Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

映画「Summer of 85」の心地よい不快感

2021.08.26 10:40


・あらすじ


・感想

私がこの映画にタイトルを付けるとしたら

「なぜ君は墓の上で踊れなんて?」

だなと思いました。

このタイトルは

主人公のアレックス目線で

考えたのですが、

それほどこの映画は

アレックスの主観が強かった印象です。

映画は全体的にアレックスが

日記を振り返っているような

描き方でした。

事故で亡くなるダヴィドだけの

シーンはほとんどなく、

つねにアレックスと共にいた

ダヴィドの姿がありました。

内気で文学的な

主人公のアレックス(16歳)。

アレックスの初恋の相手は

2つ年上のダヴィド。

陽気で社交的で

アレックスとは対照的なダヴィドです。

ダヴィドは、はじめてアレックスを

見た時に一目惚れをしました。

ダヴィドが時々、

折りたたみのクシで髪をとくのですが、

私には折りたたみ式の短剣のように

見えてしまう時がありました。

それは、時に狂気的な陽気さを見せる

ダヴィドの姿がそう魅せたのだと思います。

お互い友情を超えて想い合う2人。

あるときダヴィドは正気ではない誓いを

アレックスに求めます。

それは、

―「(親友よ)どちらかが先に死んだら、

残された方はその墓の上で踊ろう」

というもの。

そんなのは出来ない、

と反対するアレックスでしたが

恋心を寄せる友の願いに反抗できず、

ダヴィドとの誓いをたてます。

そしてまるで結婚式の誓いのキスのように

2人は"お墓の誓い"をたてたあと、

キスをして友人から一線を越えたのでした。

私はダヴィドがこの

"お墓の誓い"をたてたのは、

「たとえこの後の自分達が恋人同士になって、

そして別れを経ても親友で居続けよう。」

という願いからだったのかなと思いました。

それゆえまだキスをする前の

友人関係の際にこの誓いを願ったのかな

と思いました。

「儚くて脆い恋人関係ではなく、

揺るぎない親友としての関係で

死んだあとも居続けられますように」

アレックスという存在が

ダヴィドにそう願わせたのかと思いました。

この映画は文章では表現しにくい

ザラザラとした青春の葛藤が

描かれています。

時に芳しく(かぐわしく)、

時に口を噛んでしまったあとに滲む

血の味のような"不快感"があります。

しかしこの"不快感"こそが

青春の葛藤でありもどかしさ

なのかなと思いました。

映画のラスト、

アレックスはお墓の上で踊るのか?   

ぜひご自身の目で確かめて見てください☺️