やり方を変えるとは
どんどんやり方を変えてみるのは、コンピューターのフォーマットを変えているようなものです。
そんなことをしていたら最終的には整合性がなくなってくるのはあきらかです。
特に難しい脉診を教える人や、それを習っている人は必ずそういう場面に突き当たります。知識も意識も経験も一人一人違います。複雑になればなるほど、答えが複数存在して当たり前です。
フォーマットが一定でないのに同じ答えが出るはずがありません。 一つのフォーマットをしっかり決めることが必要です。つまり基本的なもののみを行うということです。
そのフォーマットに則ってやっていくことで、近似値を出すことができます。どこまでいっても感覚ですから微妙な違いはでてきますが、目標さえ決まれば目的は達成します。
その証明の一つに以前一般の勉強会で脉診を教えたことがあります。相手は素人です。何も知りませんが、脉診の位置だけ教えてやってもらいました。 するとどうでしょう。ポンポン言い当てるのです。しかも即決します。
そしてかなり正確に同じ結果になっています。その時にやった方法は、単純化です。もっとも単純な方法を教え、それをやってもらったのです。その中で一番驚いたことがありました。 3~4人ぐらいで一組になってやってもらったのですが、そのグループの中の一人がわかりづらいから脈を診てくれと言ってきたのです。私が診てみると確かにわかりづらい脈をしていました。
素人がそんなことまでわかるんです。徹底的に単純化した方法は、感性を育てます。そして時間を与えないことが、それをより一層深めます。
脉診は感覚で理解するものです。頭で理解するものではないので、時間を必要としません。一つの項目に対して1秒以内でやるのがコツです。
それを一般の人にもやってもらいました。だからできたのです。
つまり考える時間を与えないという方法です。方法論と言えば方法論ですが、ごくごく単純にする方法論と言えます。それは感性を育てます。
迷いがないので同じ答えに近づいてくる訳です。
この現象は他の検査法にも応用できます。特に筋力検査はこの感覚と全く同じです。