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[Day2] Vasantotsava 2017 in Delhi

2017.02.26 19:27

Vasantotsava 2017 in Delhiについて、引き続きレポートします。1日目の様子は、こちらから。2日目のプログラムは、以下の通りでした。

個人的に、素晴らしく感動したのは、最初のヴィックー・ジーのガダムの演奏、ジャイプル流派の家系のヴィダー・ラールさん(振付がギターンジャリー・ラールさん)、カタック黄金時代からご活躍のドゥルガー・アーリヤさんでした。特に、ドゥルガーさんの踊りは、永遠に見ていられるレベルのものでした♡また、トリのヴィシャール・クリシュナさんは、故スィターラー・デーヴィーさんのお孫さんにあたり、バナーラス流派の次世代を担っています。同流派特有の演目が面白かったです。


まずは、ヴィックー・ジーについて語ります。ヴィックー・ジーは、ガダムという壺のカタチをした南インドの古典楽器のマスターで、今回の「Vasantotsava 2017」のアワード受賞者として招待されて演奏されました。お隣りに座っているお孫さんが、拍子とボール(パーカッションのリズムをヴォイス・パーカッションのように歌うこと)やカヴィト(詩吟)を担当されていました。そして、やはり季節がらシヴァ神についての作品を演奏されました。

南インドの古典音楽は、北インドのそれとは拍子や旋律が異なります。北インドは既に存在する(した)音楽を体系化してきましたが、南インドは理論が先で実現しているところもあり、非常に綿密で細かい構造になっています(私がSOASの大学院で勉強した理解です)。そのため、通常楽団の中に拍子をとる専門の方が座っていたりします。

ヴィックー・ジーは、7拍子、7.5拍子、複雑な配分の8拍子(?)など、とにかく拍子をとるだけで一苦労という拍子に多様なリズムを繰り広げられていました。そして、3つの違う音を奏でるガダムを自由自在に操り、時にはそれらを軽く投げながら演奏するという、色んな意味で超技巧に富んでいながら観客も親しめる演奏を客席に届けてくださりました。(←難しいだけではなく、尚且つ分かり易いというのがスゴイ!!)旋律楽器がなく、パーカッションだけで、長時間観客を惹きつけるのは、本当にすごいことだと思います。以下の映像は、観客との掛け合い♪盛り上がりました!

また、ヴィックー・ジーの手によって、カラーシュラム芸術学院の制作しているCD「チャンド・カーヴィヤ」のVol.10が公式リリースされ、同時にマハーラージ師匠の手によって、今年のカラーシュラムのカレンダーもお披露目されました。

次は、ジャイプル流派のヴィダー・ラールさん。ご本人+3人のダンサーさんで、シヴァ神をテーマにされた作品を披露されました。振付は、義理のお母さまのギターンジャリー・ラールさん。ヴィダーさんは、力強さと柔らかさ両方を上手に使い分けて、正確な舞踊の中に感情表現もされている素晴らしい舞踊家だと感じました。さらに、他3名とのシンクロも良い感じです(デリーのカタック舞踊家たちは揃えるのが苦手/自己主張が強すぎて揃えられないというパターンが多いので…)。ラール家のスタイルは、同じジャイプル流派のガンガーニー家の皆さんの力強くエネルギッシュな踊り方とは異なり、故ドゥルガー・ラールさんのスタイルを継承されていてラクナウー流派の柔らかくて繊細な踊り方に近いと思います。

そして、ドゥルガー・アーリヤさん♡♡♡ドゥルガーさんといえば、言わずと知れたマハーラージ師匠の歴代のお弟子さんの中でも大御所の舞踊家。そして、カタック黄金時代に、シャーシュワティー姐さんと一番多くデュエットを踊られた舞踊家です。ドイツ人の方とご結婚され、長年ドイツで活動されているそうですが、3人のお子さんを持っているとは思えない程、小さくて可愛らしい少女のような方です。旋回を得意とされていて、これまでの舞台を拝見してもヌリッタ(純粋舞踊)が取り柄なのかなと、ずっと信じ込んでいましたが、今回アビナヤやバーヴァ(表現や演劇的な舞)も超素敵だということが、今回のステージで分かりました♡

演目は、トゥムリー♪アージ・シヤーム、10拍子のタラーナー、コンテンポラリー、数年前に大ヒットした映画「バージーラーオ・マスターニー」のマハーラージ師匠作詞・作曲・振付の挿入歌♪モーヘー・ラング・ドー・ラールなどを、多様な作品を生徒さんと一緒に踊られました。どの演目でもご自身の身体能力を活かされた、俊敏な動きはもちろんこれまで拝見した通りに素晴らしいのですが、それ以上に♪モーヘー・ラング・ドー・ラールで見せられた表現が素晴らしすぎて、ため息が止まりませんでした…。すごく微妙な動きが、観客を何度も唸らせ、あちこちから「ワー、ワー」(ブラボー!!)「キャー・バート」(素晴らしい)の声が絶え間なく聞こえていました。私も、思わず何度も感嘆の声をあげてしまいました。(残念ながら同演目の映像はないのですが…カタック・ファンの皆さん、ごめんなさい…!!)

そして、トリのヴィシャール・クリシュナ。バナーラス流派の故スィターラー・デーヴィーを祖母に、故ゴーピー・クリシュナをおじに持つ貴公子です。時折、マハーラージ師匠のもとに習いに来たりもしているので、ラクナウー流派も取り入れられていて、バナーラス流派特有のちょっと荒っぽくダイナミックな動きは控えめですが、それでも片足を大きく上げたり、踵を上げ下げしたりしながらの旋回、サムを目がけたスライディングなど、随所随所にゴーピー・クリシュナを彷彿とさせる動きを見せてくれます。また、最後にターリー(銀色のスティールの器)の上でのフットワークも、この流派特有で面白かったです。

人の往来やネットワークの拡大によって、昔よりも流派の境目が薄くなりつつある今日ですが、是非各流派の家元の家系の皆さんにはそれぞれの流派やスタイルの見どころを、是非次世代に繋げていって欲しいなと思います。

[Day3] Vasantotsava 2017 in Delhiへ続く。)

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