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夏草

2021.08.09 20:55

なつやすみ野外上映会が今年「も」中止と案内に知った。自称映画通のT君によれば「七人の侍」「北の国から」そしてこちらが三指とか。夏休みの宿題とばかりに借りた「トラック野郎」シリーズ全十巻。警官の制止を無視して検問を突破するはお決まりのシーンなれど、そこに絡むは人助け。イチオシの第八作「一番星北へ帰る」にて花巻の荷台貫を演じるはあの大物俳優。

「荷台貫が怖くてワッパが回せるか」、要約すれば「警察が怖くてハンドルが握れるか」、と突破する背後には死の危機に瀕した荷台貫の妻。愛妻か職務か、勝る遵法精神に「オマエそれでも人間か」と桃次郎。ちなみに、やもめのジョナサンの自宅は多摩川沿いにて度々登場するは「川崎」の字幕。映像のまちかわさきに一役。

閑話休題。残る伝言に折り返して浴びる集中砲火。聞かば、近所の草刈りを陳情すれど予算を理由に拒まれたとか。そりゃよくある話。役所方とてもそっと機転の利いた返答が出来ぬものかとボヤいてみるも一方向だけでは真相は分からぬ。予算なきは市議の怠慢、などとまくしたてられるも、予算とて無尽蔵になく、全てに届くものにあらず。が、それを免罪符に安穏としていられるものになく、知恵を絞るが役人だ、と着地を試みるも。

予算なくば市民税の増税を図るべし、増税とてその分がちゃんと今回のようなことに充当されれば誰も反対はせぬと。いや、折角の御言葉ながらそう思うは少数派であって増税の前にまずは働き足りぬ市議の報酬を返上すべし、というのが巷の大勢と説いてみるも断固として曲げぬ相手。増税せずとも何とかするのが市議の役目と応ずるも「増税こそ」と背中押されて受話器を置いた。

それにしても特に支持政党なしとする御婦人が控室の番号知るに誰かの入れ知恵なくば辿りつかぬ。指名されておらんのだから何も私を推薦せずとも。

背負う期待に現地を訪ねて知る雑草の生命力は夏蝶に負けず、いや、それ以上。鬱蒼と生い茂る背丈以上の夏草に見えぬ対岸。足場が整備され、歩ける水辺に遊ぶ子供たちの姿もこれでは見えぬ。御婦人が一人で道路標識の蔓を枝切りハサミにて除去されておられるも多勢に無勢。横浜市域は除草剤が散布されど、本市側は何年か前から手つかずの状態が続くとか。

一般に除草の依頼はDKC。道路(D)公園(K)センター(C)となりがちも河川や下水となると別部門であって、やはり予算を理由に色よい回答なきこと往々。が、その為の予備費ではあるまいか。こんな時こそ流用すべしと迫れども繁忙期とあらば業者とて足りぬ人手。いや、そこまで待つ、手に負えぬなら無償にて手伝わんとするボランティア多かれど、それを阻むは不測の事態に問われる管理責任。そこを心配するあまり逃す獲物は小さからず。

何よりも草刈ってのは始めたが不思議と没頭するばかりか、後に生まれる爽快感は金銭に代えがたく。公有地の除草のあり方について部局横断的に知恵を絞ってみてはどうか。美化活動は何も多摩川の専売特許にあらず。

(令和3年8月10日/2658回)