波乗り帰郷
2021年も、禍中のお盆帰省になりました。
けれど新幹線は去年のすっからかん状態とは違い、普通に座席が埋まっています。
通路挟んで隣の座席のお若いパパは、幼子を抱っこしながらマスクをずり下げ、漬けサーモン弁当をザクザク切り分けて一緒に食べています。
食べ終えると、子供をママに預けてタッチ交代、マスクをずり下げたまま寝てしまいました。
「えらい平和な家族だなぁ…、でも先行きはわからんぞ」
などと心の中で呟く、黒い私がいたりするここ数年でしたが、今年は少し違いました。
亡き娘の親友さんの一人を連れ立ってのお墓参り帰省なので、そちらに意識が向いているためでしょう。
八戸駅到着後レンタカーで陸地をサーフ。
霊園近くの私の実家に寄り、掃除用品&仏具セットを持って、早速お墓参りに向かいました。
真っ赤なお花と薄紫の小菊?が既に供えられていましたが、あとから地元の家族親族たちに訊いても、どちら様からの生花なのか不分仕舞。
でも、そういうのも悪くない、お盆時の『あるある』ですね。
お墓のまわりには、私の実父が蒔いてくれた秋桜の種が、早くも花をつけて揺れていました。
日中でも15℃前後の寒い寒い八戸のお盆、晩秋にも近い気候に鼻水だらりですが、巡礼は続きます。
波打ち際まで続く天然芝が有名な『種差海岸(たねさしかいがん)』に着くと、親友さんは車から飛び降り、荒波を目指して「うわぁーーー!」と一声上げて走り出して行きました。
その様子に、かつての有ちゃんを重ねてしまい、胸が高鳴ること数分。
📷幼い頃の有ちゃん(2011)
今日は奈美さんが一緒の種差だね。
手を引いて走ってるのかな。
おいおいどこまで行くんだ、危ないよー…。
小雨もぽつりぽつり、空は灰色で大荒れの海。
それを見た親友さんは…「北斎の波みたいです!」と一言。
お、美大生してるじゃない?
もう少し暖かければ、美味しいソフトクリームが多種揃ってる高岩展望台のショップで買って、食べながら眺めるのが恒例なのですが、この日は寒過ぎて断念。
残念だったね有ちゃん。
また今度ね奈美さん☆
夕飯は八戸駅付近まで戻り、八食センターでお寿司にしました。
ホヤの一夜漬けで、己の心身供養。
親友さんと主人は生ガキを飲み込み心身供養。
その後やっと有ちゃんの好きなネタをチョイスして平らげるという、彼方より此方ファースト供養(←おい)。
こういう時間はあっという間に過ぎていきますね~……(^_^;)。
親友さんだけは日帰りなので、新幹線に乗り込むのを我々は見届け、さようなら…
そしてまたね。
ご実家が福岡なので、東京に戻ったら今度は九州まで飛ぶそうなのです。
先に有ちゃんにお付き合いしてくださり、本当にありがとうございました。
m(__)m
………
これが私の故里(ふるさと)だ
さやかに風も吹いている
心置(こころおき)なく泣かれよと
年増婦(としま)の低い声もする
ああ おまえはなにをして来たのだと……
吹き来る風が私に云う
中原中也の「帰郷」を、思い浮かべずにはいられない2021年のお盆帰省でした。
親友さんの故郷(福岡)にも自分が動けるうちに是非行きたいです。
もちろん有ちゃんも伴って。
◆自死遺族の集い