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こんぶトマト文庫のふみくら

わたしとじてんしゃ

2021.08.21 14:20

初めて"自転車"に乗ったのは、19歳の夏だった。

全国チェーンの自転車屋で、GIANTのクロスバイクを買った。高校時代の同級生と二人して、突発的に東京から宗谷岬へとママチャリで走った某マンガの主人公に感銘を受けて、俺らも行くぞ宗谷岬、となったのが始まりだった。とはいえマンガほど無鉄砲には話を進めず、あらかじめ日程を定め下準備も行ない奨学金をも突っ込んで道具類を買いそろえた。寝袋まで用意したけれど、結局あれは使うことはなかった。その一環で、貧弱な我々がママチャリで北海道まで行けるはずもないのでここはひとつきちんとした自転車を買うべきではないか、という意見で満場一致し、最も定番の自転車屋で最も定番のメーカーの最も定番の型式のクロスバイクを選んだ。

当時はクロスバイクとロードバイクとシクロクロスとランドナーの違いを薄ぼんやりとしか理解しておらず(今も理解できているとは言っていない)、なんか見た目が好きだから、という理由でランドナーを欲しがっていた。目的には適っているけど整備大変そうだし値段も張る。次点はシクロクロス。あれはそもそもそういう自転車じゃねぇ。暇じゃないけれど暇なとき、ユーチューブでよく自転車レースの動画を見ている。ハンマーチェイスというのも面白かったけれど、一番呆気に取られたのはシクロクロスのレースだった。よく音楽界隈では「ベーシストは変態」などという通説が流布しているけれど、自転車界隈でのシクロはそれの比ではないんじゃないかという偏見を持っている。なんで自転車降りて担いで坂道登るのが前提なんだ。

閑話休題。


それまではママチャリや学チャリといった、いわゆるフツーの自転車しか乗ったことなかった自分にとって、クロスバイクがもたらしたものは衝撃だった。

まるで自分の足、体を推進する機構が丸ごと車輪に入れ替わったかのような一体感。ペダルを漕ぐことがダイレクトに地面を駆けることに繋がっていることの確信。自らの手の動きが即座に反映されより身体感を強めてくれる制動性。

なんだこれ。今まで乗ってたものって本当に自転車だったの?全然別物じゃん。

友人も同様の感想だったらしく、二人して馬鹿みたいにはしゃいで自転車に乗っていた。


あれ以来、何台か自転車を乗り換えてきた。

最初に乗ったのが、先にも挙げたGIANTのクロスバイク。これはその後ちょっとした大事故に遭ってあえなく散った。後日ポリスメンから遺影?を見せてもらったけれど、前半分が無くなっていた。合掌。

その後に乗ったのは、確か通販で買った諸々安いロードバイク、の見た目をしただけの鉄塊。安いものには当然の理由がある、という事を痛感した。あっという間に駄目になった。

その後はGIANTのロードバイク。これは当時住んでいたところの近くにあった個人店で買った。でも本当はピストに乗りたいと思っていたのに、ああだこうだと言われ結局ロードにしてしまった。なんだかんだで初ロードだったけれど、どうにも性に合わなくて何年か乗ったけれど後輩に安く譲った。

4台目はプジョーの古いロードバイク。レトロな自転車を扱っているお店で買った。見た目は本当に可愛くてとても好きだったけれど、いかんせん乗り心地が悪くオシャレは我慢を地で行く類の自転車で、おまけにパーツがないのでお金もかかり、とどめに買ったお店が閉店して面倒見てもらう先が無くなっておしまい。奇特な自転車屋さんに引き取ってもらうことなった。


そして5台目、今乗っている自転車はその奇特な自転車屋さんで買ったブリヂストンのクロスバイク。国産メーカーの現行品、というところが先代の反省を生かしているなと我ながら思う。

実際クセがなくて乗り心地も良く、その後ハンドル変えたり云々しているけれど、変な規格じゃないから当然やりやすい。統一規格最高。

振り返ってみたらなんだかんだ短いスパンで乗り換えを続けていたけれど、この自転車は結構長いこと乗っている。6年?7年くらい。そんだけ乗っているとあちこちガタも出てくる。チューブやブレーキワイヤーは都度交換しているけれど、も少し大きいところの消耗品も駄目になってきている。ホイールとか。あれも少し歪んできている。

ということで近々大改装することにした。前後ホイールと、あとブレーキ周りもがらりと変える。ディレイラー関係はちょっと目を伏せる。ついでに前後キャリアもつけてかごもつけて、自転車でキャンプ行けるような体制にしたい。実際に行けるのがいつごろになるのかはわからないけれど。