「幼い子は微笑む」長田弘 いせひでこ
小さな子ども、まだ半年経たないくらいの、そのくらいの子どもと目が合うと、たまにニコッと笑ってきますよね。
あ、この子、笑ってる、そんな風に思って、こちらも微笑み返す、そんな経験が誰にでもあるのではないでしょうか。
『「幼い子は微笑む」は、長田弘氏(1939-2015)の詩集『奇跡-ミラクル-』(2013年刊行、みすず書房)の巻頭を飾る詩です。
この一編の詩に魅了された絵本作家のいせひでこ氏が、生前の長田氏との約束を果たし、ついに絵本として完成させた入魂の一冊です』
これは、出版社によるこの絵本「幼い子は微笑む」の紹介文の引用です。
幼い、本当にまだ幼い、生まれたばかりの子どもが、少しづつ成長し、そこに現れる微笑みを、長田さんは歌っています。
そして、幼い子は微笑んだ。
この世で最初に覚える
ことばではないことばが、微笑だ。
人を人たらしめる、古い古い原初のことば。
子どもの成長を喜びながらも、長田さんは続けます。
何かを覚えることは、何かを得るということだろうか。
違う。覚えることは、覚えて得るものよりも、
もっとずっと、多くのものを失うことだ。
長田さんは幼い子どもの、微笑みの先にある人間の人生を憂います。子どもの成長とともに失われていく面にも目を向けるのです。
そのどちらが良いだとか、悪いだとか、そうした判断ではなく、幼い子の微笑みの中に、自分の中に失われてしまったものを見ているのですね。
光に溢れたいせひでこさんの絵も、私たちが子どもたちに向ける眼差しの両義性を描いているように感じられます。
見守り、喜び、そして羨ましく思う気持ちと悲しさが少し。
この絵本は子どものための絵本ではなくて、新しくパパやママになった人のための、または新しくおじいちゃんやおばあさんになった人のための絵本だと思います。そんな人にプレゼントするのも素敵ですね。
本日はいせひでこさんの絵本を、オンラインストアでは多数更新しておりますので、是非ご覧頂ければと思います。
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「幼い子は微笑む」長田弘 いせひでこ