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心のベンチ

NO39 心の成長

2021.07.20 00:30

 人には体と心の成長があります。体の成長は遺伝や栄養の影響が大きくほぼプログラム通りに進みますが、心の成長には環境要因(親・家族・地域・学校・社会等)が大きく関わり、早さも人により様々です。

 体を鍛えるためにはいろいろなトレーニング方法があって、体を強くしたい人は必ず何かやっていますが、心を鍛えるために何かトレーニングをしている人はまずいないでしょう。それは必要ないからです。何故なら、日常生活を生きていくこと自体が心のトレーニングになっているからです。

 誰でも、自分の心の思うままに他人の心が動いてくれればいいと思っているものです。しかし心は世界中の人の数だけ存在しています。それぞれが思う通りになることはとても不可能です。隣の一人の人の心も思い通りにはできないのが現実です。そのような、思い通りにならない人生を思い通りにしようと願うのですから、ストレスを感じない方が不思議です。そのストレスをどう乗り切るかを考えることで、心は毎日鍛えられているのです。

 さて、毎日貯まる一方のストレスを発散するためにはどうしたらよいでしょうか。そのために遊びや趣味があります。これは人類の偉大な発明といってもよいし、本能の一つといってもよいでしょう。これらは自分の思う通りにできますから、大いにストレスを発散できます。それを忘れた人が心の不調に陥るといっても過言ではありません。うまく遊びや趣味の時間を生活のかなに取り入れましょう。

 もう一つの方法は、思う通りにならない他人の心のことは忘れて、自分自身の心を変えることです。どのように変えるかは人それぞれですが、要はストレスが減るように変えればよいのです。イソップ物語に”すっぱいブドウ”というお話があります。一匹の狐が、通りかかった道の脇にたわわに実ったぶどうの木を見つけます。採ろうとしますがいくら飛び上がっても手が届かずあきらめます。そして「どうせあのブドウは酸っぱくて食べられたものじゃない」と言い捨てて行ってしまいました。この狐は、ブドウを食べられなかったことを、くよくよと思い悩むことはもうなかったことでしょう。このように、思い通りにならなかったことに対して、自分の都合のよいように理由付けすることを、精神分析の言葉では「合理化」と言います。

 心が不調な時は、心の成長を促されている時だと考えて、自分なりの工夫をするとよいです。




           ナマケモノの親子