名牝の系譜~細い糸で繋がった命①
2017.02.14 00:33
【誕生】
2016年4月27日ハープスターの初仔が生まれる。
そこから遡ること26年前、1頭の牝馬が社台ファームで生まれた。
父トニービンは、社台グループが輸入した新種牡馬。
凱旋門賞馬ということもあり、当時話題を集めた期待の新種牡馬であった。
母アンティックヴァリューは、ノーザンダンサーの直仔で
社台の総帥吉田善哉が肝いりで輸入させた馬であった。
欧・米の結晶が日本で誕生したのである。
しかし、その期待が失望に変わるには時間がかからなかった。
母アンティックヴァリューには脚部が不自然に内側に曲がっている「内向」という身体的
特徴があった。
不幸にもこの仔は、その内向を受け継いでしまっていたのである。
この内向というものは、競走馬として致命的ではないものの重大なハンデである。
馬の脚部に多大な負担をおよばすらしい。
この仔も少しのことで脚部に異常が生じ、育成調教も順調にすすまなかった。
そのうちに「競走馬としてデビューできないのはないか」と声が
牧場内で囁かれようになる。
しかし、その状況に光がさす。
1歳秋、試験的に坂路調教が取り入れられることになる。
そうすると、脚部への負担が軽減し、馬の動きが変わり始め
競走馬としての道が開け栗東の松田博資厩舎に預けられることになった。
所有は、出生当初は社台RHで出資対象の馬の予定であったが
内向のため吉田善哉の妻和子所有となった。
顔面の白斑の中に斑点があったことから、これを星に見立てて
織姫星にあたるベガと名付けられた。
「七夕で人々が短冊に書いた願いを叶えるように、みんなの願いも叶えてほしい」という意
味も込められていた。
つづく