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論文等:災害と刑事裁判

2021.08.27 02:44

堀江慎司先生が企画された、法律時報の特集「刑事裁判を支える人的・社会的基盤」において、「災害と刑事裁判――パンデミックへの対応を中心に」を執筆する機会を得ました。

上記特集は、私の論文のほか、特集の趣旨説明を兼ねて問題意識を示す堀江論文、裁判員の参加促進のための方策を論じる武石論文、裁判員裁判の観点から見た報道のあり方を論じる曽我部論文、刑事弁護の体制整備について論じる菅野論文、外国人事件における通訳人のあり方について論じる松田論文、そして刑事法を素材とする法教育のあり方について論じる笹倉論文が配されています。

「災害と刑事裁判」では、新型コロナウイルス感染症の流行下で、裁判員裁判等の刑事裁判においてどのような対応がとられたのかを確認しました。また、災害に対する刑事裁判法制のあり方を考える手がかりとして、アメリカ合衆国の中でも、特にカンザス州とテキサス州について動向を紹介しました。

私の理解するところでは、連邦法は、法領域横断的に、特別措置法のような形で新型コロナウイルス感染症のための施策が立法化され、その一環として刑事公判における対応についても規定が設けられました。他方で、カンザス州では、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、州議会が対応するために裁判所に一定の権限を授権し、オンラインでの手続を認める州法を制定しました。これに対して、テキサス州は、もともと災害に対して州の裁判所がどのような対応をするかについて、予め州法が定めており、この州法を適用することによって対応をしました(また、テキサス州では、既に他の論文でも紹介されているように、オンラインでの刑事陪審公判が行われた事例もあります)。これらの内容について、紹介・検討をしています。ご批判いただけますと幸いです。

【お詫びと訂正】

脚注10)で引いた論文執筆者の氏名を誤って書いておりました。脚注10)で引いた文献の筆者は、正しくは以下のとおりです。大変失礼いたしました。深くお詫び申し上げますとともに、以下の通り訂正させていただきます。

(正) 小林英「被告人の権利を「自粛」させる刑事裁判」法学セミナー791号(2020年)30頁以下、32-35頁。

(2021年8月31日追記)