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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

アマデウスの旅26-「魔笛」オペラからの革命

2021.08.07 11:18

さて「魔笛」である。このオペラは音楽におけるフランス革命の表現とも言われる。確かにテーマは夜の女王の絶対支配する世界から、民衆が暮らす昼の世界への変革である。オペラの最後はこれまでのように調和で終わらず、夜の女王は逃げ出し、朝が到来する。

主役のタミーノは誰にも属していない。が、女王の3人の侍女に最初からカッコいいと言われるヒーローである。恋人のパミーノを救い出す冒険をして、世界を取り戻すまるでアニメの世界。この試練はフリーメーソンの入会の試練。つまり自立して啓蒙された個人が新しい世界を救うのである。

さらに鳥刺しパパゲーノの民衆の世界がある。彼は女王に従属して日々の生活を営んでいるが、タミーノを助けて自分も恋人を探し当てて自由になる。旧世界、新世界を創るヒーロー、そして民衆の世界が、童話のような世界を借りながらも、混然一体となった音楽世界を創るのが魔笛の魅力なのだ。

ヒーローっぽいタミーノだけでなく最高難度の夜の女王、親近感のもてる面白いパパゲーノ、重厚なザラストロのアリア、さらに重唱や冒険が加わり、貴族ではなく、民衆の見やすいファンタジーを創造した。それは現代のディズニーや日本のアニメにまで続くファンタジー世界なのだ。