協力隊 谷内龍介
RYUSUKE YANAI 1993年生まれ。山梨県鳴沢村出身。
大学ではリハビリテーションについて学び、理学療法士として1年勤務。地元山梨の林業事業体で2年勤務。このとき、森を整備しながらも森を壊しているのではないかと疑問を持ち、自伐型林業の考えに行き着く。吉野林業のそばの下北山村に興味を持ち来村。2021年4月より森林整備の担い手として協力隊となり2年目。現在、道づくりをイチから岡橋一嘉さんより学び、日々奮闘中。
林業に携わろうとおもったのはなぜ?
東京で介護の仕事をしていたのですが、このままおじいちゃんおばあちゃんのお世話をしていくのもいいが、もっと広い意味で、自然に対して貢献できることはないかと調べていたら林業に行き着きました。すぐに介護の仕事を辞めて、地元の山梨で林業事業体で、働きはじめました。
下北山村に来たきっかけは?
関東の方も、いくつか見学に行ったのですが、関西だと、道づくりの指導者、岡橋清隆さんがおられ、自伐型林業協会代表の中嶋さんにも東京で直接お会いし相談したら、下北山村を勧められました。実際に村に来て、見学をしていくなかで、学べる環境、重機などがそろっているのがわかりました。吉野林業の近くで学びたい気持ちがあったので、役場の北さんが林業について理解があることや、見学するときに一緒に村内を回っていただき説明をうけ安心感があったので、下北山村に来ました。
下北山村での暮らしはどうですか?
暮らしはだいぶ慣れました。最近は蒸し暑いです。。。毎週、土日は熊野に買い出しにいくリズムで過ごしています。近所の方には、草刈りなどで交流して優しくしてもらっています。
谷内さんのある日の1日を教えてください
朝おきて ご飯たべて 役場に早めにいって コーヒー飲んで
現場にいく 道つけして 夕方もどって Slackに1日の記録を報告して 帰宅
最近はこんなリズムです。
自伐型林業を知ったきっかけは?
林業に携わって2ヶ月くらいの時に、自伐型林業協会の中嶋さんの鼎談のYouTubeをみて自伐型林業について知りました。共感した点としては、長期的に管理して、大径材生産をやっていく自伐型林業に可能性を感じました。山梨の事業体では、皆伐や列状間伐をやっていたのですが、富士山の林道の周辺の道そばの皆伐された場所がありその向かい側の山が倒木が多いのをみて、どういうことだろうと疑問が生まれました。もっと、育てる林業をやってみたいとおもったのと、自分が切った木がその先どこにいくのかわからない状況はよくないと思い、自伐型林業のやり方に興味を持ちました。
下北山村の好きなところは?
前鬼の切り立った環境、厳しい自然が残っているのは好きです。大峯奥駈道は、歩いてみたいです。あと、作業道のある現場の滝ノ谷の水辺がある雰囲気も好きですね。
作業や道づくりは慣れてきましたか?
伐倒は狙ったところに倒せるようになりました。道つけは、少しずつできることが増えてきて楽しいです。ただ、道に大きな岩などでてきたらどうしていいか困りますね。苦しみながらも葛藤しながらも、進んではいます(笑)
森づくりについては?
選木については、選んだ木(伐る木)を伐った後に、残した木がどうなるかが、予想がつかないので難しいです。間伐をしたら、残した木は、成長していくと思いますが、なかなかそのイメージをつかみづらいです。選んだ木を確認してもらったときに、「影響を及ぼさない木はそのままほっておいていい」とよく一嘉さんに言われます(笑)選木は、今後の森づくりに影響を与えるので、なかなかおもいきって選ぶことができないですね、とても慎重になります。
森の魅力、価値については?
森のそばにいると、風の音、鳥の声などに癒されます。森には、「災害を防止する」「建築等の木材の資源」などの価値があるので、その森を育てている仕事そのものにも、価値があるんだなとおもいます。
最近、嬉しかったことはありますか?
滝ノ谷の作業道が仕上がったこと。大きな岩がでて、おもっていたところまでは行けなかったのですが、「できたなー」とおもいました。
協力隊での働き方はどうですか?
自分で予定を決めれるので、いまのこのペースでいい感じです。作業道をつくるだけでなく、森づくりについても今は知識がおいつかないですが、学ぶことが多いので勉強になっています。林業とプラスアルファの仕事を少し考えてはいますが、今は、道づくりにを学ぶことに集中しています。木を育てること、道づくりをして生きていきたいとはおもっています。できれば季節的には秋冬で林業をして、春夏に違うことをするのもいいなとおもったりします。秋冬に伐採するほうが山にもいいので。ものづくりとしては、お線香をつくってみたいのと植える時に必要な苗づくりは、してみたいなと思います。上勝町のような葉っぱビジネスのようにおじいちゃんおばあちゃん、おじちゃん、おばちゃんが、元気に過ごす村になるといいなとおもいますね。自分もいずれ歳をとるので。(笑)もっと苗づくりについても知りたいです。
岡橋一嘉さんに、ご指導いただいていますが、この数ヶ月どうでしたか?
わからないことは直接、聞けて月5回、来村いただいているので、十分勉強になっています。もともとスギ、ヒノキを伐ったことがなかったので、伐倒の基礎、上方伐倒も初めてで一から教えてもらい、プラロックで丁寧に倒す方法なども学べました。現場では、道づくりを繰り返して経験してやっていくしかないなとおもっています。別の地域の協力隊、同期との交流もできたらと思います。
先日の原田勤さんによる林内車をつかっての搬出はどうでしたか?
原田さんに学んだときに、林内車って意外に木材の量を搬出できるんだとびっくりしました。トビをつかって木を出すのは、結構な体力がいるなっとおもいました。(笑)林内車は、今後も使ってみたいです。
谷内さんの夢はなにですか?
山にはずっと関わっていきたいですね。山のそばで、歳をとっても安心して暮らしていける環境をつくりたいです。自分の山を持って道づくりをしてみたい!というのはあります。
これからやってみたいことは?
困っている、山主さんの声をもっと聞いてみたいなとおもいます。あと、スギ・ヒノキの山を樹種転換する場合でも、景観林にするだけではなくて、木材の活用方法や使い道を見据えた樹種を植えて、育ててみたいなと思います。
後記
日々、やったことがないことに取り組む谷内さんの姿は清々しい。これから多くのことを経験して、森との、人との関わりを大切にして、成長していくプロセスをおもいっきり楽しんでもらいたいです。