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ゆとりらYOGA

「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」(TV感想)

2021.08.23 01:24

東京都中から精神疾患のあるコロナ陽性患者を受け入れている都立松沢病院のコロナ専門病棟。次々とクラスターが発生し、精神疾患があるが故に一般の病院での受け入れが困難とされた人たちが運び込まれる。ここにカメラを据えると、病院にしか居場所のない患者、受け入れを拒む家族、ひっ迫する医療体制の中で葛藤する医療者たち、行き届かない行政の指導の実態が見えてきた。コロナがあぶり出した日本の精神医療、その実態の記録。(HPより)



先日、ETV特集で放映されていた「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」。録画していたのをやっと観ました。

医療関係やリワーク、福祉団体等からYOGA指導のご依頼を頂くこともあり、所謂「社会的弱者」の人々の居場所について思うことが多くあります。しかし…嫌な言葉よねこれ…


番組では、松沢病院が積極的に、他の病院でクラスターが起きて溢れてしまった患者さんを受け入れ(松沢病院もほぼ満床なのに、部屋割り等を変えて1人でも多く受け入れようとするミーティング風景が映ります)、その結果、現在の精神科病院の在り方や、行政が定めた精神科病院の医師や看護師の数について、問題提起を促すような実態が露になります。

ある精神科病院に30年以上入院し、世話人は実の兄だけという男性や、もう退院出来るのに、帰ってこないで、ずっと病院にいて、と息子に言われる60歳過ぎの女性。

行き場のない人達の家でもある入院病棟。

そして、そこで彼らの人権は守られているのか…元入院患者の告発にも、病院も国もきちんと答えない。そしてこうした捨て身の訴えも、コロナパニックで、今はそれどころではない的な回答で、脇に追いやられてしまう。

松沢病院でこの春まで院長だった齋藤正彦先生のインタビューで

「患者さんを退院させるときに、一番の抵抗勢力は社会だからね。

『え、そんな人を退院させるんですか』って。陰に陽にそういうことが起こるわけ。

自分の問題とは考えたくないんだよね。みんな考えたくない。」


確かにそう。自分事として考えることって、正直ないかも。同情することは出来ても、もしも自分なら、自分の身内なら、という想像は長く続かない。

でも、そんな自分が「一番の抵抗勢力」の一端にいる。

「家や職場で仕事をし、福祉に頼らず生活する」ことが可能なのは、たまたまラッキーなだけで、いつその立場が崩れるか分からない。心身がいつまでもこのままでいられるわけがない。

いつかは弱り、崩壊し、消滅する。

すべての人がそうなのに、その事を考え続けることが困難なのはなんでだろう。

何に引っ張られているんだろう。

そんなことをぐるぐる思わされる番組でした。

※ちなみに、この齋藤先生、インタビュー受けた他の偉い人や役所の人との熱量や共感力がまるで違うのでそこも見どころです。短いインタビューの中で、人間性が丸出しになるのに驚き…。同じ言葉使ってるのにこうも違うか、と、


コロナ禍で、改めて精神科医療の問題が浮かび上がってきた・・・という意味のナレーションが、心に響きました。