ヒイロ ” アマゴ ”
私ども米良鹿釣倶楽部、実は結構マメに理事会を行っています。(手前味噌で恐縮ですが。)
大体2月に1回は、貸し会議室やファミレスの一画で、事業の進捗状況とか、計画とか、予算の関係とか。
当然、このコロナ禍ですから手指の消毒、マスク、そして短時間での議事進行と、出来る限りの感染対策を行いながらです。
もちろん、会議後の打ち上げはナシ。
そして昨日も理事長、先生、私、BORAやんの4人で、色々と話し合ったのですが、その際、ビックリするような話しがありました。
少し遅れてファミレスにやってきた先生、議事進行をしていた私が、
「先生、例のお話し、されます?」
と水を向けると、
「ええ~?今でいいんですか?」
何だか少しもったいぶったような感じ。
「分かりました。じゃあ先生の解析の話しは一番最後に。」
予定していた議題をちゃっちゃと済ませて、
「じゃあ、先生、お願いします。」
先生、おもむろにA4の紙をみんなに渡します。
その上には、いつものヤマメ・アマゴのハプロタイプの分布図が印刷してあり、その上に先生の手書きのメモが書いてありました。
「え!? 先生、コレ?」
「そうなんですよ。DNA 解析を行った結果、〇〇川のヒイロヤマメとその日採取した他のサンプルほとんど全部、いわゆるアマゴのグループでした。」
「じゃあ、もしかしたらあの赤さって朱点になる前とか、そんな可能性があるかもしれないんですか?」
「まだよく分からない部分も多いんだけど、朱点の出来そこない、みたいな可能性もあるかもしれないね(笑)。」
先生が茶目っ気いっぱいの笑顔でおっしゃいます。
※「アマゴのグループ」については、以下のリンクをご覧ください。
じゃあ、今年の3月、冷たい雨の中出会った、
この魚も、
このチビッ子も、
この側線上の赤さも、
この小っさいパーマークも、DNAは全部、「アマゴ」だなんて。
従来ここ、九州、宮崎にはアマゴはいないとされていて、でもそれは先生の研究で間違いだと証明されたのですが、もしかしたら、この特徴的なデザインが、アマゴのそれかもしれないと思うと、、、。
そして、この、何回見ても目を奪われるこの ”緋色(ひいろ)” 。
もしかしたらエビやカニのような甲殻類を偏食して、アスタキサンチンという赤い色素が~、とか、落葉樹の落ち葉の関係が~、とか、ここまで色んな仮説が私たちの間で浮上していましたが、
このぼやけた朱点が、燃えるような色が、いわゆるアマゴのくっきりとした朱点になる前のマグマのような状態に見えてきます。
遺伝学的には国内屈指の多様性を誇る九州のヤマメ・アマゴたち。
もしかしたら、ここにはまだまだ未発見のロマンが隠されているのかもしれません。
そして今まで、「ヒイロヤマメ」と呼んでいたこの魚、これを機に「ヒイロアマゴ」とした方がいいかもしれません。まだ先生には相談してないですが(笑)。
渓流魚の歴史というロマンを追うことは、それだけでも十分楽しいのですが、こんな風に夢のある結果が一つ出てくると、またモチベーションがグン!とアップします。
さあ、次はどの谷へ。
(文・写真:KUMOJI)