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古本屋ブックスパーチ | 鹿児島の古書店 | 古本の買取承ります

営業予定+今週の1冊

2021.08.01 15:00

【営業予定】

8/2(月) 12時〜18時営業

8/3(火) 12時〜18時営業

8/4(水) 定休日

8/5(木) 定休日

8/6(金) 12時〜18時営業

8/7(土) 12時〜18時営業

8/8(日) 12時〜18時営業


【今週の1冊】

『島へ免許を取りに行く』星野博美(集英社)※8/2(月)新刊本で在庫有り

書名の通り、著者が(長崎の五)島にある自動車学校に行き免許を取るために奮闘する様子を書いたエッセイ本。

社交的ではないという著者だが、「人ともっと関わりを持ちたいという欲求」が生じ、仕事以外の人間関係を構築しようとするが失敗する。加えて同時期に愛猫が亡くなってしまいひどく落ち込んでしまう。

何か新しいことに挑んで、それを達成することができたらこの先も少し頑張れるのではないかと考え、自動車の免許を取ろうと思い立つ。(凄い発想だ)

自転車の運転も得意ではなく、カーブを曲がれずに事故ったことがそれまでにも2回ある著者。

運転教習においてもできないことの連続なのだが、できないことへの抗いから少しずつできるようになっていく過程がすこぶる面白い。

また全部で7章あるのだが、運転教本や運転適性診断表から引かれた言葉が各章の冒頭に付されていて面白い。例を挙げる。免許を取ろうと思い立ってまずは自動車学校のリサーチを始める1章では「これから始まる長いカーライフを「一生無事故」で過ごされますよう心よりお祈りいたします(運転教本)」という言葉が引かれる。路上教習を受けている6章では「「見えない」ことは「いない」ことではありません(運転教本)」。どちらもどこか意味深に見える言葉だ。

僕のような地方に住む人間にとって(移動手段として)車は必須のものになっていて、運転免許は社会人であることの条件めいたものになっている気がする。(本来はそうではないはずなのだが)

そう考えた時、上で引いた運転教本の言葉は車の運転能力のみに限らず、何か「社会」というものの中での人との関わりであったり自分の人生においての心構えのような言葉にも捉えられるのではないかと思う。

「一生無事故」を心がけていても起こる時は起きてしまうものだというのは、車の運転においても人間関係においても共通して言えるのではないだろうか。

新しいことを始めるにあたっての、教訓のようでもありお守りのようでもあり、妙に心に残る言葉だ。

僕自身、今でも車の運転は得意ではなく、自動車学校での教習は順調な進行とは言い難いものだったので、著者の自動車学校での苦闘の日々は共感することが多かった。

一方で著者同様に40代で挑戦できたかというと非常に心許ない。

少なくとも相当な熱意がないとできないなと思い知らされる。

著者が無事に免許を取れたのかどうかはぜひ本を読んで確かめてほしい。

また車の免許に限らず、何か新しいことに挑戦しようかなという気持ちが少しでも湧いた時にもおすすめできる1冊だ。


【関連しておすすめしたい本】

・『今日も一日きみを見てた』角田光代(KADOKAWA)※8/2(月)新刊本で在庫有り

→愛猫観察エッセイ本。

生後三ヶ月の子猫を飼い始めたことで彩られる新しい生活の日々が綴られている。

紀元前と紀元後をもじった言葉、B.C(Before Cat)とA.C(After Cat)と著者が言ってるのが面白い。

猫を飼う前と後ではまるで世界が異なってしまったという。

猫に自分の世界をどう変えられたのか。

猫に自分の世界を変えられるとはどういうことなのか。

まだ猫を飼ったことがない人にも読んでみてほしい1冊。