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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

アマデウスの旅23-レオポルト2世「戴冠式」

2021.07.27 11:11

神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世は、急進的改革者だった。文化の発展だけではなく、宗教的には寛容令が出され、プロテスタントにもユダヤ人にも自由が広げられ、一方多すぎる修道院は潰された。民法典、刑法典が作られ、法的平等が広げられ、農民への領主の支配を緩め、農地購入も認めた。

こうした啓蒙主義的改革はフランス革命以前の最大の改革と認識されている。しかし彼は「一歩目より先に二歩目を踏み出す」とフリードリヒ2世に言われたように、計画性を欠き、国内に抵抗を生み出した。またオーストリアを一体化した強国にしようとして軍事に走ったのも確かである。

次皇帝レオポルド2世は、ヨーゼフ2世の弟で、トスカナ大公として、啓蒙主義的改革を実行した王である。皇帝戴冠は1790年10月9日にフランクフルトで行われ、モーツァルトも私人としては参列し、あのサリエリがモーツァルトの「戴冠ミサ」を演奏、アマデウスも、自分の演奏会で、ピアノ協奏曲を披露した。

このエピソードから協奏曲第26番は「戴冠式」と呼ばれている。しかし残念ながら演奏会ははかばかしくなく借金がかさむのだ。また国は戦争の最中であり、なんと下ネーデルランドで、ヨーゼフ主義反対から独立革命が起きていた。ヨーゼフ2世の時代の反動が起きてきていた。