外壁工事のチェックポイント
外装リフォームの教科書 Vol.7
外壁工事のチェックポイント
工事の管理は、見積もりとの照合や工程の管理、現場の安全等、確認するべき項目が多々ありますが、特に外壁は面積が広い上、見えにくい箇所が多くて確認作業に手間取ることもあるでしょう。工事中のチェック漏れがないようにするためにも、見逃しやすいポイントや、押さえておくべきポイントを事前に確認しておくことが大切です。
「QCDSE」の5つの視点でチェックする
外部の工事は天候に左右されやすいため、工事できない日が続くと工期内の完了が厳しくなることもある。しかし工期を気にする余り、職人の安全を鑑みなかったり、工事の品質を落としてしまうことは決してあってはならないことだ。工事管理の基本として言われているのが「Quality(品質)」「Cost(原価)」「Delivery(工程・工期)」「Safety(安全)」「Environment(環境)」の5つで、まとめて「QCDSE」。例え小さな工事でも、この5つの視点からバランスよく工事をチェックするようにしよう。
【品質管理(Quality)】
外壁工事の種類(塗装工事・カバー工事・張り替え工事)に応じた施工マニュアルを事前に確認し、マニュアル通りに工事が進められているかどうかを要所要所でチェックしよう。写真を撮って記録することも忘れずに。特に施主からの申し出事項や現調時の問題点はチェックシートに書き込んでおこう。また専門的な知識が必要な場合は、速やかに設計担当者やメーカーの担当者等に確認を。
【原価管理(Cost)】
原価は、簡単に言えば材料費や人件費、固定費といった工事を達成するためにかかるコストのこと。工事中は予定している利益を出すためにも、予算外のコストを出さないよう努力する必要がある。さらには使わなくても済むような予算があればコスト削減して利益を生むことも意識したい。原価管理は予算書と現場を照合しながら原価に関わる事項をチェックしていくことが基本だ。
【工期・工程管理(Delivery)】
工程管理は、決められた工期の中で品質が高い工事を行うため、工程表をもとに進捗状況をチェックしていく作業だ。また工期は契約時の決め事だが、悪天候続きで工期を守ることが厳しくなることもある。だからといって塗料の乾燥時間を短くするなどの品質を落とす行為は本末転倒。施主との間で工期延長の覚書を交わす必要があれば速やかに交わして工程を組みなおすようにしたい。施主に進捗状況をこまめに報告することで、施主の理解を得られるはずだ。
【安全管理(Safety)】
工事現場の合言葉は「安全第一」だ。常に危険にさらされていることを念頭に置いて作業を進めなければならない。工事管理では基本的な安全対策をとることに加えて、「今日の工事ではどのような危険が考えられるか」を予測し、「そのためにどのような安全対策が必要か」を考え、「職人への声掛けとチェック」を確実に行う必要がある。
▲台風や春一番といった強風が吹く予報がある日は、風対策をしよう。
足場が強風にあられないよう、ネットを畳む(上)資材や廃材はとばされないようにシートで覆ってひもで結ぼう(下)
【環境管理(Environment)】
外装リフォームは、居住者が生活しながらの工事であることを常に意識しよう。また足場工事に於ける騒音や道路の使用、塗料が付着する心配などで、近隣からの関心が高いことも念頭に置く必要がある。現場の環境を良くして気持ちよく作業をするためにも、挨拶や作業後の後片付け、大声で話をしないといった基本的なマナーを徹底することが大切だ。
リフォマガ2021年3月号掲載
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