阪急神戸線と西神・山手線の直通運転
1.はじめに
こんにちは。高校生初めての研究テーマは、阪急神戸線と神戸市営地下鉄西神・山手線の直通運転についてです。これまでは主に首都圏の鉄道事情について研究してきましたが、今回は心機一転、関西に目を向けてみました。直通運転の実現性や問題点などを研究していきたいと思います。最後までお読みいただけたら幸いです。
△神戸市営地下鉄西神・山手線 3000形
△阪急電鉄神戸本線 5000系
2.路線のご紹介
みなさんは、阪急神戸線や地下鉄西神・山手線をご存知でしょうか?よく分からない…という人のためにも、まずは両者について説明していきたいと思います。
(ⅰ)阪急神戸線
阪急神戸線(正式には阪急神戸本線)は梅田駅(大阪市)と神戸三宮駅(神戸市)を結んでいます。阪急電鉄の基幹路線の1つで、途中駅でいくつかの阪急他路線と接続しています。また、大阪と神戸を結ぶ鉄道路線はJR神戸線、阪急神戸線、阪神本線がありますが、このうち阪急神戸線は一番北側(山側)を走っています。(北から阪急神戸線、JR神戸線、阪神本線の順)
近年数多くの路線で鉄道に乗る人の数が減少していますが、阪急神戸線の利用者数は未だ微増傾向またはほぼ横ばいにあります。
↑阪急神戸線沿線の主な駅の乗車人員 大きな減少などは見かけられない
※ 一番乗降客数の多い年を太字にしました。
理由の一つとして考えられるのが、阪急神戸線には数多くの人気住宅街があることです。SUUMO関西版の「住みたい街ランキング2017」では1位の西宮北口をはじめ、梅田、夙川、岡本、神戸三宮、御影と、トップ10のうち6つが阪急神戸線沿線にあります。
なぜこんなにたくさんの街が上位にランクインしているのでしょうか?理由としては、「阪急」というブランドが人気を博しているというのもあると思いますが、ほかの理由の1つに沿線の利便性が良いということもあるでしょう。実際、ランキング上位の西宮北口駅、梅田駅、夙川駅、岡本駅、神戸三宮駅にはすべての電車が停車しています(ただし、朝に運行される阪急今津線からの準急を除きます)。日中は毎時6本走る特急電車に乗って短時間で大阪・神戸に向かうことができます。
次の表をご覧ください。こちらは、阪急主要駅から梅田駅までの所要時分・運賃と、並行して走るJR線の所要時分・運賃をまとめたものです。まず運賃面ですが、これは阪急の方が圧倒的に安いことがわかります。次に所要時分ですが、これも阪急がやや優勢という感じがします。JR神戸線の新快速・快速は速いですが、西宮北口駅と西宮駅はある程度距離が離れており、棲み分けがある程度できています。また、JRの新快速・快速は毎時各4本で、なおかつ三ノ宮駅の大阪方面は新快速が発車した3分後に快速が発車し、その後は12分間新快速・快速が発車しないので、阪急神戸線の方が、利便性が高いともいえます。
↑阪急線/JR線の各駅から梅田駅(阪急)・大阪駅(JR)までの日中の所要時分と運賃
※1 所要時分が短い・運賃が安いほうを太字にしました。
※2 阪急はすべて特急電車利用時の所要時分を指します。
※3 JRは西宮駅までは快速、さくら夙川駅・摂津本山駅までは普通、三ノ宮駅までは新快速利用時の所要時分を指します。
※4 摂津本山駅までの所要時分で()内の時間は、芦屋駅まで普通・芦屋駅から接続する快速利用時を指します。(芦屋駅での乗り換え時間を含みます)
※5 三ノ宮駅までの所要時分で()内の時間は快速利用時を指します。
ここまでのまとめとして言えることは、
・阪急神戸線とJR神戸線の沿線では、阪急の方がJRよりも利便性が高い
・したがって、利便性の高い阪急沿線に人気住宅地が集まるのだと推測できる
ということとなります。
(ⅱ)神戸市営地下鉄西神・山手線
西神・山手線は新神戸駅から西神中央駅までを結ぶ地下鉄です。主に西神ニュータウンに住む人の生活の足として機能しているほか、山陽新幹線との乗換駅である新神戸駅と神戸市最大の繁華街である三宮駅を移動する人などにも使われています。また、新神戸駅から先は北神急行と直通運転しており、北神急行の終点谷上駅からは神戸電鉄に乗り換えできるので、有馬温泉方面のアクセスも担っています。因みに西神・山手線は、日中は1時間当たり8本運行しています。またこのうち半数は北神急行に直通し、谷上駅で神戸電鉄の三田行きの電車に連絡しています。
一般には西神・山手線と呼ばれていますが実際には路線が3分割されており、新神戸駅から新長田駅までを山手線、新長田駅から名谷駅までを西神線、名谷駅から西神中央駅までを西神延伸線といいますが、両者は一体的に運行されています。
3.本計画のねらい
今回の主な直通運転実施の目的は、西神延伸線が通る西神ニュータウンから大阪方面のアクセス向上です。
ご存知の方も多いと思いますが、近年日本では人口減少が進んでおり、神戸市でも2014年から2015年までの1年間で約7,000人の人口が減っています。特に郊外ニュータウンでの人口減少は全国的に進んでおり、西神ニュータウンもその一例です。そこで直通運転を行い、西神ニュータウンの衰退を食い止めるのが狙いです。
計画の内容としては、まず阪急神戸線の王子公園駅付近~神戸三宮駅を地下化して、神戸三宮駅で西神・山手線との線路をつなぎ直通運転をする、というものです。実際には他の駅で接続させる案もありますが、それは後程述べることとします。
そもそもこの計画が最初に打ち出されたのは今から10年以上前のことです。2004年に国土交通省近畿運輸局の審議会が検討案の1つとして答申したのが始まりです。ですが当時は地下化するための事業費が1000億円を超えると見積もられており、トンネルを掘る技術も今ほど発達していなかったため、直通運転に積極的な阪急電鉄とは異なり神戸市は消極的な姿勢を見せたので、採用は見送られました。
ですが、2013年に神戸市長に久元氏が就任したことで転機が訪れます。久元市長は就任後、「相互直通運転による地下鉄沿線への影響、技術的な課題の検証も含めてメリット、デメリットを研究したい。」と市議会で答弁し、直通運転の計画が進められることになりました。また久元市長は2017年10月22日の神戸市長選で、直通運転を実現させることを公約に見事当選しました。その後の報道各社への取材でも、具体的な事業費や費用対効果を今年度中にもまとめ、できるだけ早く実現できるように検討する方向を示しています。よって直通運転が実施される可能性は、現状のままでいくと高いと考えられます。
4.直通運転の具体的なルートとは
直通運転する際のルートですが、いくつかの案が検討されています。
具体的には
①新神戸駅で接続する
②三宮駅で接続する
➂長田駅または板宿駅で接続する
の3つがあります。では3つのルートの特徴やメリットなどを見ていきましょう。
(ⅰ)新神戸駅で接続するルート
こちらは阪急神戸線の王子公園駅から西神・山手線の新神戸駅までを地下線で結ぶルートです。主に市道の下に線路を通す計画なので用地が確保しやすく、三宮駅で接続するルートよりも地下空間が広く使えます。そして、阪急神戸線沿線から1本で新神戸駅まで行くことができるので、新幹線に乗るのに便利になるほか、新神戸駅付近が活性化されます。
また、現在の阪急神戸線の王子公園駅~神戸三宮駅間(間に春日野道駅を含みます)と神戸高速鉄道の神戸三宮駅(阪急)~高速神戸駅間(間に花隈駅を含みます)は廃止されるでしょう。ですが、既存の神戸三宮駅の駅設備が撤去されるので、神戸三宮駅の地上空間を再開発できる、というメリットもあります。ただ事業費が大きいなどのデメリットもあります。
ちなみに、新神戸駅は地理的な問題からホームは別で建設される可能性が高そうです。
(ⅱ)三宮駅で接続するルート
このルートが一番有名でかつ有力視されているルートです。王子公園駅から現在の線路に沿う形で地下線を作り、三宮駅で西神・山手線に合流する形を取ります。新神戸駅で接続する案と同じように、既存の神戸三宮駅の駅設備が撤去されるので、神戸三宮駅の地上空間を再開発できる、というメリットがあります。
このルートでは三宮駅のホームをどのように設置するかが問題となります。1つ目は既存の西神・山手線ホームに乗り入れる案で、2つ目は地下に阪急神戸線直通列車用の新たなホームを作り、三宮駅の西側で線路を合流させる案です。
事業費の面では1つ目のほうが安く済ませることができますし、2つ目の駅の西側で線路を合流させる案となると、市街地の下に線路を通さないといけないので事業費はかなり高くなると予想されます。
ただし、1つ目の案では三宮駅の線路容量がパンクするおそれがあります。現在の西神・山手線の三宮駅は二層構造であり、三宮駅で折り返すことができません。よって阪急から来た全ての車両を西神・山手線に直通させる必要があります。また、上下線各1線ずつの計2線しかないので、朝夕の通勤時間帯などで乗客を捌ききれるか問題になります。
その点では2つ目の案だと三宮駅折り返しの電車を設定することができ、線路容量にも余裕があります。ただ三宮駅から西神中央駅方面には場所が異なる2つのホームから電車が発車することになるので利用者にとって不便になるという問題があります。
これまでのメリット・デメリットをまとめると以下のようになり、どちらの案を採用するにも多くの問題が生じます。
↑2つの案のメリット・デメリット
そこで私が考えた1つの案としては、現状の西神・山手線ホームの代わりに新たにホームを設置し、新ホームに西神・山手線も阪急神戸線も乗り入れる、という方法です。事業費はかさみますが、乗客にとって便利であり、折り返し電車を設定することも容易です。また、ホームを2面4線などのようにすれば線路容量にも余裕ができますし、緩急接続をするといったことも可能になります。
(ⅲ)長田駅または板宿駅で接続するルート
こちらは三宮駅よりももっと西で接続するルートです。両線に連絡線を作れば直通運転が可能なので、上の2つの案よりも事業費が少ないのがメリットです。また、阪神電鉄と直通することも可能ですがそれには阪神電鉄との調整が必要になります。デメリットが少ないように見えますが、このルートでは既存の神戸三宮駅を引き続き使用するので再開発ができないという問題があります。阪急電鉄は直通運転の主な目的の1つに駅周辺の再開発を挙げているので、このルートは採用されないという可能性が高いのではないかと考えます。
特徴をまとめると、新幹線のアクセスを重視した新神戸駅接続案、神戸三宮駅の再開発と所要時間の短縮を目的とした三宮駅接続案、事業費を抑えた長田駅・板宿駅接続案といった感じになります。では次は共通して関わるような大きな問題点などを説明していきます。
5.各ルートの問題点
問題点として、利用者の目から考えるとポイントは運賃と所要時間でしょう。今回は所要時間は3ルートでどれもほとんど変わらないので、運賃面で詳しく見ていこうと思います。
はじめの方にも載せましたが、阪神間の輸送では阪急電鉄のほうがJRよりも安いのが特徴です。よって直通運転をする際にも、大阪・神戸~西神ニュータウンまでの運賃を安く抑えたほうが、利用者数が伸びるでしょう。
ではまず、現在の阪急梅田駅・JR大阪駅から西神中央駅までの運賃を示します。
※ 便宜上、三ノ宮駅・神戸三宮駅の名前は三宮駅に統一しました。
JR線経由だと新長田駅で乗り換えられるルートもあるので載せましたが、3つのルートの中でも最も高額なので、このルートで利用する人はほとんどいないと考えます。
大阪駅~三ノ宮駅間は特定区間と言って、JRが私鉄などの競合路線に対抗するためにあえて運賃を安くしている区間なので新長田駅経由との運賃に差が開いていますが、それでも阪急線経由のほうが安いのです。
では、直通運転後の運賃はどのようになるでしょうか?たとえば、三宮駅接続案での直通運転開始後の梅田駅~三宮駅の運賃ですが、現在よりも50~100円ほどは高くかかると予想されます。なぜ、同じ区間なのに運賃が高くなるのでしょうか?その答えは加算運賃が設定される可能性があるからです。加算運賃とは主に鉄道路線が新たに開業するときに、莫大なコストを回収するために運賃にプラスしてつけられるものです。
例としては1998年11月に京急空港線の天空橋駅~羽田空港駅間が地下線で開通したときに170円の加算運賃が設けられ、この区間を通るときには普通運賃プラス170円の料金がかかっています。なお、この加算運賃は莫大な建設費などがある程度回収されたときに撤廃されます。
よって地下線で阪急神戸線が開通したときには加算運賃が導入され、JR線よりも運賃が高くなる可能性があります。
では加算運賃を100円とすると運賃はどのように変わるか、ルート別に表でまとめてみましょう。
(ⅰ)新神戸駅接続案
※1:王子公園駅~新神戸駅間は2.2㎞としました。
※2:阪急線と西神・山手線の境界は新神戸駅としました。
※3:いずれの区間にも加算運賃として100円を上乗せしています。
※4:()内の運賃は大阪駅~三ノ宮駅でJR線を使用した場合の運賃です。
表からわかる通り、新神戸駅へのアクセスは格段に良くなっているものの、三宮駅以遠に行きたい場合には値段がJR線経由よりも高く、特に阪急梅田駅~三宮駅の運賃は現在の1.5~2倍となっています。また、新神戸駅を経由することで三宮駅までの所要時間も伸びてこれでは大阪~三宮の利用客が他社線へ流れてしまうでしょう。
一方で、新神戸駅から北神急行線経由で有馬温泉方面へ向かう場合はこれまでよりも便利に行くことができるでしょう。
(ⅱ)三宮駅接続案
※1:いずれの区間にも加算運賃として100円を上乗せしています。
※2:()内の運賃は大阪駅~三ノ宮駅でJR線を使用した場合の運賃です。
こちらは、JR線経由と比較してもあまり大差はないでしょう。また、加算運賃が90円未満だった場合には阪急経由が安くなるので、運賃面での心配はいらないと考えます。
(ⅲ)長田駅・板宿駅接続案
※1:梅田駅~西神中央駅の運賃には加算運賃として100円を上乗せしています。
※2:()内の運賃は大阪駅~三ノ宮駅でJR線を使用した場合の運賃です。
阪急神戸線内は現行通りなので運賃も安いですが、長田駅・板宿駅経由だと連絡線の部分の加算運賃がかさみ、多数の鉄道会社にわたって運転されるため、運賃が高くなってしまいます。ちなみに、阪神本線に直通して梅田駅まで行った場合も阪急線と同様の運賃がかかります。
運賃に関してのまとめですが、新神戸駅接続案に関しては新幹線や有馬温泉へのアクセスは便利なものの、三宮駅へは高くついてしまいます。また、長田駅・板宿駅接続案では西神ニュータウンへ向かう際に運賃が高くなり、直通運転の本来の目的が達成されていないように思えます。よって、対三宮、対西神ニュータウンのどちらでもJR線に対抗できる三宮駅接続案が一番優れているといえます。
6.結局どのルートがいいのか
ここまで直通運転をする際にどのルートが適切か、研究してきましたが、最終的に私が良いと思ったのは新神戸駅接続案と三宮駅接続案の2つです。三宮駅接続案の三宮駅の構造は私が提案したのが一番良いのではないかと考えます。神戸三宮駅の再開発で建てられた商業施設の売り上げなどから予算を出すことも可能かもしれません。
この2つの案に絞った理由としては、まず神戸三宮駅の再開発が行えるということ、そして西神ニュータウン~大阪のアクセスが便利ということです。新神戸駅接続案では梅田駅~三宮駅の運賃が高く、利用者が減少する可能性が高いと書きましたが、新幹線や有馬温泉方面の利用客、また西神ニュータウンから大阪への利用者が流れ込んでくることを考えたら、トータル的には利用客は変わらないと思われます。また、梅田駅~三宮駅に特定運賃を設定するなどの対策も利用客の減少に対して有効な手段でしょう。
以上のことから、私は新神戸駅接続案と三宮駅接続案が妥当だと考えます。
7.直通運転の実現性
ここまで直通運転のルートなど少し詳しいことについて書きましたが、そもそも直通運転は可能なのか、書いていこうと思います。まずは費用の問題ですが、先述した通り、この直通運転の計画では総事業費が1000億円を超えるとされています。この事業費の多くは王子公園駅から先の地下化によるもので、通常は阪急電鉄が費用を負担します。ですが、阪急電鉄は2005年に導入された「都市鉄道等利便増進法」という制度に基づいて援助を受ける方針であり、この制度によって建設費用を国が3分の1、神戸市が3分の1、残りは借入金で賄われることとなっています。よって阪急電鉄は施設使用料を負担するのみとなり、神戸市に大きな負担がかかっています。ですが、神戸市長がこの計画に前向きであるということもあり、費用面についてはとりあえずは大丈夫であると考えられます。
次に、車両について解決しなければならないポイントがあります。現在、阪急神戸線は車体幅が2750mmの8両編成、西神・山手線は車体幅が2790mmの6両編成が運転されています。もし直通運転をした場合、おそらく西神・山手線内に8両編成の電車が来ることになりますが、西神・山手線内のほぼ全ての駅が8両編成にホームが対応しているので、両数の心配はないです。続いて車体幅の問題ですが、西神・山手線内には阪急電鉄の車両のみが片乗り入れするようにして、ホームに可動式のステップを設け、阪急の車両が到着した際にのみステップを出してホームへの転落を防げば問題ないでしょう。そもそも片側においては2cmの差なのでそのままでもそこまで危険ではないでしょう。
また、車両に関してはいくつか気になるニュースがあります。それは、西神・山手線の車両すべてを新型車両に置き換えるというものです。2018年~2022年の間で全ての既存の車両を置き換える予定です。また、2018年3月には三宮駅でホームドアの使用が開始されています。阪急の車両と神戸市営地下鉄の車両はドア数も同じで、ドアの位置もほとんど同じ位置なのでホームドアを設置しても阪急電鉄は乗り入れることができます。そして新型車両の導入で車体幅を2750mmにして阪急の車両と共通の車体幅にするのではないかと考えられます。このことから、車両面でも直通運転に対して問題はないと考えます。
8.ダイヤ考察
ここからは、いざ直通運転するとき、どれくらいの電車が直通運転するのか、優等列車は設定するのか、など私なりに考えていきたいと思います。ダイヤを研究するのは私自身初なので、下手な研究になってしまうかもしれませんが、あと少しお付き合いください。
現状の日中ダイヤですが、阪急神戸線は梅田駅~新開地駅までを走る特急と梅田駅~神戸三宮駅までを走る普通がそれぞれ毎時6本、西神・山手線は普通が毎時8本(うち4本が北神急行電鉄に直通・谷上駅で神戸電鉄に連絡)が走っています。ちなみに阪急神戸線特急は西宮北口駅で普通を追い越します。
また、現在は普通電車しか走っていない西神・山手線ですが、過去には快速電車が走っており、新神戸駅・三宮駅・新長田駅・名谷駅・西神中央駅のみに停車していました。しかし途中で追い越しができる駅が名谷駅しかなかったのであまり速くなく、利便性が悪かったため廃止されました。ですが、利用者からは快速電車の復活を望む声も多く、直通運転実施の際に上沢駅に待避線を設けて快速運転を行う可能性があることも示唆されています。
Ⅰ日中ダイヤ
(ⅰ)新神戸駅接続案
このルートでは西神中央方面から来る全列車が新神戸駅を通るため、三宮駅接続案よりもシンプルなダイヤを組むことができると考えられます。ただし、阪急神戸線・北神急行電鉄からの全列車が三宮駅に行くとなると毎時16本となり、現在に比べて明らかに供給が多すぎることが分かります。
解決策としては阪急神戸線の普通をすべて新神戸駅発着にして、阪急神戸線特急と北神急行電鉄からの列車を西神・山手線に直通させれば良いと考えます。また、速達化を図るため、毎時2本は西神・山手線で急行運転をして、名谷駅で普通を追い越すのが良いと考えます。この場合の停車駅は過去に走っていたものと同様にします。なお、列車種別の「U」は阪急神戸線に直通しない列車を表しています(今後も同様)。
△阪急神戸線/西神・山手線の時刻表
①日中 現ダイヤ 梅田駅→西神中央駅
△阪急神戸線/西神・山手線の時刻表
②日中 新神戸駅接続案 梅田駅→西神中央駅
(ⅱ)三宮駅接続案
このルートでは三宮駅で阪急神戸線が西神・山手線に合流するので、阪急神戸線への直通電車を増やすと新神戸駅へのアクセスが悪くなってしまうデメリットがあります。よって三宮駅を対面乗り換え可能な構造にして、阪急神戸線の普通をすべて三宮駅発着にして、阪急神戸線特急と北神急行電鉄からの列車を西神・山手線に直通させれば良いと考えます。また、新神戸駅と三宮駅をピストン運行する列車を設定することで新神戸駅へのアクセスも悪くならないようにすれば良いと考えます。三宮駅の構造としては外側を西神・山手線直通、内側を阪急神戸線直通として、西神中央方面に引き上げ線を設けるのがよいでしょう。また、速達化を図るため、新神戸駅接続案と同様に毎時2本は西神・山手線で急行運転をして、名谷駅で普通を追い越すのが良いでしょう。
△阪急神戸線/西神・山手線の時刻表
③日中 三宮駅接続案 梅田駅→西神中央駅
Ⅱ朝夕ラッシュダイヤ
西神・山手線では朝のピーク時は3分おき、夕ラッシュは5~6分おきに走っており、半数強が新神戸駅で折り返しています。
また、阪急神戸線では朝ラッシュは神戸方面へ通勤特急と普通がそれぞれ約8分おき(梅田駅基準)、大阪方面へは特急・通勤特急・通勤急行・普通がそれぞれ約15分おき(神戸三宮駅基準)に走っています。ちなみに神戸方面への一部の列車と大阪方面への特急・通勤急行は神戸高速鉄道に直通しています。夕ラッシュ時は神戸方面へは特急(新開地行き)・通勤急行(神戸三宮行き)・普通(西宮北口行き)が10分おき、大阪方面へは特急(新開地発)・普通(神戸三宮発)・普通(西宮北口発)が10分おきで走っています。
西神・山手線の本数が多いことから朝ラッシュ時は全列車各駅に停車し、三宮駅接続案では新神戸発着の半数程度が阪急神戸線に直通すればよいと考えます。
ダイヤ考察ですが、日中の西神・山手線のダイヤ改善案で、上沢駅の待避線を使用せずともダイヤを組み立てられてしまったことに驚いています。ですが、夕ラッシュ時などでは役立つのではないかと思います。ちなみに優等列車の所要時間は距離や勾配などを視野に入れて、他の地下鉄路線の優等列車の所要時間をもとに設定したため、実際に運行する場合には所要時間が変わる可能性があることをご了承ください。
9.おわりに
今回は実地調査ができなかったため、非常に写真が少ない研究となってしまいました。ですが、個人的に好きな路線の研究だったこともあり、満足しています。文化祭号に向けて良いスタートが切れたのでよかったです。また、阪急神戸線と西神・山手線との直通運転ですが、どうか無事に実施されることを願っています。直通運転したら早く乗りに行きたい私です。では最後ですが、校正してくださった顧問・先輩方、そして最後まで読んでいただいた読者の皆様、
ありがとうございました!
10.参考資料
・国土交通省 www.mlit.go.jp
・神戸市交通局 www.city.kobe.lg.jp/
・阪急電鉄 www.hankyu.co.jp/
・ITmedia ビジネスONLINE www.itmedia.co.jp/
・朝日新聞デジタル www.asahi.com
・神戸新聞NEXT www.kobe-np.co.jp
・タビリス www.tabiris.com
・JRおでかけネット www.jr-odekake.net
おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。