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”栄養バランス”という神話 その②

2021.08.12 07:00

つづきです。


前の部分を読んでいないという方は

ぜひコチラの記事を先に読んで下さればありがたいです。


”栄養バランス”という神話 その①




犬たちのごはんを考える時、必ず話題に上る「栄養バランス」。


犬の栄養バランスについては

AAFCO(全米飼料検査官協会)が定めるものが基準になっていますが


ただ基準があるだけで

AAFCOがどのような根拠に基づいて基準を決めているのか

調べてもなかなかよくわかりません。


しかもAAFCOの基準は

仔犬期(成長期)用と成犬期(維持期)用に分かれているだけで

犬種や原産国ごとに違いがあるわけではありません。



なんとなく

”AAFCOの基準を満たしている”ことが

「よい食事(フード)の条件」のように感じている人がいるかもしれませんが

そんなはずはないではないか!と私は思います。

*粗悪な原材料を使っても
 AAFCO基準を満たすことは、簡単にできるそうです。
 …が、それは今回の話の本筋とは違うので別の機会に。




人も

日本人とヨーロッパ人では、

食材によって消化の得意不得意があるのだから


犬だって、

みんな同じでいいはずがないと思うのです。



我が子の犬種や原産地はもちろんですが

その犬種のブリードされた目的なんかを考えてみると

ヒントになるかもしれません。


労働のために作り出された犬種なのか

狩猟のための犬種なのか

愛玩目的の犬種なのかによっても

きっと違うのではないかと思います。



そう考えると

AAFCO基準のような「栄養バランス」なんて

あてにならないことが分かるのではないでしょうか。




ずーっと昔に参加した犬のごはんの作り方の教室で

「犬に必要なタンパク質は体重の何パーセント」なんて言われて


ふむふむ、なーるほど!なんて思ったけれど


浮腫みや脂肪でかなり変わってしまう体重なんて

全然あてになるはずがないし、


今は「そんなのみんな違うじゃん!」と思うようになりました。




犬のごはんを作るとき

師匠である森先生がよくおっしゃるのは

「目の前の犬を見なさい」ということです。


答えは目の前の犬の中にある、と。



どの犬にも当てはまるような

「最適な栄養バランス」「身体にイイモノ」なんて存在しません。


この子は脂が苦手。

この子は動物性のタンパク質が少し多めでも大丈夫。

この子は穀物を食べると胃腸の調子が安定する。

この子は野菜が多過ぎるとおなかが張っちゃう。


…などなど

必ずしもそんなに単純なものではありませんが、


みんなそれぞれ違うから

目の前の子をよーく見ている必要があるし

その子に合わせてカスタマイズする必要があるんです。




私が信頼している森先生の食事療法は

栄養学的な見方を全く無視しているわけではないけれど


それぞれの栄養素の割合がどうの、ということには

あまり重きを置きません。



犬を見て、

何が多すぎるのか、何が足りないのかを観察しながら

(足りないよりも、多すぎることの弊害の方が大きいと思いますが)

ごはんを考えていきます。



それは当然、口に入れるものだけじゃなく、

生活全体を見直すことにも繋がります。


動物は、食べていればそれでいいというワケではないから。


代謝してエネルギーに変えていくのだし

上手に代謝するには、

運動も、精神面の安定も大事だからです。



おおざっぱに言えば

細かい栄養のバランスよりも、

食物として摂るものと運動や代謝のバランスが崩れることの方が

モンダイだということです。

(そしてそこにはメンタルも関わることになります)




なにかにいいと言われる食材はたくさんあるし

よいと聞けば試したくなるのはすごくよくわかります。


ワタシもかつては

「身体にいい”らしい”」と聞けば

すぐに犬たちのごはんにトッピングしたい人でした。




もう忘れかけているけれど

亜麻仁油やチアシードが流行ったときも

さっそくごはんに取り入れました><


オメガ3脂肪酸は大事。だから足さなくちゃって。



酵素パウダーや酵素ふりかけも使ったし

アミノ酸のパウダーも使ったことがあります。


お肉の種類だって

ありとあらゆる肉種を試したし、

部位で言えば、ハツも肺もマメ(腎臓)もレバーも使いました。


思い出せないけど、きっともっといろいろやってたはず^^;




でも、

森先生から食事療法を学ぶようになって思うことは

あれこれ与えすぎる事の弊害の方が

よほど大きいということです。


ご相談を受けたり

お散歩で話したりする子の様子を見ていても

過ぎた部分が病気に繋がることを実感します。


プラスすることばかり考えがちだけれど

引いていくことにもっと目を向けるべきです。


巷でいいと言われるものも

うちの子にとっては余計なものかもしれないから。





モチロン、

明確な目的があるならば、使って効果を試すのはいいことだし

足すことで明らかな体調の良化があるときは

続けて使うのもいいと思います。


またシニアになれば

補ってあげることが必要なこともあるでしょう。



でも大抵のものは

普通の食材を摂ることで身体に入ってくるはずだし


必要以上に入ってきたものは

当然、代謝に大活躍してくれる肝臓や腎臓に

大きな負担をかけることに繋がります。



気を付けるのは

足りないことよりもむしろ

「あれこれ与えすぎ」の方だということを

肝に銘じておく方が安全なんじゃないかなと思うのです。




栄養のバランスを

全く無視していいとは思いませんが


広く「こうあるべき」と言われている栄養バランスよりも

目の前のその子に最適な質と量を考えることが大事だと思います。


それはとてもパーソナルなもので

年齢と体重を何かの基準に照らして

簡単に「こうですよ」と言えるものではないのです。



様々な事情で「手作りにはできない」という飼い主さんも

たくさんいらっしゃるかと思いますし

そこはそれぞれの考え方だと思っていますが



「栄養バランスが崩れるから」

という理由で手作りを敬遠しているのであれば

もったいないですよ!と思います。



基本のところを押さえるには

やはりある程度学ぶ必要があると思いますが


むしろ、

パーソナルにカスタマイズできる手作りのメリットは

計り知れませんよ!と


声を大にして言いたいです^^