岸辺露伴は動かない 「ジョジョ」スピンオフ待望のドラマ化
主人公は荒木飛呂彦氏によるマンガ『ジョジョの奇妙な冒険』(以下、ジョジョ)第4部の登場キャラクター・岸辺露伴。彼が未知なる怪異や謎に遭遇するストーリーを描いた短編集が『岸辺露伴は動かない』だ。
今回実写ドラマ化されたはエピソードは、露伴たちに奇妙なマナー試験が課せられる『富豪村』(コミックス『岸辺露伴は動かない』収録)、謎の言葉にまつわる騒動『くしゃがら』(短編小説集『岸辺露伴は叫ばない』収録)、記憶喪失の青年が鍵を握る『D・N・A』(コミックス『岸辺露伴は動かない』第2巻収録)の3篇。
第1話「富豪村」
周囲から隔絶された山奥に豪邸が立ち並ぶ“富豪村”。所有者はいずれも各界で成功した大富豪ばかりで、20代でこの村の土地を所有して成功しているという。ただし、ある条件をクリアしないと買うことが許されないらしい。真偽を確かめるべく露伴(高橋一生)は、編集者の泉京香(飯豊まりえ)と共に富豪村に赴く。そこで課されたのは奇妙な試験だった。それは“マナー”。マナーに寛容はない。「正しい」か「正しくない」か…
第2話「くしゃがら」
露伴(高橋一生)は同僚の漫画家・志士十五(森山未來)から奇妙な相談を受ける。担当の編集者から「くしゃがら」という言葉は使用禁止だと言われたのだ。しかしネットにもどんな辞書にも意味は載っていない。使うなと言われると使いたい。だが意味を知らないと使えない。何かにとりつかれたようになった十五を露伴がヘブンズ・ドアーで“本”にすると、そこにはうごめく何かが存在していた。
第3話「D.N.A」
担当編集の京香(飯豊まりえ)から付き合っている写真家の平井太郎(中村倫也)の記憶喪失を“催眠術”で探って欲しいと頼まれた露伴(高橋一生)。写真家だった太郎は6年前に交通事故にあい、一命は取り留めたが、社会復帰できずにいた。京香に太郎を紹介され話しているところに娘を抱えた片平真依(瀧内公美)が通りかかる。すれ違い様、娘の手が太郎の袖をつかみ転倒させてしまう。露伴はその瞬間、娘に異変を感じていた。
賛否両論あった実写版映画の教訓を踏まえて、スタンドなどファンタジー要素を省き日常から少し外れた奇妙な世界をセットやロケや衣装で徹底的に作り込み、原作コミックが連載中から岸辺露伴に憧れていた高橋一生の高飛車な台詞回しの中でマンガに対する情熱や義侠心やプライドの高さを表現し抜いたなりきり具合の良い熱演、「富豪村」での露伴と編集者がするミスと代償を変更してエリザベス女王のマナーについてのエピソードを入れることでよりリアルにスリリングに痛快感を増し、「くしゃがら」では好奇心を媒介に伝染する言葉の魔力を袋とじの中にヌメヌメした黒いものが蠢く描写で描き「くしゃがら」に取り憑かれた人間の壊れっぷりを森山未來が演じる怪演など原作コミックの絶妙なアレンジと高橋一生など一流キャスト陣のハイクオリティな演技とレトロな世界観がピッタリ合った傑作サスペンスホラーミステリードラマ。
今度は、全12話くらいの連続ドラマで見たい。
NHKオンデマンドで、配信中。