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ワクチン接種後もコロナ感染(PCR陽性)症例|国立感染症研究所

2021.07.22 00:30

【社会報道】 令和三年七月二十一日に国立感染症研究所(感染研、所長:脇田隆字)は、『新型コロナワクチン接種後に新型コロナウイルス感染症と診断された症例に関する積極的疫学調査(第一報)』を公表した。ワクチン接種後でも感染自体は、し得る点を伝えた。


これは、六月三十日時点における疫学的・ウイルス学的特徴の暫定的なまとめ。本調査では「ワクチン接種後の感染発生割合」や「ワクチンの有効性」については評価していない。



二十七の都道府県から百三十例(内、二回接種後は六十七例)が報告。接種していたワクチンは、米ファイザー製が百二十一例で、九十七.六㌫。残る武田・米モデルナ製ワクチンは、ファイザー製よりも製造販売の承認が三ヶ月遅れていた。


「症例報告書」の提出時点で重症例は〇例(〇㌫)。中等症は五例(三.八㌫)、軽症は六十例(四十六.二㌫)、無症状が六十五例(五十㌫)となった。


気道検体は百一例(内、二回接種後は五十例)を収集。「PCR再検」で六十八例(六十七.三㌫)が陽性となった。「変異検出PCR」は六十八例で実施。「ウイルス ゲノム解析」完了は三十九例。そして「アルファ株」が三十例、「R.1系統」は四例、「デルタ株」が四例、「ガンマ株」は一例。


各系統の特異的なスパイクタンパクの変異を除いては、免疫を逃避する可能性のあるスパイクタンパクへの新規の変異は認めなかった。



<本調査の考察>

 本調査でワクチンによる「重症化抑制効果」は評価できない。しかし、現時点で報告のあった症例の大多数が優先接種対象である医療従事者。若年層が多く、無症状でも検査対象となる機会が比較的多い事等もあり、九十六.二㌫が無症状・軽症であった。


「免疫不全」や「免疫抑制剤」を使用している者は一割未満。また、一部の気道検体中には感染性のあるウイルスが存在。高齢者の接種も開始されているので、今後は重症例の知見も収集していく事が重要とした。



公衆衛生的意義

 中間解析の時点では、疫学的特徴としては医療従事者が大多数であったこと以外は、特殊な疫学的特徴をもつ集団ではない事が示唆。ワクチンの一回接種後のみならず、二回接種後の十四日以降においても、一部の症例では感染性のあるウイルスが気道検体中に検出された事から、二次感染リスクも否定できない事が分かった。


また、ワクチン接種後の感染者から検出されるウイルスは、ワクチン接種により付与された免疫を回避できる新規の変異を有するウイルスではなく、同時期に国内各地域で流行しているウイルスであった。


これらの結果より、ワクチン接種後であっても、その時点で流行しているウイルスが感染する事がある点、及びワクチン接種後の感染例の一部では二次感染し得る点が示唆され、ワクチン接種者における感染防止対策の継続は重要と考る。



制限

 本調査には複数の制限がある。先ず、本調査に組入れられたのは「HER-SYS」上のワクチン接種後の感染例。感染研より問合わせた症例の一部、及び「HER-SYS」にワクチン接種歴の入力は無いが、自治体・医療機関から報告のあった症例。国内のワクチン接種後の感染の一部であり、観察期間は限られている。


次に、残余検体や検体中のウイルスRNA量の制限より、「変異検出PCR」「ウイルス ゲノム解析」においてウイルス系統が確定したものは報告例の一部。但し、これらの多くはクラスタではなく、独立して発生したワクチン接種後の感染。


更に、各症例の詳細な感染時期や地域におけるベースラインのウイルス系統の検出状況は考慮せず。ウイルス系統の地域的・時間的なバイアスがあり得るとした。


画像:国立感染研究所