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Alden of Tuck

靴のデザイン用語集

2017.02.06 12:45

カーメルやモルタルのHPには、今後リリースされる靴の一覧が紹介されています。今までにない新しいデザインも多く、その場合は「これってどんな靴??」となって中々オーダーする覚悟が決まらないことも多いと思います。入荷すれば画像が掲載されますので、サイズがあればそれからオーダーすれば良いのですが、予約の時点で完売ということもありえます。それぞれの用語がどんなデザインのことを指すのかが分かれば、靴の完成イメージがつかみやすいと思いますので、参考にしてください。


①270 degree welt / heel forward:どちらも同じ意味になります。ヒール部にはウェルトが無く、ヒールの手前で収束します。ヒールは大きいタイプ(extended heel)、小さいタイプ(close heel)両方あります。

②360 degree welt / around heel:ヒールも含めて全周にぐるりとウェルトが付くタイプです。必然的にヒールは大きいタイプになりますが、この場合はextended heelとは呼ばず、他に選択肢がないので、ヒール指定は不要となります。

③flat welt:最もベーシックなウェルトです。段の無いフラットなウェルトで、飾りがない分フォーマルな印象になります。270/360両方あります。

④pre-stitched reverse welt:ウェルトを半分に割り、そこにステッチを入れて縦に立ち上げます。ステッチはあくまでも飾りでアッパーには縫い付けられていません(トップ画像の下段真ん中参照)。カジュアルな印象になります。360のみです。

⑤storm welt:フラットウェルトの表面を膨らませて段を付けた様な形状です。リバースウェルトと似たような雰囲気になりますが、プリステッチが無いこと、リバースウェルトに比べて目立たないので、フォーマルとカジュアルの中間の位置付けと言えます。オールデンには比較的少ないウェルトですが、インディーブーツのオリジナルはstorm welt, 270, close heelです。またstorm weltは以前は360だったようですが、現在は通常"270 / heel forward"になると思います。

⑥close heel:270 degree weltの場合、ヒールの選択肢としてclose/extendedの二種類あります。ヒール手前でweltが収束すると同時にヒールもアッパーの下に隠れるように小さいヒールです。本来の意味はweltがヒールの手前で収束するようにヒールが閉じている(close)からこの呼び名となっているようです。(トップ画像の下段右参照)

⑦extended heel:同様にヒールの手前で収束した270 degree weltがあたかも360 degree weltのようにヒール上部が延長されているからこの呼び名があるようです。必然的にアッパー部よりも大きくはみ出す形になる大きいヒールとなります。360の場合はヒール上部にもweltが付きますので、同じもののように見えますが、本来の意味から360の場合はあえてextended heelと呼ぶことはしません。(トップ画像左上参照)

⑧wide sole extension:通常のソールよりも、よりワイドに張り出したソールです。以前は廃止されていたオプションですが、最近また指定出来るようになったようです。

⑨matched eyelets:レザーと同色のメタルアイレットです。"matched agatine (metal) eyelets"と書かれることもあります(丁寧に"metal"と書いてある方が稀です)。ブーツの場合、9個全てメタルアイレットの場合は、"9 matched eyelets"、フックの場合は、"5 matched eyelets / hooks"と表示されます。因みに単に"agatine eyelets"もしくは"brass eyelets"と書かれてあれば、金色のメタルアイレットのことになります。更に銀色のメタルアイレットの場合は、"Nickel (silver)"と追記されます。

⑩blind / invisible eyelets:シューズに見られるメタルの付かない通常よく見るアイレットです。カーメルではブーツにこのアイレットが採用されたモデルもあります。


【グッドイヤー・ウェルト製法について】

オールデンの靴はグッドイヤー・ウェルト製法により作られています。ソールとアッパーを直接縫い付ける(または接着)ことなく、ウェルト(細革)をまずはアッパー(リブ)に縫い付け(掬い縫い)、次にソールとウェルトを縫い付ける(出し縫い)ことでアッパーとソールがウェルトを介して接続されることになります。

これによりソールの交換が可能になり、何度でもリソール(ソール交換のこと。実際には限界はあるそうです)が可能となります。では、ソールにウェルトがない"270 / heel forward"の場合はどうやってヒールをアッパーと接続するのか?ですが、ヒールは強度的にもしっかりとアッパーと接続されることが必要なので、釘で直接接続することが多い様です。

またウェルトについては、以前Alden Style Forumに詳しく解説しましたので、マシューさんのHPと併せて参照頂ければ分かりやすいかと思います。