メディアから取材される飲食店になる方法
飲食店の経営者でメディア取材を誤解している人がいます。
大盛り、メガ盛り、変わった食材の組み合わせなどが取材されると思っているなら、
一過性の取材があるでしょうが、長続きはしません。
私はいつも、メディア取材(新聞やテレビ登場)からブランディングを考えています。
あの店で食べたい。あの料理人に調理してもらいたい。あの店主のお勧めを食べたい。
そんな料理店、飲食店になれたら素敵です。
しかし、目先のことばかりのメディア取材、マスコミ取材のことばかりを考えていては、
マスコミが「手っ取り早く取材する輪」から抜け出せません。
それではブランディングできないのです。
本題に入ります。
野菜を扱うお店なら、農家へ。
魚介類を扱うお店なら漁業者の現場に足を運んでください。
その現場でしか分からないことが山ほどあります。
例えば、農家に足を運べば「農家が自家用に作っている野菜」があります。
農家は売り物と自分が食べる物を分けて栽培しているからです。
農家が自家製に加工している伝統料理があります。
市場に出回らない料理で、市場に出回らない食材を使っています。
そうしたことを知っている飲食店の経営者がもしいたら、
現地の農業者ときちんと「美味しいもの」について語り合えたら、
自分の店のメニューに加えることができるでしょう。
これが「オリジナル」なのです。
マスコミの記者が取材したくなる王道、本筋で、ブランディングできます。
もう1つ。
魚介類を出すお店が小さな漁港に足を運んで食材を探したら。
ものすごい逸品を手に入れることもできます。
漁業者は必ず、季節によって「狙いの魚種」があります。
それ以外の魚が混獲したら…どうすると思いますか?
自分の「まかない用」として持って帰るのを除いて、海にまた戻してしまいます。
既に死んでしまっている魚を海に捨てる場合もあります。
この時、問題なのは「漁業者自身も高級魚だと知らずに捨ててしまう場合もある」のです。
魚介類を調理するのは調理人の専門ですから、漁師さんには分からないこともたくさんあります。
もし、日本料理店(フレンチでもイタリアンでも良いのですが)の経営者自ら、
漁港に足を運んで食材を探し、自分の店で料理として出せば、
これは「ニュースの王道、本筋」なんです。
こうしたことをしないで、ただ気軽にメディア取材されたいと思う店主が多すぎる。
飲食店の経営者が、他店と同じ土俵で、同じ感覚で取材されようと思っているのが残念です。
付け加えると、こうしたことは消費者の責任でもあるのです。
農業者が「自分のために作る作物」を分けて栽培するのは、
消費者が「きれいな作物」ばかり求めているため。
漁業者が、目的以外の魚介類を海に捨てるのは「儲けにならないから」です。
つまり、流通させる市場関係者や使用する飲食店の勉強不足。
現場に足を運んだ飲食店が本当にブランディングできるのです。
元新聞記者、テレビ局デスク
メディアコンサルタント・荒川岳志