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The Weekend Traveler

ニッポンの夏 綾部の夏

2021.09.05 06:00

今は昔。

4年の大学生活を送ったマンションの真下の部屋にかずこというトルコ狂いの友が住んでいた。

一緒にトルコに行った時から20年くらい経ち、今や大使館御用達のトルコ語通訳となったかずこが地元京都に戻って観光推進やってるって事でどれどれ、行ってみようとなりまして。

密避け旅の秘技、それは飛行機を新幹線のように使う。遠い新横より近いベイブリッジを渡るのが吉。

自宅からほぼ人に会うことなく全ての始発を乗り継ぎ伊丹に到着。


目指すは綾部市。

京都駅から舞鶴方面に電車で1時間ほどで到着。二条からいきなり田園風景になって旅してる感満載。

綾部に着いたら隣のホームに停まってた鈍行が可愛すぎてしばし写真を撮りまくる。


駅の改札を出るとすぐにかずこが迎えてくれてここからは綾部観光大使(と勝手に思ってる)かずこに敷かれた綾部観光レールでスタート。

まずは、綾部唯一の酒蔵、若宮酒造さんを見学。

お休みのとこ、開けてくださってツアーもしてくださって若宮酒造さんの心意気とかずこの交渉スキルに感謝。酒蔵があるような粋な町に住んだ事ないので貴重な体験。

かずこの親族で謎にこの酒蔵に詳しいハンガリー人旦那も参加。何回か来てるんだって。

こんな感じで説明を受ける。

なぜだかわたしの頭はビールでメモリが満杯なのか日本酒とかワインの知識が全然残らない仕様なので悲しくも細かいことは覚えてないけど、大吟醸は手間暇ハンパないから高くて当然ってことだけ記憶にある。

蔵の中は少し薄暗くてこの中に酵母とかいるせいか空気が少し緊張してるように思える。

こういう道具に興味深々。

どれの何なのか分からないけどかっこいい道具達。

実家にもあったこのアナログ秤が今も生きてる。

機械に直書きとはなんと斬新。

仕事は効率的なのが一番。

蔵の中にはお札とかしめ縄とか神頼みもいっぱい。確かに自然の力と人間の技で作るお酒だもの、神さまに無事を祈りたくもなる。

きゃーん!お待たせ!試飲タイム!

説明聞きながら、この後飲めるんだよね?飲んでいいんだよね?と薄くずっと待ってたのよ、この瞬間を。

ベルトコンベアーの傍らで試飲させてもらいながら綾部産の酒米の話とかを伺う。

買って帰る(というか後で飲む)酒を選んだりしてたら通りがかりの地元の人たちが入ってきて、買って出て行く。スーパーとか小売店で買えるのもありがたいけど、こうやって足を踏み入れた瞬間の蔵の匂いとか湿度とか感じながら好みのお酒を買って行けるのってなんだか豊かな時間。分刻みスケジュールで日々暮らすわたしの心に沁みる光景。


ちなみにかずこはこの酒蔵ツアーをトルコ語でトルコに向けて配信もしてるそう。


酒蔵で必要以上に試飲して次はわたしが大好きな道の駅へ。


綾部はその昔、京の都に納める絹で栄えた町。そして綾部は言わずと知れた日本人の素肌の味方、グンゼを生んだ町なのだ。

じゃーん!!

もうグンゼ帝国と呼ばせてくださいってくらいひっろい敷地にお屋敷みたいな資料館がいくつもある。広すぎてどこに焦点当てていいかわからないまま撮った写真がこれで案の定伝わりにくいけど、とにかく広い。

花の時期を過ぎてしまっていたけど敷地にはバラ園がある。

うちの近所にも横浜のみどり税がたんと注ぎ込まれた(と思ってる)バラ園があるけども、このバラ園には、病気が治ったとか子どもが入学したとか、市民の方々が自分にとっての記念樹としてバラを植樹されていて、ここには違う価値が宿ってるんだろうなと思った。



道の駅はこの敷地内にあって、しこたまグンゼ商品などを買い込み、次の場所へ。


かずこ激推しの八百屋さん、オサトマーケット 八百仁さんへ。


何が推しってこののり巻サンドなる摩訶不思議な惣菜パン。

えっ…

どっち…?

パンなの?巻き寿司なの…?


そしてふと見ると

かずこの記事が!!

ムラカズの連載、記事すべき初回に取り上げられてるではないか!

しかもなんだこの港区女子のオフみたいなプロフィール写真は!!


とかとかインフルエンサーかずこをいじりながらこの激推しのり巻きサンドをいただく。


美味しい。

だけどそれ以上に味覚と視覚が大混戦して感覚がプチパニック。

海苔巻きの味を直感的にイメージしてるのに胃袋が受け止めるのは卵サンド、みたいな感じ。これは新感覚。

文字通り色んなぐるぐる感覚が残る現代アートみたいな食べ物だった。確かに推すね。

他にもこういった惣菜とか、八百屋だしちゃんと野菜も売ってたし地域のマーケットとして活躍してる八百仁さん。この一食おかずセット、近所にあったら毎食欲しい。

そしてこの久々に見た朝顔のレトロ感、なごみ。

レモンマフィンと甘納豆が同居するトレイ、これがきっとここでのユーザー目線のディスプレイというやつ。

グンゼと同じく綾部に本部があるのが大本教という神道系の宗教施設。

特に宗教が何ってわけやないけど綾部と言えばやから連れて行くな、と、観光大使が言うので行ってみる。あ、大使映り込んじゃってます。

とにかく広くてとにかく綺麗。

管理が行き届いててとても整然静謐な空間。

従業員の方が1人くらいいた気がするけど、それ以外誰もいない広い庭を散歩して宗教施設ってどこもし凛とした似た空気感があるなと思ったり。

静かでデカくてかっこい建物。

しっかし夏の京都は容赦ない。

全力で暑い。


というわけで次へ。

次なるスポットは漢方の調剤やさんとカフェを併設した漢方屋さん。

これは同じ並びの薬局、ファーマシートオサカ。味ありすぎ。

もう、戦争は終わったよ。

と教えてあげたくなる2階の窓。

ファーマシーに髑髏は冗談キツイぜ、トオサカさん。

だけど何故か説得力あるように思えるのはわたしだけかしら。


ファーマシートオサカのパンチに圧されて漢方カフェの写真を完全に撮りわすれたんだけど、シュッとしたお兄さんが漢方のお茶を的確に調合してくれて、まだ飲んでないのに健康になった気分。


そうこうしてる内に売れっ子大使のかずこがまたどこぞの地元イベントに呼ばれたので、ツアーは終了。


10年くらい前に渋谷のトルコ料理屋で会って以来の再会だったけど、トルコに注いでいた熱量を今は故郷、綾部に全力で捧げていて、京都の夏に負けないエネルギーを放出し続けるかずこ。

トルコ狂いも相変わらずだからトルコへの発信も続けてるあたり、コロナであれができないこれができないと愚痴りたくなる世の中だけど、負けないって気分にさせてくれる。


地方都市って、全てに飛び抜けた魅力があるわけではないかもしれないけど、全てに歴史とそこに生きてる人たちがいる。

特に京都なんて世界から人が来る観光地で溢れている中で、京都、じゃなくて綾部を発信し続けてるかずこの勇敢さと自分の愛を言語化できる能力とバイタリティに再会できた事も含めて綾部に来た甲斐あったなと思った。

オサトマーケットのねこちゃんもおまけに。

綾部の旅は2日目に続く。