プロダクトアウトとマーケットイン
ナイロビ大学の教授で、Patrickさんという方と仲良くなり、家に招待して頂きました。
(セラミックの事業を見せて頂いた方です)
家から大学までの道のりとして、片道で、バス停まで歩いて20分、そこからナイロビ市内までバスで40~50分、更に大学まで徒歩10分ほど、という何とも長距離です。
日本でもたまにそう言った遠距離通勤の方とお会いしますが、アフリカの場合、道路が舗装されておらず未整備だったり、バスも運転が荒かったり、と言う事情もあるので、体感的にはその2倍以上しんどいと感じました。
ご本人いわく、どうしても平穏な暮らしがいいから都心部ではなくこちらの生活を選んでいるのだとか。ご自宅は2階建ての1軒屋でした。
他意は無いですが、ナイロビの所得レベルで一軒家を建てられる方はそう多くないはずなので、やはりナイロビ大学の教授レベルとなると高給なのでしょう。ご自宅では息子さんと奥さん暮らしており、とても平和で幸せそうでした。都会の喧騒もなく、何より家族との平穏な暮らしをとても大切にされているように感じます。
少し脱線しますが、家までの道のりの途中で、大学授業料についてお聞きしてみました。
およそ年間で15万円ほどだそうです。日本の私大(僕の早稲田の場合)が確か前期・後期で60万ほどだった気がします。国立大学との比較ではないのでアレですが、日本よりは基準値が安いのでは、と思いました。
さて、話を戻します。
ご自宅にお伺いして夜ご飯をご馳走になり、ビジネスの話になったわけですが、とにかくアフリカでは、プロダクトアウトとマーケットインの乖離が目立つ気がします。
どういう事かと言うと、「どうしてもマーケットを見ずにプロダクトアウトで考えがち」になるのでは?と言うことです。
「自分の持っている技術と周りの助けがあれば、このビジネスは成功すると思うんだ、、、」
的な相談を凄くたくさん持ち掛けられるのです。
確かに仰る通りなのですが、いわゆる3C分析とかSWOT分析とか、自分の強み、なぜそれを我々がやるべきかのか、事業優位性はどこにあるのか、みたいな話が抜けがちなのです。
スラムやシングルマザーなどが抱える課題感など、そうした環境に埋没して生活している分、貧困層が抱える課題感は当然熟知しています。一方で、先進国のマーケットやグローバルで見た時のユーザーがどう動くかなどはあまり検討されていないように感じます。
何故なのかはちょっと分からないのですが、教育レベルに依存している気がしないでも無いです。
ただ、これは逆も然りかもしれません。(恐らく、彼らも同じ考えなのかも)
アフリカにやってくるビジネスマンのうち、多くが有効なプロダクトを持っていません。
プロダクトアウトではなく、マーケットインの概念でのみ入ってきてしまうのです。そして信頼できないマスのマーケット・リサーチ情報を使って大抵が失敗します。(GDPや人口規模などのデータさえ信用できない数値だという話を聞きます)
ということで、きっと現地の課題感・プロダクトアウトの巧さを、マーケットインの視点から考えて入り込んでくる先進国の人間が一緒にどこまで上手く連携できるかどうかが肝な気がしています。