アイを集めて エゾアジサイ
蝦夷紫陽花(えぞあじさい)
青や紫や藍色等の小さな装飾花(萼が発達したもの)が集まって一つの大きな花の固まりを作るアジサイの花。
“集(あつ)まる”を意味する“あづ”+藍色を意味する“真藍(さあゐ)”で『集真藍(あづさあゐ)』。そこから音が転じて「あじさい」。
では、現在の漢字表記の「紫陽花」はどこから来たのか?というと、由来は中国の唐の詩人・白居易(西暦772-846年)の下の詩にまで遡る。
何年植向仙壇上
早晩移栽到梵家
雖在人間人不識
与君名作紫陽花
(書き下し文)
何れの年に植えて仙壇上に向かう
早晩移し栽えて梵家に到る
人間に在りと雖も人識らず
君に名を与えて紫陽花と作す
(意訳)
いつごろ仙人の世界で植えられたのだろう
いつ、この寺に移し植え替えられたのだろう
人間の世界にありながら誰もその名前を知らない
君に紫陽花と言う名を与えよう
これを日本の平安時代の歌人で学者の源順(みなもとのしたごう・911-983年)がアジサイのことだろうと思い、アジサイに「紫陽花」の字を当てたと言われ、それが広まって定着した。
しかし、実はアジサイは日本の固有種で、白居易の生きていた時代の中国にアジサイは存在せず、この詩の"紫陽花"は恐らくライラックのことではないかと考えられている。
一般的によく見る毱のように丸く装飾花がつくものを"手毬咲き"と言い、このタイプを"ホンアジサイ(本紫陽花)"と呼ぶ。
原種はホンモノの花=花序の周りをぐるっと装飾花が取り囲む"額咲き"タイプで、これを"ガクアジサイ(額紫陽花)"と呼ぶ。
ガクアジサイの原種で、山地・山里に咲くものは”ヤマアジサイ(山紫陽花)”、海岸に咲くものは”ハマアジサイ(浜紫陽花)"。
ヤマアジサイの北方種で、北日本・主に日本海側に咲く、装飾花が薄青~水色のものが、北方を意味する”蝦夷”を頭につけて『蝦夷紫陽花(えぞあじさい)』。
花言葉
・花全体:移り気/浮気/変節/和気あいあい/家族/団欒
・青〜紫花:冷淡/無情/辛抱強い愛情