ダニー・ザ・ドッグ 闘犬のように生きる男が愛を知り本当の強さを知る
首輪を付けられた孤独な殺人マシーンのダニー(ジェット・リー)は、5歳の時に母親から引き離され、悪徳高利貸しのバート(ボブ・ホスキンス)に金儲けの道具として地下で育てられてきた。
ダニーの心を唯一動かすものはピアノの旋律の記憶だったが、そんなある時、借金の取り立てのために行った骨董品倉庫で、彼は盲目のピアニスト、サム(モーガン・フリーマン)と出会う。
数日後、バートとダニーの乗る車がひどい交通事故に遭い、バートは倒れ、ダニーは命辛々脱出。無意識のうちに再び倉庫にたどり着いたダニーは、サムと再会し、彼の家に迎えられた。
サムは、ピアニストを目指す18歳の養子の娘ヴィクトリア(ケリー・コンドン)と2人で暮らしていた。ダニーは彼らの愛に包まれて、幸せな日々を送るようになる。
一方、しぶとく生き残っていたバートが、ダニーを捜し回っていた。運悪くバートの手下と行き合ってしまったダニーは、地下牢へと引き戻され、バートにデスマッチの格闘場に出場させられる。
しかしダニーは、殺人を頑なに拒むようになっていた。バートはそんな彼を責めるが、だがやがて、昔の写真と、モーツァルトのピアノの旋律によって、ダニーの少年の日の記憶が蘇る。
彼の母(ジャクリン・ツェ・ウェイ)を殺したのはバートだったのだ。
バートはダニーを取り戻すべく、サムとヴィクトリアを襲撃する。ダニーは復讐とサムとヴィクトリアを守るため、バートの部下を叩きのめしバートを追い詰めるが、サムとヴィクトリアの必死の助言により、殺人は思い止まった。
そしてヴィクトリアのピアノの発表会の日、彼女が弾くソナタを聴きながら、ダニーは涙を流すのだった。
ダニーの殺人マシンの時の顔と音楽や料理や初めての経験を体験して盲目のピアニストの優しさや愛に触れヴィクトリアとの淡い恋の中で、人間性に目覚めて本当の強さを知って成長していく、ダニーの変化を演じ切るジェット・リーの演技が素晴らしいし、モーガン・フリーマンの父性愛に満ちあふれた、素敵な演技も良かったです。
ジェット・リーのファイトシーンも、最初のとにかく敵を叩きのめす闘犬スタイルから、愛や人間性に目覚めて、必要以上に叩きのめすのではなく相手の攻撃を防ぎながら倒すスマートな戦い方に変化することで、主人公ダニーの成長を丁寧に描いていて、良かったです。
ヴィクトリアとアイスクリームを食べたり触れあう時のダニーの初々しい無垢な表情、サムから買い物やピアノの調律を教えられる時の子供のようなダニーの表情が可愛いし、ダニーの記憶にあるピアノの旋律がお母さんを殺した犯人の手掛かりになるミステリー要素も良いアクセントになっていて、本当の強さを教えてくれる傑作ヒューマンアクション映画。