「ずーっとしあわせ」ピーター・シス
本日はピーター・シスの絵本を。
ピーター・シスは邦訳作品もたくさんあり、日本でも馴染みのある作家さんかと思います。特にガリレオやダーウィンなど偉人を絵本にしたものが人気でしょうか。最近では、サン=テグジュペリの生涯を絵本にした作品も2015年に出版されています。
ピーター・シスは1949年にチェコスロバキアに生まれ、高校、そしてロンドンの大学で芸術を学びました。映画製作者だった父親の影響があってか、映画制作からそのキャリアを始めていますが、その後アメリカに活動の場を移し、イラストレーターとしての仕事も始め、瞬く間に数々の賞を受賞していきました。
こちらの「ずーっとしあわせ」は、だれも知らない山の向こうの広い草原に暮らす一匹のサイ、リノのおはなしです。
リノは毎日がぜんぶしあわせでした。好きなだけ走ることができ、お日さまはあたたかく、風はきもちよく、それに友だちがいたからです。
ある日リノとリノの友だちの赤、黄、青の3羽の鳥たちは、いつもより特別長い散歩に出かけます。途中、1羽また1羽とそれぞれ気に入った場所を見つけ、ここで暮らすと鳥たちはリノから離れていきます。ついにリノは草原から遠く離れた場所でひとりぼっちになり、悲しいきもちになります。
するとそこに大量のハチの群れが現れ、リノに襲いかかります。慌てて走り出したリノのもとに…。
点描を用い描かれるシスの絵は、目を凝らし隅々を見ると気が遠くなるほど緻密に描き込まれた点と線の世界なのですが、ページを開いたときに広がるそれは、その細やかな作業とは反比例するように壮大で伸びやかな印象を受けるので不思議です。この絵本も空間の広がりと、美しい色彩が、描かれていない先までずっと続いているかのように感じられます。
おはなしの最後は、タイトルのとおりになり、穏やかにほほえむリノが描かれています。シンプルで短い文章ですので、その分じっくりと絵を楽しめるのではないかと思います。
シスの絵本はこちらの本ともう一冊「とおいとおい北のちいさなほら話」の在庫がございます。こちらはまた全然違うシスの魅力が詰まった、少し変わった絵本ですので、またご紹介できたらと思います。
当店在庫はこちらです。
「ずーっとしあわせ」ピーター・シス
「とおいとおい北のちいさなほら話」ピーター・シス