パラショルツ石 Parascholzite
2021.08.20 15:00
パラショルツ石 Parascholzite
CaZn2(PO4)2·2H2O;単斜晶系
模式地:
模式標本:
鉱物名:
原記載:
パラショルツ石はショルツ石 (直方晶系) の多形で,リン酸塩ペグマタイトで名高いドイツのハーゲンドルフの標本から見出され,1981年に記載された (Sturman et al., 1981).
滋賀県湖南市 灰山 (Haiyama, Ishibe-Midoridai, Konan, Shiga Prefecture).FOV ~4.3 mm.
灰山では当初 “ショルツ石” とされていたが,検討の結果,1989年にパラショルツ石として記載されている (高田・松原,1989).なお,ショルツ石の鉱物名は,ドイツの化学者で鉱物コレクターのアドルフ・ショルツ (1894-1950) にちなんで,シュツルンツが命名した.
灰山からはベゼリ石を始めとする日本では希産のリン酸塩鉱物が多数報告されているが,その中でもパラショルツ石の産出はとりわけ希である.本標本のパラショルツ石は変質したスカルンの割れ目に菱亜鉛鉱を伴う無~白色の微細な針状結晶の集合体をなしている.灰山で多産する異極鉱とは肉眼的な区別が難しい.本標本の前オーナーのラベルには “ショルツ石” と書かれており,恐らく灰山で本鉱物が発見された当初の標本であると思われる.
文献
- Sturman, B.D., Rouse, R.C. and Dunn, P.J. (1981) Parascholzite, a new mineral from Hagendorf, Bavaria, and its relationship to scholzite. American Mineralogist, 66, 843-851.
- 高田雅介・松原 聰 (1989) 滋賀県甲賀郡石部町灰山の日本新産燐酸塩鉱物-燐銅鉱およびパラショルツ石について.地学研究,38,75-82.
- 髙田雅介 (1994) 滋賀県石部町灰山の鉱物.ペグマタイト,9,6-13.