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元建設会社営業マンとして考えること

2017.02.22 04:00

僕は大手建設会社に23年余り勤務し、その多くのキャリアを「営業マン」として過ごしました。営業の中でも主に「建築」すなわち建物を建てる、改修する工事を受注することを目的とする仕事をしていました。

自分が担当として受注した仕事には、オフィスビル、マンション、工場、倉庫、教会、病院、学校、研究所など様々な用途の建物があります。

そんな僕がなぜ建設会社を辞め、今の「不動産に強いファイナンシャルプランナー」という仕事を始めたのか。


建設会社が建物を建てる仕事を受注するには当然「土地」が必要です。ですから建設会社の営業マン的視点で土地を見て、

・お客様が計画している大きさの建物がこの土地に建つか
・この立地でお客様が計画建物に求めている機能は満たせるか

などについて印象で大まかに判断できます。

一方で、お客様がすでに持っている、もともとは別の用途で使っていたが、今は使っていない遊休地の活用を提案することもありました。

土地とその周辺の状況を見ることで

・土地が持つポテンシャル

すなわち考えられる様々な用途の中からこの土地がどのような「可能性」を持っているかについても感じることができます。当然、物件によっては今後あまり需要が見込めない、断定的な判断はできないという事もあります。

あるお客様が持つ遊休地の活用について相談を受けたことがありました。その土地は最寄りの駅からも距離があり、オフィスの需要があるところではなく、仮に賃貸のマンションを建てた場合でも入居者募集には苦労するだろうと予想される土地でした。

お客様は、その土地を有効に活用したいと考えていました。建設会社の営業マンとしては建物を建てる提案をするべきだったのかもしれません。しかし、僕はその土地はしばらく駐車場などとしておいて、周辺の様子を見ながらじっくり検討すべきだろうと考えました。

建設会社としては建物を建てる事が仕事ですから、これではダメなのでしょう。

でもお客様にとってはそれが今出せる最良の答えだと思いました。お客様からは「西山さん、正直だね」と言われたことを覚えています。僕個人としてはその一言で救われた気がしました。


また、あるお客様に竣工した建物をお納めするとき「長期修繕計画」の提案書も併せてお納めしていました。建物はビルでも戸建住宅でも継続した計画的なメンテナンスによって長く使うことができます。「長期修繕計画」には建物のそれぞれの部位について、どのくらいの期間で更新や修繕を行うべきか、どの程度の費用を見込んでおくべきかを示しています。

おおむね15年くらいすると設備の更新時期を迎えたりして、結構まとまった費用が掛かるようになりますが、その説明をしたときお客様から「まあ、その時には僕はいないしな」という言葉が漏れました。その時、僕はちょっと悲しく感じました。

建物をお納めするまでは、工事関係者として建物の中に入ることができますが、お納めしたあとはお客様のものですので自由には入れません。そのお引渡しで「ひと仕事終えた」ということになり、「ずっと大事に使っていただきたいな」と思いながらお引き渡しします。そんな時に聞こえた先ほどの言葉だったので悲しく感じたのです。

さらに、大きな会社の一員として様々な仕事に携わってきたものの、僕個人に「ありがとう」と言っていただけることはほとんどありませんでした。僕の仕事はほかのだれかに代わってもきっとできるんだろうな、とも感じました。


そんな時に「ファイナンシャル・プランナー」という仕事があることを知り、周りの人を助けることができるその仕事の内容は魅力的でした。

その後、様々な情報を収集し、資格も取得し、2015年に独立。今に至ります。


営業マンの考えはハウスメーカーなどでも同じこと。建物を建ててもらうことを目的とする会社は建物を建てる事で利益を得るので、とにかく受注することが最終目的です。

建設会社の社員ではないからこそできるアドバイスがあります。

ファイナンシャル・プランナーとして、お客様に信頼され、「西山に」あるいは「西山ライフデザインに相談してよかった」「ありがとう」と言っていただける仕事をたくさんしたいと思います。