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退屈と惰性と 改

KD ウルトラマグナス レビュー

2021.08.27 09:48

 今回のレビューは、トランスフォーマー キングダム より、

“KD- 11 ウルトラマグナス”  です。

 “トランスフォーマー ザ・ムービー” 、“2010” などに登場したオートボットのナンバー2、

“シティコマンダー ウルトラマグナス” が、

アースモードとなってキングダムで発売されました。


 およそ2年前、シージにおいて、ビークルモードのキャブが変形した中のヒトにキャリアを分解変形させたアーマーパーツを装着してロボットモードを再現するという、オリジナルトイに近いギミックを再現したウルトラマグナス。

 今回はその仕様のままに、デザインをG1アニメ版に近付けての再登場となりました。

 キングダムでの発売ということで、ネトフリで配信されているアニメ版WFCでも再登場するのかと思っていたのですが、出てきませんでしたね。

 もしや、ネメシスプライムになるのではないか? というような憶測もありましたが。

 2010のメインどころとしては、サイクロナスも未登場でしたし、なんでキングダムに振り分けられたのか? というところではあります。

 まぁ、今回のウルトラマグナスに関してはシージ版のリデコですから、そのライン上にあるキングダムでの発売は自然のなりゆき。

 しかし、先頃正式に発売が報じられたスタジオシリーズ コロネーション スタースクリーム で、とうとうあらゆる垣根が取り払われた感もあるので、今後事態はさらに混沌としていく可能性も・・

 レビューしていきます。


ロボットモード

 さすがに基本的なシルエットはシージ(SG)版のままで、G1アニメ版のイメージよりは随分太ましくなっています。

 しかし、思っていた以上に新規造形箇所が多いです。

 具体的には、アーマーパーツでは頭部、胸部、肩が、本体部分も腰部が新規造形になっています。

 あと、各部のタイヤが普通の地球車らしいデザインに変更され、武装でも肩のミサイルの形状が変更されています

 全体にSG版よりもディティールがあっさりと、シンプルになりました。

 なので、プロポーションはともかく個々のデザイン、造形面ではアニメの雰囲気が再現されていると思います。

 ただ、全体の色味はSG版同様暗めで、青い部分が水色に近かったアニメ版とはけっこう印象は違うかも。

 なお、SG版でほぼ全身にわたって施されていたウェザリング塗装は今回はなし。

 脚部アーマーの足部分は少し開いた状態で真っ直ぐ立てるような角度で造形されていますが、もちろん固定ではなくちゃんとスイング可能です。


 頭部アップ。

 普通に造形された目の上からバイザー状のクリアパーツを重ねる感じで、まさにアニメ版の顔が再現されています。

 一応集光ギミックも備わっているのですが、クリアパーツの色が濃いせいもあってあまり効果は出ていない感じ。


 ほぼ箱を重ねただけのような、四角い後ろ姿。

 リアスカートのあたる部分はビークルモードのデザイン変更に伴い、新規造形となっています。

 ただそのスカ-トですが、左右にあるでっぱりが背中にジョイントするアーマーパーツと干渉するため、そのままだと腰の回転ができなくなっています。

 なんでこんなことになったのか・・

 まぁ、アーマーパーツを少し上にずらせば、とりあえずは解決します。

 肩(鎖骨部分)のジョイントを外すことになりますが、胸と背中の2箇所で固定されるのでアーマーそのものが外れることはありません。

 ちょっと首周りが斜めを向きますが、さして不自然でもないですしね。

 しかし、だとしてもなんでこんなでっぱりを造形してしまったのか・・


付属武装

ブラスター

 SG版に付属のものと同じものです。

 ちなみにSG版での名称は、RTー15 ステソスコピック ディテクター。よくわからん名前だ・・

 やはり同様に赤色成型のパーツにシルバーで塗装されていますが、色味はSG版より明るめになっています。

 銃口部分は5㎜穴なので、大型のエフェクトパーツを取り付けることができます。


ミサイル

 肩に装備するミサイルは先にも言ったように新規造形に。よりシンプルな造形になりました。

 ちなみにSG版で該当する武器の名称は、WーHVー1000 シミュラクラム ブラスター。ミサイルじゃないんだ・・

 弾頭部分はやはり取り外すことはできませんが、赤色で塗装されています。

 先端は3㎜軸になっており、エフェクトパーツの取り付けが可能です。


 なお、SG版で付属した脚部に装備していた大型のランチャータイプの武器(Cー30 マグネティック インデューザー ランチャー)はオミットされています。


 それでは、アーマーパーツをパージ。

 アーマーパーツの構成はSG版とまったく同じ。

 基本的に専用装備となるので、ウエポナイザーのようなカスタマイズはほぼ考えられていません。


中のヒト

ロボットモード

 オリジナルトイに準じたギミック再現の一環でリメイクされた白オプ(コンボイ)ことウルトラマグナスの本体。

 もっとも、新旧のアニメでこの形態が登場したことはなかったはず。

 また、オリジナルトイではオプティマスプライム(コンボイ)とこの本体は同じものの色違いでしかありませんでしたが、今回のリメイクではそれぞれまったくの別物になっています。

 SG版からは胸部およびバックパックそしてタイヤが変更されていますが、それ以外の部分は同じ。

 ただ、やはりウェザリング塗装はされておらず、成型色もより明るい白に変更されています。


ビークルモード

 トレーラーキャブにトランスフォーム。

 オリジナルトイでのモチーフは、もちろんオプティマスと同じフレートライナーCOE。

 顔付き(正面造形)はアースライズ版オプティマスのビークルモードに近いものになっています。

 合体時に腰の可動の妨げなっていたでっぱり部分ですが、確かにこれのおかげで車体前面のツライチ感は多少増しているような気はします。

 ただまぁ、あってもなくても・・という感じはしないでもない。

 各部ウインドウやグリル部分などはしっかり塗装されています。

 ウインドウは縁部分まで別色で塗装されていますが、ワイパーはその縁に乗っかっている部分しか塗装されず、アーム部分は白いまま・・

 なお、SG版でも感じていたことですが、車体が微妙に歪んでいます。少ーし前のめりになっている感じ。

 前面が真四角になったことで余計気になります。

 変形パターンもSG版のままなので、後ろ姿のやっつけ具合もそのまま。

 相変わらずロボットモードの腕部が丸見えです。

 ここはなんとかしてほしかったですねぇ。


 では、アーマーパーツを組み合わせたキャリアを連結して。

 側面のパネルパーツも一部新規のものに置き換わっていますが、キャリア単体の印象という意味では、SG版から大きな変化はありません。

 ただ、キャブとの連結方法は変更されており、キャブとキャリアの間隔が広がったことでビークルモードの全長が少し伸びています。

 しかしそのために、この形態でも中のヒトの腕部が丸見えに・・

 そしてキャブの歪みのせいで、横から見るとやはり全体が少し歪んでているように見えますね。

 残念だなぁ。

 キャブとキャリアの間にいわゆるターレット機構がなく、真っ直ぐ一直線のバスのような構造になっている点も変わらず。

 また、キャリアと呼んでいますが、基本的に内部になにも搭載できないところもそのままです。

 では、この後部ユニットはいったいなんなのか・・?

  武装類はキャリアの後部に取り付けるのがデフォルトですが、ミサイルは前のほうに付けたほうがオリジナルのイメージに近いですね。


 腕部丸見え問題については、とりあえずの対処法として前腕アーマーを使うのがベターかと。

 拳に被せるようにしているだけなのでかっちり固定できるわけではありませんが、すっぽ抜けることはないです。


比較画像

 レジェンズ版と。ロボットモードで。

 レジェンズ版もリーダークラス。

 アレンジ強めではありますが、比較的スマートなプロポーションと明るいカラーリングは個人的なマグナスのイメ-ジに近いです。


 ビークルモードでも。

 レジェンズ版はキャブとキャリアが分離することなく、そのままロボットモードに変形します。

 そういう意味では、アニメイメージの変形ととることもできますね。

 キャブとキャリア間のスイング可動も備わっており、キャリア部分のデザインも、むしろ今回のKD版よりG1デザインに近く、一応搭載能力もあります。

 KD版のキャブにレジェンズ版のキャリアというのが、ビークルモードとしては現状もっとも理想的かも。


 基型のSG版と。ロボットモードで。

 先にも言ったように頭部、胸部、肩のアーマー部分、そして腰の肩のミサイルが新規に。

 新規部分ではディティールがシンプルになり、ウェザリングもなくなったことで全体に落ち着いた雰囲気になりました。


 背面も。

 リアスカート部分の造形が変更されたことで、むしろ正面よりも印象が変わっているかも。


 ビークルモードでも。

 大きく変わったのはキャブの面構え。

 あとはキャリアの接続方法と付属武装の違いで、 SG版は全長が短く重武装、KD版は全長が長く武装控えめ、という違い。


 中のヒトのロボットモードで。

 ビークルモードの形状変更で胸部とバックパック、タイヤが新規造形に。

 その他のパーツは共通です。

 KD版では成型色が明るい白になり、ウェザリングもなくなっています。

 後は頭部など、一部塗装が変更されていますね。


 ビークルモードでも。

 かなりおとなしくなりました。


 なお、アーマーパーツはロボット、ビークル両モードで交換することも可能。

 右がKD版の中のヒトにSG版のアーマーを付けた状態。

 左がその逆。

 ロボットモードでは胸部アーマーのジョイント位置が異なるので、そこだけ少し浮いた状態になりますが、肩と背中の2箇所で固定できるのでさほど問題なし。

 ほかのアーマー類はすべてそのまま装着できます。


 ビークルモードでも。

 こちらはとくに問題なく取り付け可能です。

 SS86 ホットロッド(右)、SG スプリンガー(左)と。ロボットモードで。

 スプリンガーとはともかく、ホットロッドとの体格差よ・・

 しかし、なんでウルトラマグナスではマトリクスを継承できなかったんでしょうね。


 ビークルモードでも。

 案外いサイズ感。

 なんとかホットロッドくらいなら中に載せ・・るのはやっぱり無理か。

 ライバルのサイクロナスと。ロボットモードで。

 いいサイズ感です。

 てか、あらためてサイクロナスがでかい・・


 ビークルモードでも。

 こうなると、さすがに表面積で勝るマグナスですが。

以下、画像

 体型的な制限もあるのでよく動くとまでは言えませんが、WFCトリロジーシリーズ基準の基本的な可動はこなせます。

 シージ版では下半身の脆弱さがネックでしたが、今回は股関節に強めのクリックが入り、膝関節の渋みも十分なものになっているので安定したポージングが可能。

 足首スイングがあるので接地性も問題ありません。


 腰の回転については先述の方法で対処可能です。

 スタンド対応穴は背中にありますが、全備重量はかなりのものになるので定番の3㎜ではかなり不安があります。

 幸いすぐ上に5㎜穴も空いているので、そちらを使うほうが安心安全でしょう。


 中のヒトでも。

 アーマーパージで可動性は若干向上。

 あくまで若干なので、立て膝もかなり無理があります。


 ミサイルも装備して。

 スタンド対応穴は股下にあります。


 オートボット緊急出動!

  一応、キャリアと呼んでいる後部ユニット。基本的に搭載能力がないと言いましたが、レジェンズクラスやコアクラスのビークルなら、ものによってはなんとか中に入れ込むことはできます。

 上ならデラックスクラスでも1台くらいは載せられますね。

 ただ、2010のアイキャッチ再現は難しいなぁ。


 血気盛んな若者たちを抑えるマグナスさん。

 思えばオプティマスプライムの下には明確なナンバー2がいませんでしたね。

 ゆえに彼にはなんでも自分でやる、完全無欠なキャラを強いられているような印象がありました。

 それに較べると、ロディマスはわりと人間臭いというか、いろいろと悩みつつ進んでいったキャラというイメージです。

 そんな彼を、マグナスやチャー(カップ)が支えていたという感じかな。


 ザ・ムービーのイメージイラストっぽく。

 これ、完全にウルトラマグナスが主役でしょうよ(笑)。

 ロディマスはビークルモードで後ろに小さく描かれてるだけでしたけど・・どういうシチュエーションなのか? 

 というか、ザ・ムービーの日本版BD出してください。


 VSサイクロナス。

 ともにちょっと問題のあるリーダーを支える苦労性のナンバー2という立ち位置。

 同じ陣営にいれば、よい友人となれたのかもしれない。

 実際、緊急避難的に手を組んだこともありましたね。

 しかしヘッドマスターズ以降、サイクロナスは馬鹿キャラにされてしまい、シックスショットにその地位を奪われます。

 そしてマグナスも、そのシックスショットによって倒されてしまうのだった・・


フルアーマーウルトラマグナス

 今回のKD版のマグナスにSG版のアーマーパーツも追加してみました。

 上半身アーマーは伸ばした状態に前腕アーマーも付けて大型シールドに。

 裏面にグリップとしてランチャーを取り付け、拳で保持できるようにしています。

 ウェザリングがいい感じに説得力を付与してくれてますね。

 脚部アーマーは肩アーマー頂点の5㎜軸で取り付け。展開したパネルパーツがマントっぽい雰囲気になりました。

 SG版の肩アーマーは、その上に挟み込んでいるだけです。

 しかし、本体、アーマーともに5㎜穴はそこそこあるんですが軸が少ないので、単体だと取り付けられるパターンはけっこう限られますね。

 ウエポナイザーを絡めれば可能性は広がるでしょう。


基地モード

 アーマーパーツを使ってそれっぽいものができないかといろいろ考えてはみましたが・・結局これくらいだなぁ。

 脚部アーマーのパネルパーツを拡げてバリケードをイメージ。

 すでにやってる人も多かった印象ですね。

 こちらでも5㎜穴はあっても軸がない、というところで単体では限界かも。

 前腕アーマーなんか前にただ置いてるだけですからね(笑)。

 それこそモジュレーターを絡めるべきでした。


 以上、“KD ウルトラマグナス” でした。


 オリジナルトイと同じ合体変形を採用した、G1アニメデザインベースのリメイク。

 正直なところ、ほとんど変わりないだろうし、シージので十分かな? という気持ちもありました。

 でもやっぱりこの顔なんですよね。

 この、真面目なメガネ委員長っぽい顔(?)こそウルトラマグナスですよ。

 ほかの新規造形部分についても、ディティールがシンプルになり、ウェザリングもなくなったことで当時の雰囲気にかなり近いものになっていると思います。

 ただ、全体のカラーリングがシージ版同様に暗めなのと、がっちりアンコ体型なのでやはりちょっと印象が違いますし、ビークルモードもキャリア部分はほぼシージのままでとくにギミックも盛り込まれなかったしと、なんというか、惜しい・・という気持ちが強いです。

 いっそロディマスプライムみたくコマンダークラスで出ていたら、完全再現もできたのではないかなぁ? 

 シティコマンダーでもあることだし・・

 品質的には下半身の強化など、シージ版よりも向上しているので遊びやすくはなっています。

 一方で腰が回らなくなってしまったのは、本当、なんでだ? とも思います(対処法があるとはいえ)が。

 そんな感じで今回のキングダム版ウルトラマグナス、単体としての出来は十分ではありますが、G1アニメ版を完全再現しているとは言いがたいので、そこを期待すると肩透かしを食らうかも。

 僕個人は結果的に買ってそれなりに満足していますが、すでにシージ版(あるいは(WFC版)を持っている人は無理に買う必要はないかなぁ・・

 というのも、スタジオ86でちょっと警戒すべき前例が生まれてしまいましたからね。

 最初にも言いました、コロネーション スタースクリームですよ。

 戴冠式バージョンのスタスクが86で出るらしい。という噂を聞いたときから、薄々そんな予感はしていたんですが、問題のスタスク、本体はアースライズ版の流用です。

 今のところは拳パーツが開閉可能なものに変更されていることが確認されていますが、おそらくほかはそのまま、王冠やマントなどの付属品を追加したものになるようです。

 これまでも、実写系では過去シリーズからの流用でスタジオシリーズに組み込まれたもの(コグマンやKSIボスなど)はありましたが、86シリーズではG1リメイク系からの流用もありえるという状況になったわけです。

 コロネーション スタースクリームの発表を受けて、ERスタスクをゴミ箱に放りこむというような動画が投稿されたりもしたようですね。

 まぁ、そんなバカは問題外としても、少なからずネガティブな印象を持ったファンはいたことでしょう。

 仮に同じ流用でも、現在入手が難しいようなものの、事実上の再販ならば歓迎もされたでしょうが、擦りに擦ったものの、それもごく一部をアップデートしただけのものとなると・・まぁ、ね。

 で、なにが言いたいのかというと、今後86シリーズでウルトラマグナスが出る可能性もゼロではないのではないか? と思うのです。

 中のヒトは今回のものの流用で、アーマーパーツがビークルモードでアニメデザインを再現したキャリアに変形できる新規造形になるとか、けっこうありえるんじゃないか、と。

 もしそうなったとき、今度はKDマグナスがゴミ箱に投げ込まれたりするんだろうか?

 だったら悲しいな。

 僕自身はコロネーション スタースクリームも買うつもり(まだ日本で発売されるかわかりませんが)ですし、もし想像したような仕様で86版マグナスが出るなら、きっとまた買ってしまうと思います。

 だとしても、KDマグナスを捨てようとは思はないでしょう。もちろんERスタスクも。

 ただまぁ、気持ちはわからないではない。

 捨てる気持ちではなく、なんで最初からそっちを出さない!? というほうの気持ちですが。

 もっとも、それも個人の勝手な想いでしかないでけどね。

 これを経たからそれが出せる、ということもあるのでしょう、たぶん。


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。