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セラミック事業

2017.02.07 12:35

以前、ナイロビ大学に訪問に行った記事を書きましたが、改めて行ってみました。

目的は、セラミック(陶器)の講義を担当している、先日仲良くなった教授に再び会うためです。

彼は日本でセラミック技術を学んだあとにケニアに戻ってきて、今はその技術を生徒に教えています。僕自身、販売先であるマーケットがどうなっているかは調査不足なのですが、その事業の可能性には面白さを感じました。

アフリカでは、性の安売りなどによるシングルマザーが多くいる現状なのですが、多くの場合、彼女らはフルタイムの職に就くことができません。

なにより、そうした彼女らの内職などの雇用対策に繋がる可能性を秘めている点が素晴らしいと思います。こうしたローテク領域は、教育レベルの低い地域でも雇用を創出しやすいため、スケーラビリティも期待できます。

今後の展開として、ケニア・タンザニア・ウガンダでの事業開始と雇用創出を計画しているそうです。



以下、考察

・セラミック事業の可能性

・販売

・競合優位性

・現状の課題感

・制作工程



▼セラミック事業の可能性

ビーズ工芸品制作などによって、シングルマザーなどの内職による雇用創出が可能

(※トレーニングに1ヶ月要する)

オリジナリティのあるハンドメイド作品はニーズがある

素材となるCray(粘土のような陶器の元となる素材)が安価で入手できる



▼販売

□ターゲット

現地の富裕層

ECによる先進国などへの販売網拡大


□収益性

例)500グラムの陶器制作

Cray(素材)75円

労働(人件費)30円

電気(2回の焼き作業)300円

Glaze(うわ薬)100円

合計 505円(販売価格は600円)

※ただし、電気の工程のところでは、焼き器に100個まで入るため、30円に圧縮可能(実質230円)



▼競合優位性

ケニア山の麓で良質なCrayが安価で入手可能(頭頂の雪解けによって岩が徐々に砕かれながら麓へ運ばれていくため、粉砕費用が不要)

ケニアでは1kg2ドルほどの購入価格に対し、USや日本などから仕入れる場合は1kg20ドルと約10倍のコストがかかる



▼現状の課題感

①高価なGlaze(うわ薬)

アフリカでは手に入らず、イギリスからの輸入に頼っており、輸入税が30%発生

②高価な電気代

電気が難点になることが多いアフリカでは、焼き上げの際に必要な電気代のコスト高が大きく影響する

③中国の安物が競合

中国勢力の安物品との市場競争

中国 自動制作 30円  300個/時間(カップのみを大量生産)

工房 手動制作 300円  20個/時間(オリジナル作品を個別生産)

いかに原価を抑えてオリジナリティある作品をスピーディーに市場に卸していけるかが鍵



▼制作工程

①素材調達

ナイロビ大学から150km離れたケニア山からCrayの輸送を行う

②つなぎ

Crayと水と混ぜ合わせ、陶器素材の原型を作成

③Sieve(ふるい)

石灰と混ぜたあと、こし器でふるいにかける

④ろくろ

⑤燃焼


⑥Glaze

焼き上がり作品へ、様々なタイプの色のGlaze(うわ薬)をかける

⑦燃焼

Glazeのかかった陶器を再び焼き上げる

⑧完成

後ろの棚に並んでいるのは生徒作品