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古本屋ブックスパーチ | 鹿児島の古書店 | 古本の買取承ります

営業予定+今週の1冊

2021.08.23 05:21

【営業予定】

8/23(月)12時〜18時営業

8/24(火)12時〜18時営業

8/25(水)定休日

8/26(木)定休日

8/27(金)12時〜18時営業

8/28(土)12時〜18時営業

8/29(日)12時〜18時営業


【今週の1冊】

『読書で離婚を考えた』円城塔 田辺青蛙(幻冬社) ※8/23(月)新刊本で在庫有り

作家夫婦による読書感想書簡本。

読書の好みが全く異なる夫婦が「相互理解」のためにお互いがおすすめした本を読んで感想を送り合うという企画。しかし、紹介されて読むのは自分が読み慣れていない(ジャンルの)本ばかり。加えて何か意図があって相手はこの本をおすすめしてくれるのでは?と疑心暗鬼を募らせていき、段々と険悪な雰囲気をまとい始める。

後半から「相互理解」に対するそれぞれの考えの差異のようなものが垣間見えてくる。

自分が理解できない相手の世界に対してどう向き合うかというそれぞれのスタンスが出てきて面白く思った。

同時に、違いを理解することと、人の世界を理解することは、大変難しいとも実感させられる。

相手のことを理解できないと思いながらも関係性を継続しようとすることが相互理解なのかもしれない。

夫婦(人間)関係というものを考えるのにも役立つ本だと思うが、人は如何に本を読めないかという事例としても面白い本だと思う。本を読む人全般におすすめしたい1冊。



【関連しておすすめしたい本】


・『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』犬山紙子(扶桑社) ※8/23(月)新刊本で在庫有り

→「どれだけ円満に見える夫婦にも大なり小なり問題はある。“問題がすでにあること”を前提とし、そこからどうリカバリーすればいいのかという視点が必要ではないか。」という問題意識から問題を抱える夫婦を取材し、どのように解決へと向かったのかを考察する内容となっている。

項目は、夫婦のコミュニケーション、不倫・浮気、家事の分担、育児、不妊治療・セックスレス、パートナーの精神疾患など様々だ。

夫婦の片方に原因や改善を求めるのではなく、協同して関係性をリカバリーしようとすることが、問題の解決へと前進する共通項になっているように見える。

「夫婦とはそもそも他人であり、他人同士が円満に暮らすためには、知恵と歩み寄りが必要である」という言葉(「はじめに」より抜粋)も重い。

こじれた人間関係にどう向き合えばいいのか悩んだときに手に取ってみてほしい1冊。


・『回遊人』吉村萬壱(徳間書店) ※8/23(月)新刊本で在庫有り

→売れない小説家が怪しい薬を飲んだら10年前に戻るというタイムループものの物語。

何度もその10年を繰り返して自分の可能性を試し続けるけれども、主人公の心が満たされない様が切ないと同時に愚かだなとも思う。でも読み進めていく内にその主人公の愚かさに似た部分を自分も持っているように思えて物語に引き込まれた。人生における物事を「終わったこと」として引き受けられない主人公がどのような物語の最後を迎えるのか。

暗い話ではあるが胸を突くものがあるので気になる方は読んで確かめてみてほしい。

上の2冊と対照的ではあるが、自分の中にある愚かさやイタさを相対化するという意味では、夫婦間や家族間の関係性を考える一助になるのではないかと思う。

表現や創作を行なっている人にも胸を突く内容だと思うのでおすすめしたい。