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Baby教室シオ

絵本『どろんこハリー』

2021.08.22 00:00

やんちゃで生き生きしていてエネルギーのかたまりのようなハリーの冒険物語。

1964年に出版されたこの絵本は、タイトル通りハリーという名の犬が家を抜け出して町の中のいたる所で遊びを謳歌し、気持ちの良いほどの汚れっぷりで白から黒に変貌します。そろそろ家に帰ろうと思い立ち自宅へそそくさと帰るも飼い主にハリーと気づかれず、あの手この手で分かってもらおうとするのですが・・・・ストーリは絵本を読んでのお楽しみ。

57年前に出版された作品ですが、絵本の中に表現されている本質の部分は時代が変わろうとも新鮮で私は3つの目線でこの絵本を楽しんでいます。

1つめはシンプルにこの物語を読みきかせるという立場で、2つめはハリーを我が子の小さいときや生徒さんのエピソードを思い出しながら、3つめは愛犬とハリーをだぶらせて見方や感じ方に変化を持たせています。

この絵本の面白さはやんちゃなハリーが汚れることも気にせず白から黒の毛並みに変貌すること、飼い主に自分であることを夢中でアピールする健気さ、気付いてもらえるなら苦手なお風呂や硬いブラシだって我慢する、どんなに心惹かれる冒険であっても我が家が一番安心できる場所であることなどが心温まる絵の表現が随所に散りばめられています。

現代の子供が読むには石炭やすすで汚れてしまい黒くなるということがピンとこない子もいるでしょう。そのような時はバベキューで用いる炭で手が汚れることやキャンプで使用したクッカーやケトルについた煤を理解していればその意味が分かるでしょう。絵本を読み解くには経験が一つでも多ければ身近に感じやすくなり理解しやすくなります。

犬を飼っておられるご家庭のお子さんは犬にも表情があることを理解しており、ハリーの表情の変化に気づくことが早く「ぼくのマルもこんな顔するし、おやつがほしいときには目でおやつの場所を見るんだよ。」と話をしてくれることもありました。犬を飼っている子にとりこの絵本は共感でき心にグッと入ってくるものであり、愛犬の気持ちを分かろうとする観察眼や優しさも育ててくれます。経験してわかることもそうですが絵本を通して知ることや気づき、考えること、感じることをたくさん学んで欲しいと思います。