ブロードチャーチ~殺意の町~
2013 イギリス ドラマ
ネタバレしています!ご注意下さい!
絵面からして暗~いので、あまり手を出せずにいましたが、
とんでもない良作ドラマでした。
11歳の少年ダニーの遺体が海岸で見つかるところからはじまり、
小さな田舎町で捜査がはじまります。
刑事が主役で、事件は一つなので、
とても単純で、ありがちなんですが、
登場人物1人1人がとても丁寧に描かれていて、本当に深い。
それぞれの感情が手に取るように伝わってきて、
特に被害者少年の母親ベスとか、
刑事のエリーとか、
母親たちに感情移入してしまいました。
淡々とですがしっかりと描かれているので単調になることなく、
最後までじっくり堪能できるドラマです。
続きが気になって、3日間くらいでいっき見してしまいました。
刑事ドラマだと、
犯人は絶対悪、被害者は善、被害者家族は悲しみに暮れ・・・
と型にはめて描かれがちですが、
事件が起きた後の日常がとてもリアルに描かれていて、
報道に惑わされる町の人々とか、
悲しみと怒りで行動してしまう10代の被害者の姉とか、
周囲からの好奇の視線にさらされ、悲しむことに疲れてしまう被害者家族とか、
犯人自身の葛藤とか、
犯人家族の悲しみ、後悔、懺悔とか、
凄惨な事件は現実にこういう形で、
その周囲の人々の心を蝕み、疲弊させていくのだと感じました。。
新たに起こった少年の事件だけでなく、
様々な人の過去が掘り下げられて、
過去を抱える人たちのその後という形で描かれています。
色々な人の想いが同時進行的に描かれるのに、
とてもうまくまとめられているので、
よくありがちな、え?なんでここでこんな行動を!?みたいな
視聴者置いてけぼりの展開もなく。
最終的に犯人が逮捕されるのですが、
被害者の家族の立場からも、加害者の家族の立場からも、
いたたまれない結末でした。
どちらにもなり得るし、どちらの気持ちも痛いほど分かる。
犯人逮捕、事件が全容解明されて、
めでたし、となるドラマが多いですが、
そこからがまた関わる人々全ての深い苦悩の始まりであるのだと
実感させられたドラマでした。
一番心に残っているのは、
被害者少年ダニーの父が、ダニーをたった一度殴ってしまったことが
犯人とダニーを結びつけるきっかけになってしまったと知り、
「たった一度のその行為を、自分は一生後悔する」
と言う部分。
まさに、何にでも言えることですが、
特に子を事故や事件で失った親の心情はこれにつきるんだろうな、と。
もし自分が・・・と思うとやりきれない気持ちになりました。