リベラルアーツ教育を受けてみて
こんにちは。ワシントン大学に通うりんかです。今回は海外大学のリベラルアーツ教育や学部選択についてシェアしていきます。作者がアメリカの大学に通っているので主にアメリカの大学についてのお話します!(イギリスのことはほとんどわかりません、ごめんなさい!イギリスの大学では日本みたいに受験をするときに学部を選択するようです。)
日本で今ホットなリベラルアーツ教育。ネットで検索して頂ければ私より遥かに上手く説明している方々が沢山います。ここでは、リベラルアーツ教育を受けている自分自身の経験を交えながら思ったことを綴っていきます。
リベラルアーツ教育とは、人間として教養を高め人生を豊かにするために幅広い教育を尊重する教育手法です。リベラルアーツはアメリカの大学における根本となる理念です。アメリカには大きく分けてリサーチ大学とリベラルアーツ大学が存在しますが、リサーチ大学でもリベラルアーツは授業選択をする上でベースとなっています。私の大学を例に挙げると、卒業に必要な180単位中50-90単位は専攻している学部外の授業を受講しないといけません。これらの単位はGeneral Education credits(一般教養)と呼ばれており、Visual, Literary, and Performing Arts (芸術系)、Individual and Societies (社会学系)、Natural World (自然科学系)、English Composition、Quantitive and Symbolic Reasoning (数学系)、Foreign Language (外国語)、やDiversity(多様性)などのカテゴリーに分類されています。
【リベラルアーツ教育、大学入学後に専攻を選ぶことのメリット】
1. 選択肢が多すぎるほど多い!、2年次は学部が決まっていないので授業は選び放題!
アメリカの大学では(特例もありますが)2年生の中盤から終盤にかけて3、4次の間に専攻したい学部を決めます。私の大学では大学受験のようにまた各学部に応募して受かった学部しか専攻できないシステムになっていますが、多くの大学では(特に小さめなリベラルアーツ大学)志望した学部に進めます。これによって、1、2年次のうちはほぼ制限なく好きな授業を受けることができます。この間に自分が大学に進学する以前から興味を持っていた分野の授業を取ったり、羽を伸ばして全く新しい分野の授業を選択したりできます。この自由に探索できる期間は自己の成長において極めて重要です。高校生のうちに学ぶ基礎科目からだけで、本当に好きな学問分野や、将来やりたいことがわかるのでしょうか? 最初からやりたいことをわかっている必要はないのです。日本の高校の場合、高一くらいで文理選択を行い、大学受験もほぼ高一で選んだ道を進みます。16歳、18歳の時点で生涯かけてやりたいことが分かっている人など一握りしかいません(多分)。大学の授業を受けて思っていたのと違ったり、偶然受講した授業の分野にのめり込んだりと大学に入ってから気付くことが多いと感じます。事実自分を含め、実際に多くの学生が大学に入学してから専攻を変えています。アメリカには日本ほど文系理系の仕切りがないので、例えば政治学からコンピューターサイエンスなんかに切り替えるのも可能です。私の場合も、入学当初は公衆衛生学(public health/global health)を専攻しようと考えていました。当時は公共政策×医療に興味を持っていたので「自分の興味にドンピシャだ!」と思っていたのですが、情報学(informatics)の授業を先輩の薦めで受けてみたところ、テック×公共政策に目覚めました。高校時代はなかなかプログラミングなどのテクノロジー分野と触れ合う機会がなかったので、大学で初めて好きだと分かりました。こちらが1年間好きな分野をクルクルとしていた去年、1年生時の時間割です。
秋クオーター:
• General Chemistry (5 credits)
• Introduction to Public Policy and Governance (5 credits)
• Implications of Public Health Genomics (4 credits)
• Freshman Seminar (2 credits)
• Revolution through Art (1 credit)
冬クオーター:
• Intellectual Foundations of Informatics (5 credits)
• Introduction to Psychology (5 credits)
• The Making of the 21st Century (5 credits)
• Immunology of SARS-CoV2 (2 credits)
春クオーター:
• Foundational Skills for Data Science (5 credits)
• The Politics and Law of International Human Rights (5 credits)
• English Composition: Multimodal (5 credits)
• Undergraduate Peer Instructor Practicum (2 credits)
• Special Topics in Leadership Skills (1 credit) (ビザを取得するために受講しました)
振り返ってみると、自分の得意苦手、好き嫌いがこの1年間を通してはっきりしました。心理学や歴史の授業は正直私のテイストに合わなかったです(笑)
2. 自分のニーズに合わせて授業を組める
一般教養の授業が多すぎる!自分はもっと専門分野の勉強がしたい!と思っている学生が多くいるのも事実です。このような学生は一般教養の中でも自分の分野と何かしらの関係がある授業を受けられます。自由な分、1、2年次は人によって広く浅く学ぶか、最初からある程度狭く深く学ぶが選べます。かなりニッチなトピックの授業もオファーされているので面白そうな授業は何かしら見つかります。
3. 学部が多い!ダブルメジャーや副専攻も可能
大学にもよりますが、アメリカの大学は規模も大きい分選べる学部の数が多いです。私が通っている大学には180メジャーあるそうです。専攻が決まっていない1、2年次にいろいろな授業を受ける分、専攻が決まった3、4年次には一つの学問を深堀します。一つに絞れない!という学生にはダブルメジャーや副専攻という選択肢もあります。ダブルメジャーとは二つの学部を専攻することです。政治学と物理学のように文系と理系の学部をダブルメジャーするのは単位的に難しいですが、CSと統計学や生物学と環境学など授業が被るような専攻をあわせるのは案外すんなりできるそうです。ダブルメジャーをするまではいかないけれど、興味分野が一つ以上ある学生は、メインの専攻に加えて副専攻を選べます。副専攻は可能な限り何個でも付け足せます。私も情報理工学か公共政策学のどちらかをメインで専攻し、二つの中で残った方と国際保健学を副専攻する予定です。このシステムは、テクノロジーと公共政策を融合したinterdisciplinary studiesに興味がある私にとっては救いでした。
以上、3点が私の思うリベラルアーツ教育、大学入学後に専攻を選ぶことのメリットでした。少しでも参考になれば幸いです。文章を書くのが苦手なのでお手柔らかに...受験生の方は頑張ってください!