。1960年代に2人は、フリッツ・パールズ(ゲシュタルト療法創始者)とエリック・バーン(TA創始者)に学んでいました。そこで、TAは人間の心を理論的な枠組みを与えてくれる一方、ゲシュタルトセラピーは実際にそれを現場で使うときに素晴らしい枠組みを与えてくれる、ということに気づきました。
グールディング夫妻は二人を家に招いてディナーをしたりして、どうしたらこの二つを統合できるかを考え始めました。しかし、バーンもパールズもどうやったら二つを統合できるかについて興味を示しませんでした。なぜなら自分自身の理論や療法をしっかり持っていたからです。
バーンとパールズがどのようにして、自分の理論や療法を持ったのでしょう。
二人はともに精神分析家ですが、違った考え方で精神分析が持つ限界に気づいていました。
エリック・バーン(Eric Berne)
精神分析では分析家が上、クライアントが下という関係でセラピーが進みますが、イコールな立場でワークをしていないということにバーンは気づいていました。両者が協働して同じ立場で問題に取り組むことができないのだろうかということをバーンは考えていました。TAを創始する前にもバーンは精神分析について、一般の人が精神分析をわかるように、本を書いて広めていました。8歳の子供でも精神分析がわかるという望みを持って、本を書きました。
フリッツ・パールズ(Frederick Salomon Perls)
一方、パールズは、精神分析があまりにも知的化され過ぎているというところに批判的な目を向けていました。パールズは真実というのは理論の中にあるのではなくて、身体の中に宿っていると考えていました。ですから、知性は端に寄せて、自分の感覚に戻りなさいと言い、自分の身体のすべての部分に気づくということを勧めました。頭で考えて分析するのではなく、身体の各部分に注意を向けて、そこが何を感じているか、どういう経験をしているかに注意を向けるということを強調しました。
二人とも1970年に1か月前後して亡くなりました。(バーン60歳、パールズ77歳)
バーンとパールズの二人から学んだロバート、メリー・グールディング夫妻はバーンのTA理論とパールズのゲシュタルトセラピーの二つを統合しました。再決断療法の誕生です。再決断療法は、「TAの理論」と「ゲシュタルト療法の体験」の両方を取り入れているのです。
ヴァン・ジョインズもTAを学ぶ前にゲシュタルト療法を学んでいました。ゲシュタルト療法のゴールは、気づきを研ぎ澄まして、それを深めシャープにすることです。
TAのゴールはクライアントが変化するために双方がコントラクト(契約)を結び、同じ立場で解決するところにあります。
理論的な仮説というのは、今、クライアントが問題を抱えているということは、幼児期に未完了な問題を抱えていて、それが今の問題を引き起こしているのではないかということです。
現在の状況を生きるのに、幼児期のあの決断をそのまま現在に持ってきて、それを元にして反応しているから不適応という問題が起こると考えます。
ですから最初の幼時決断の場面に戻って、どういう実存的な決断をしたかということが理解できれば、それがどのように今の自分の行動に影響を与えているかということも理解が可能になります。
もし、幼時決断したときのことが未解決のままに終わっていると、エネルギーを十分に使えないということが起こります。それでそのときに戻って、それが現在の自分にどういう影響を与えているかを見つけるのです。
クライアントは自分が犠牲者だと思ってやってきます。犠牲者の立場に立っていて今を生きているから、自分が本来持っている力や自律性を適切に発揮できていないのです。
メリー&ロバート・グールディングは、“Power is in the patient”(パワーはクライアントの中にある)と言いました。セラピストではなくて、クライアントが本来パワーを持ち、達成する能力があって、それに気づいていくのです。TAの用語を使うと、それはナチュラルチャイルド(NC)の内にあると考えます。
クライアントは最初セラピーを始める前には順応のチャイルド(AC)から反応していて、自分は環境の犠牲者だという立場からやってきます。そして、自分の中には力も創造性もないと思い込んでいます。そういう立場からもっとナチュラルチャイルド(NC)を使って、自分の中に創造性、自律的な生き方をする能力、エネルギーも十分あるということを実感し、順応のチャイルド(AC)からナチュラルチャイルド(NC)の立場にシフトするのをサポートするのが再決断療法の基本です。
再決断療法 5つの要素
1・契約をする
2・汚染の解除、混乱の解除、再構築化
3・インパスの明確化
4・再決断を促進する
5・再決断を実行し、強化する
引用:ヴァン・ジョインズ博士による解説 2013年11月24日 世田谷・リキハウスにて