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超人ザオタル(27)新たな使命

2021.08.03 00:25

私は黙ってタロマティの話に耳を傾けていた。

「よく分かったよ、タロマティ。

アルマティにどんな話をするか心配なら、一緒に聞いてみたらどうか。

私はいずれここを去ることになる。


その前に私の話もあなたの記憶にとどめて欲しいのだ。

それがどんな印象をあなたに与えるとしても。

それが私ができるあたなへの恩返しでもあるのだ。

いや、こうして助けられたことは、あなたもそれを聞く必要があるということだ。


どんな話ができるかは分からない。

それでもタロマティに聞いて欲しい。

多くの道を行く者のひとりの話として。

もちろん、私はふたりのここでの暮らしを尊重する。


不用意にアルマティを焚きつけるようなことは言わない。

それでどうだろうか」

私はタロマティの目に安堵の色が浮かぶのを見た。

「それで構いません。


私もお話を一緒に聞くことにします、ザオタル」

タロマティは就寝の挨拶を言って部屋を出ていった。

そうは言ったものの、それほどの話などどうせ出来はしない。

私はまだ道のことなど何も知らないのだ。


私はふたりを騙しているのではないかと気になった。

ふたりは私を買いかぶりすぎているのでは。

私がしてきたことといえば、間違いばかりだ。

ただ何度も間違いから戻ってくる繰り返ししかしていない。


私はまだ確かな真理など何もつかんでいないのだ。

自信を持って話せることなど何があるというのか。

そう思うと、急に自分から力が失われていくのを感じた。

いったい私はここで何をしているのだろうか。


アルマティやタロマティはここでの暮らしを立派に打ち立てている。

それは地に足のついたことだ。

それに比べて私はただ道を歩いてきただけだ。

誇りを持って差し出せるものなど何も手にしてはいない。


道の話など何の役に立つのだろうか。

夢の中の物語としては面白いかもしれない。

それだけの話しだ。

私からずれば、ふたりの方が随分と立派なのだ。


それに私はここで自分の生活を始めるのも悪くないと思ったばかりだ。

道を行く人生を終わりにしようとさえ考えていたのだ。

私自身が道について失望していた。

何も得ることのない人生に意味を見いだせなくなっていた。


私は自分がよく分からなくなった。

久しぶりに瞑想をしてみようかという気になった。

身体が癒えてからも、随分と瞑想から離れてしまった。

瞑想する意味さえ、私は失っていたのだ。


ここにきて、またあの道に戻された感じがする。

私は少し不安を感じながらも椅子に座ったまま目を閉じた。

あの感覚を確かめるように、心の奥へとゆっくり沈んでいった。

そしてこれ以上深いところはないところで止まった。