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モンゴルサッカーを知ると、朝青龍のことが愛おしくなってくる

2017.02.18 13:43

(文:河内一馬)

モンゴルという国に興味を持ち始めて調べてみると、決してサッカーが盛んな国とは言えないことがわかります。ただ、モンゴルのサッカーを知れば知るほど、「サッカーが盛ん」とか、「サッカーが強い」とか、そんなことはもうどうでもよくなっていることに気が付きました。 


 Magic Ball 

( 写真:https://www.the-afdp.org/2015/04/afdp-supports-magic-ball-championship-for-school-children-in-mongolia


前回の記事でも触れましたが、アジアには「AFDP(Asian Football Development Project)」という機関が存在していて、サッカーの力で社会を良くしていこうという試みがアジア各国で行われています。その一つの支援プロジェクトとして、「Magic Ball」という大会が2014年よりモンゴルにて開催されています。 この大会は、子供たちのためのフットサル選手権で、モンゴルサッカー連盟に加盟する全国の学校が出場権を持つものです。2104年の大会には全国からU-12が14チーム、U-13が11チーム参加しました。 もともとAFDPでは、モンゴルの21の省と、首都ウランバートルの9つの地区において、サッカー指導者のためのトレーニング支援を行ってきました。その一環として、「Magic Ball」のような全国学校選手権の開催や、地方選手権大会の支援などを行っています。


 学校教育の中にサッカーを取り組む 

( 写真:https://www.jordantimes.com/news/local/5000-ultra-durable-footballs-be-distributed-underprivileged-areas )


人生の大半をサッカーに費やしている僕としては、「サッカー」と「教育」は切っても切れない関係です。努力をすること、他人を尊重すること、協力すること、楽しむこと、、、人生において大切なことはすべてサッカーから学んだと言っても過言ではありません。そしてそれは、僕だけではないはずです。サッカーをしてきた多くの人が僕を同じことを言うのを、これまで何回も耳にしてきました。 モンゴルの子供たちも例外ではありません。前述しているAFDPの支援目的はここにあります。モンゴルの学校教育の中心にサッカーを浸透させ、それに伴ってサッカーをしっかり教えることができる教師を育成する。AFDPの助けもあり、モンゴルには「教育」としてのサッカーが着々と普及してきています。  


「強い」のと「好き」なのと

( 写真:http://football-uniform.seesaa.net/article/110862497.html


モンゴルサッカーの過去の成績を見てみましょう。 

 【FIFAワールドカップ】 

1990年 不参加 

1994年 不参加 

1998年 不参加 

2002年 予選敗退 

2006年 予選敗退 

2010年 予選敗退 

2014年 予選第1ラウンド敗退 

2018年 予選第1ラウンド敗退 

 【アジアカップ】 

1988年 不参加 

1992年 不参加 

1996年 不参加 

2000年 予選敗退 

2004年 予選敗退 

2007年 不参加 

2011年 不参加 

2015年 予選敗退 


これだけ見れば説明は不要だと思いますが、モンゴルという国はサッカーという「競技」に関して長けているとは言い難いです。しかし、それとサッカーが「好き」とはまた違う問題のような気がするのです。こうしてモンゴルという国には確かにサッカーが存在し、人々がサッカーを楽しんでいる。サッカーは、それ以上でも以下でもありません。いくら強かろうが弱かろうが、サッカーはモンゴルにとって「大きな意味」を持っているのです。 


日本で一番有名なモンゴル人といえば、横綱朝青龍。無類なサッカー好きで知られる彼が、怪我で相撲を欠場している最中にサッカーをプレーして問題になりました。それくらい、モンゴル人はサッカーが好きなのです。 

・・・という終わり方は少々乱暴でしょうか。今では日本人選手もモンゴルのサッカーリーグに所属するようになりました。これからモンゴルサッカーがどんな道をたどっていくのか非常に楽しみです。どうかいつまでも、モンゴル人が純粋に(朝青龍のように)サッカーを楽しめますように。サッカーをして怒られたのは、世界で朝青龍だけなのですから(多分)。 


終わり。


【プロフィール】

 河内一馬。 

 1992年東京都生まれ。「FOOTBALLとは、一体何なのか?」を探るためにアジア、ヨーロッパを周り、教育、文学、アート、カルチャーの視点からFOOTBALLを表現するウェブサイト『Looking for Football』を立ち上げる。https://lookingforfootball.themedia.jp