【レポート】ねりま子どもてつがく 第3回 開催しました!
1/29(日)開催の「ねこてつ第3回」!(名前を変更しました。「ねりま子どもてつがく」略して「ねこてつ」です!)
会場定員ギリギリの、こども12名、おとな16名にお越しいただきました。
(※こちらのホームページでは、告知をしていなくて申し訳ありません。早くから定員になってしまったため、地元の方を優先させていただきました)
最初は、みんなでリラックス
ファシリテーターは、小川泰治さん。
「こども哲学とは何か」という説明で、「1+1の答えは?」と問いかけると、「はいはい!」と元気よく手をあげる子どもたち。コミュニティボールがまわってくると、「たんぼの田!」「11!」など、子どもらしい答えがあがります。
「算数で、1+1=2って書かないと×だよね。だけど、こどももおとなも正解をしらないのが、てつがくなんだ」と小川さん。
てつがくとは何かがわかりやすく伝わったところで…さっそく、てつがく…ではなく、今回は、アイスブレイクから!
大きな輪になって、フルーツバスケットからでひと盛り上がり。
続いて、「◎◎です」と自分の名前を言い、「☆☆さん」と相手の名前を呼んで、コミュニティボールを渡していくゲームへ(*隣の人に渡すのは禁止)。
輪が広く、対角線の人の名札が読めないハプニング(?)で少し時間がかかりましたが、コミュニティボールの使い方にも慣れ、自己紹介もでき、さらに和やかな雰囲気になって、一石三鳥。やっぱりこどもは、ゲーム(あそび)が大好きですよね~。
考えるきっかけ、読み聞かせ
さて、ここから、てつがくに。今回は図書館開催ということで、2冊の本を持ってきて、あらすじを紹介し、参加者にどちらがいいか、選んでもらいました。
あおむしがどんどん食べて大きくなっていく『くいしんぼうのあおむしくん』と、太陽が四角いとママに教えられて育ったヒヨコたちの物語『太陽は四角い!』の2冊で、選ばれたのは……『太陽は四角い!』。
持ってきた私が言うのもなんですが、これが結構エグい話(笑)。
(以下、あらすじ)
「おかあさんどりのもと、小屋のなかで、外に出ることなく育った12羽のヒヨコ。
四角い窓から地面にうつった太陽の影しか知らないので、おかあさんどりから「太陽は四角い」と教えられて育っていました。
そしておかあさんどりは、そのまま、飼い主に食べられてしまいます…。
のこされたヒヨコのなかで、すばしっこい1羽が、本当に太陽は四角いのか、見に行くことにしました。
すると、太陽が丸いので、大仰天!
きょうだいたちに太陽は丸いと伝えると、「おかあさんが正しいはずだ」「いや、見てきたんだから、太陽は丸いんだ」と論争が起こり……きょうだい仲はギスギスしてしまい、おまけに、太陽を見てきた1羽は片目をつつかれてつぶされてしまいます。
そこでもう一度、その1羽は、太陽を見に行くことにしました。ところが、つぶれたほうの目で見たので、何も見えません!
戻ってそれを報告すると…「やっぱり、この地面にある四角いのが、本物の太陽なんだ」ということに落ち着き、ヒヨコたちに平穏が訪れたのでした……」
読み聞かせになると、真剣に聞き入るこどもたち。
お話を振り返り、問いを考えよう
そのあとは輪になって、小川さん主導で、
「どんな登場人物がいた?」「何が出てきた?」
と話の振り返りからはじめたのですが……こどもたちが細かいところまでよーく覚えていることにビックリ!
話を進めていくと、だんだんてつがくらしくなっていきます。
「もし自分がヒヨコだったら、おかあさんの言うことを、信じる? 見てきた兄弟の話を信じる?」と小川さんが問いかけると、両方の意見が出てきます。
「見てきたほうがただしいと思う」という子もいれば、「おかあさんのいうことのほうが信頼できる」という子も……。
意見が続くなかで、問い出しに入っていきます。
10個出た問いを、小川さんが二度読み上げ、その間にみんなが考えます。
そして、多数決で選ばれたのは、
「外の世界へ出たほうが、幸せか?」
という問いでした。
(「おかあさんの言うことは絶対か?」という問いも、面白そうだったのですが…子どもには不人気っぽい感じがしますね(笑))
グループに分かれ、てつがく対話スタート
なかなか難しいテーマだと思いながら、大人グループ、年長~小1グループ、小2~小3グループの3つの輪に分かれ、対話スタート。
私(*ねこてつの中の人=コウグチ)が担当したのは、小2~3グループ。まず、問いについての意見を聞くと、「いろいろなことを知ったほうが幸せだと思う」「ヒヨコたちみたいにケンカになるから、幸せじゃない」と、意見が分かれます。
「知る/知らない」を掘り下げていくと、
「戦争とか、核爆弾とか、知らない(経験しない)ほうがいいこともある」
「知りたいことは、人によって違う」
「何が幸せかは、自分次第」
といった意見が。
「誰かひとりが知ってケンカになるなら、みんないっしょに外に出ていけば、ケンカにならなくて、みんな幸せ!」
という結論にまとまりかけたのですが、そこでまた「でもさ…」と話が続き、ファシリテーターとしては、簡単に結論がつかなくてよかった、と安堵したのでした。
こどもにとって、「中の世界=おかあさんに守られた世界」なら、「外の世界から出る」というのは、おかあさんが絶対の家から出ていくこと。
そこに絡めながら、「今、自分がおかあさんがいる家から出て、外の世界に出たら幸せ?」と投げかけてみると、「幸せ。自由になんでも好きなことがやれる。勉強したくなかったらしなくていい。
したくなったら友達とする」「行ったことのない場所に行きたい」という意見がある一方で、「未成年が一人で生きていける社会になってないから無理」「今は困る」という現実的な意見も。
「じゃあ、社会が変わったら?」と突っ込むと、「それは、社会じゃない」とズバリ。
大人が子どもに輪に加わり、てつがく対話の再開
最後の30分は、大人が、自分のこどものグループに入り、2グループになっての対話に。
コウグチの担当グループは、それぞれでどんな話が出たのかをおさらいしたのち、新しい問いを出してもらいました。
ひとりのママから、「世界には悲しいこと、イヤな話もあるけれど、それを知ったほうが幸せか?」という問いが出て、みんなで考えました。
そこから、「何にも知らないで平和なのと、真実を知って戦争が起きるかもしれないのと、どっちがいい?」という「真実VS平和」の問いに発展。
「真実がいいという人と、平和がいいという人が両方いる、そのバランスが大事では?」と大人がまとめると、最後に発言した子が、「みんなが真実を知って、みんなで平和になるのが、一番!」という理想を語り、本当にそうだよなあ…とうなったのでした。
タイムオーバーになってから、「じゃあ、あと一人」が4人くらい続くほど、話は白熱! あっちこっちに論理が飛んでいるようでいて、ズバッと鋭い子どもたちの話に、「なるほど~」とうなずくことしきり。こどもたちも、難しそうな顔をしながら、一生懸命考え、答えてくれたのが印象的でした。
なんとなくの、まとめ
実際、アンケートにも、「楽しかった」と書いてくれていたので、一安心。あたりまえですが、難しい顔をする=つまらない、ということじゃないんだなあと…。
実は、ここしばらく、「こどもてつがくなんてやってないで、こどもは、ワイワイ遊んでいるほうがいいんじゃないかな?」という悩みもあったのですが。
私の小1息子に感想を聞くと、「ちょうたのしかったよ~いろんな意見がきけたし!」と明るい返事。ワイワイはしゃぐ楽しさとはまた違う面白さが、こどもてつがくにはあるんだ!と改めて思うことができ、よかったなあと。
もちろん、“相性”や、“年齢”はあるし、みんながみんなハマるとは思わないし、それで全然いいのですが。「みんなで考える」という楽しさを知ってもらうこと、そういう場を地域に提供することは、やっぱり意味があるんだと思います。
来年度、助成金をとったり、地域イベントに参加したりして、ちょっとずつ(いや、わりとグイグイw)広めていきたいです!