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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

仏王処刑9-ルイ16世復活祭ストップ

2021.07.30 10:58

1791年の復活祭が近づいてきたが、国内の宗教分裂で、国王ルイ16世は難しい立場になった。どこのミサに与ればいいのかと。聖職者基本法宣誓拒否した神父は、裁可した立場上問題があるが、かといって宣誓神父は教皇やそれに忠実な国民信徒に批判されるかもしれないのだ。

国王は、厳格な賢僧として有名で代議士でもあったクレルモン司教に手紙を出したところ、重大な咎があるので、聖体拝領はできないとの回答があった。敬虔な国王ルイのショックはあまりあるというものだ。4月17日の枝の主日は、宮廷司祭によって受けたが、宣誓拒否神父だということで急進派は憤慨した。

翌日、国王は王家ゆかりのサン=クルーに出かけて、前年と同様静養のため過ごすと言った。しかし急進派達は、そこで拒否神父から聖体拝領を受けるのではないかと怪しみ、デモを組織して国王を足止めしようとした。国王の馬車は武器を持った徒党に襲われ、御者たちは脅された。

ラファイエットは、戒厳令を発動し、武力を用いることを初めて進言した。しかし国王は「自分のために血が流れるのを望んでおらぬ」と言って止めさせた。国王はやむをえず、宮殿に引き返した。「国民に自由を与えた余が自由の身でないのは何たることだろう!」とルイは嘆く。