【幸せのためのヒントFile 4:エネルギーであふれた熊谷のソーシャルファーム 〜埼玉福興の日常②〜】
《月刊ケアマネジメント》(環境新聞社)で連載させていただいている〈幸せのためのヒント〉。
8月号では前号にひきつづき、埼玉県熊谷市にあるソーシャルファーム(*)・埼玉福興株式会社を経営する新井利昌さんに伺ったお話を紹介しています。
埼玉福興が考える「はたらく」について。
知的障害者、依存症の人、引きこもり、元受刑者など様々な事情や特性をもつ人たちを、どうやって“チーム”にしているのか。
キーワードは「たまねぎ」。
記事全文PDF▶︎▶︎▶︎エネルギーであふれた熊谷のソーシャルファーム 〜埼玉福興の日常②〜
*ソーシャルファーム(Social Firm)とは?
障害者、依存症、認知症、引きこもり、元受刑者など、就労に困難を抱える人を受け入れ、サポートしながら、他の従業員と一緒にはたらける場を提供する社会的企業。
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大空の下に広がるクラリスファーム(埼玉福興が運営する農園)には毎日、いろんな人が出入りしています。
見学や取材に来た人、提携している農業関連の会社や特例子会社の人、ソーシャルワーカー、コラボしているデザイナーやアーティスト、料理人など。
2021年7月には、地域に点在する魅力的な生産者や食のプロフェッショナルたちとつながって観光客を受け入れる“スローフードツアー”、Local Life Travelを始動。
訪れた人に、おいしいものを食べたり自然のなかを散歩したり、農作業をしたりして、リフレッシュしていただきたいという想いで企画したそうです。
「ソーシャルファームとか難しいことを言わなくても、それでいいんじゃないですかね」と、新井さん。
いろんな人がごちゃ混ぜになって存在するのが当たり前であり、誰もが心身ともに健康である状態“社会的健康”を、埼玉福興では目指しています。
食やアート、デザインなどの力を借りながら、楽しく。
印象に残った新井さんの言葉は、
▶︎ みんなの頭のなかを24時間、玉ねぎで染めるんです(笑)。ケンカっ早いやつもおとなしいやつも、玉ねぎが共通の話題になってまとまっていくんです。
▶︎ できないことは、頑張らなくていいんです。できる人にやってもらう。例えば、収穫した農作物を運ぶことしかできない人に、無理に違う仕事を覚えてもらう必要はないんです。運ぶだけで十分じゃないですか。できることがある場所が、その人の居場所になれば。
▶︎ 一人でいると“障害者”だけど、チームにしたらなんでもできる。品質の高い玉ねぎをつくることもできます、農家さんに負けないくらい。“問題児”も集団のなかにポンって入ると、問題児じゃなくなるんですよね。みんなとのかかわりのなかで、自然となじんでいくから。
▶︎ これまで福祉や農業のコンサルタントに頼らずやってきました。いくら時間がかかってもいいから、何度失敗してもいいから、自分たちの手で積み上げていくべきだと思ったからです。そうすれば、見学や相談に来る人たちに、自分たちで直接伝えて、ノウハウを広めていくことができるから。
クラリスファーム(埼玉福興)には、「また行きたい」「あそこで働いている人たちにまた会いたい」と思わせる、“吸引力”みたいなものがあります。
新井さんと埼玉福興で出会ったみなさん、写真を提供してくださったTOKYO SOCIAL DESGINに感謝。