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yoyo

寺地はるな『どうしてわたしはあの子じゃないの』

2021.08.01 13:46

寺地はるなさんの『どうしてわたしはあの子じゃないの』を読み終える。「田舎の閉塞感」という一言で片づけられる物事についてかなり具に描かれているところが面白かった。田舎の閉塞感というのは決定的な何かでなく「親がチャンネルを決して譲らない」とか「鏡の前で髪の毛を整えているだけで『色気づいてる』と言われる」とか、そんな細かな、そこに住んでいる人以外が聞いたら「たかが」と言われそうなことが降り積もってもたらされるものなんだよなあ。だって都会だったらテレビ以外にも楽しみはあるわけだし、髪型を整えることなんて当たり前だろうし。ういう田舎の些細な出来事と絡めて人物たちの心情が描かれていく様が秀逸だった。今でこそ「リ、リアル~」と面白がることができるけれども、天ちゃんは小~高時代の自分そのもので(私は天ちゃんみたいに違和感を口にすることはできなかったけれど)、当時の自分が読んだら救われただろうなと思う。