ガウディ建築「グエル邸」 バルセロナ編①
グラナダを後にいよいよバルセロナへ向かいます。
地中海沿岸、バレンシア地方の景色を見ながら移動したいと思ってrenfeを予約したのですが、あいにくこの時期は路線工事中のためグラナダから別の駅へバスで移動して別ルートでの路線となりました。
スペインでミルク入りコーヒーを頼むとグラスで出されます。(もちろんホット)
普通に熱いし、なんでグラスなのか…カルチャーショックです。
バルセロナではサクラダファミリアを中心に何軒かガウディの建築を見て回ります。ガウディの作品はアシャンプラ地区に集中しているのでホステルを4泊とって散策します。
バルセロナに到着後、まずはグエル邸へ向かいます。ガウディの残した多くの建築には19世紀末のアール・ヌーヴォー様式が詰まっています。
グエル邸はガウディが二つ目に手がけた建築です。この屋敷の所有者、エウセビ・グエルはスペインの実業家でガウディの親友であり最大のパトロンで、後に貴族にも列せられました。当初は別邸として建てられたグエル邸ですがこちらを気に入って本館として使用していました。
グエル邸のエントランス。
大理石、木材、ガラス、鉄など多くの種類の素材が使われています。装飾の重圧感を出すだけでなく建物全体の重さを支える役割も果たしています。
スペインのカタルーニャ州旗を元にデザインされたステンドグラス。
鉄やガラスといった当時の新素材を使って花や植物などの有機的な曲線を帯びたモチーフは、まさにアール・ヌーヴォー期の特徴です。
屋敷内には1階に馬小屋、2階に中央サロン、3階に寝室、4階に使用人の部屋と厨房とそれぞれの機能をもとに設計されています。中央サロンにはパイプオルガンや礼拝堂もあり、ある時は演奏会、ある時は教会にと多目的に使用されていました。
今でもタイミングのいい時にはパイプオルガンの演奏を聞けるそう。
複数の曲線で作られた鉄格子は、外からは目隠しになるだけでなく内側から外の様子が見える仕掛けです。グエル邸では特に鉄で作られた装飾が目を引きました。まるで中世ゴシック建築の教会のような雰囲気です。
3階の寝室では当時使われていた家具が残されています。
優雅な家具セットは植物のようでとても素敵です。木材を湾曲させて作られた椅子からは家具職人の技術力を伺えます。
アール・ヌーヴォーはフランス語で「新しい芸術」という意味で、工業化での大量生産・大量消費に進む社会への反発と、これまでの発想にとらわれない斬新なデザインと工芸の復興をもとめた運動です。主に建築物や家具など「生活に関わるもの」と密接してその価値を高めました。
屋上の煙突。タイルを使用した個性的な煙突はガウディ建築の目印と言えるチャーミングなデザインです。グエル邸は初期の作品でありながらガウディのエッセンスが凝縮した建築でした。
つづく