春一番
2017.02.27 11:16
立春を過ぎると、低気圧が日本海を北東に進むコースをとるようになって、この低気圧に向かって暖かい南風が吹き込むような気圧配置になることがあります。その時に強い南寄りの風が、風速8m/s以上吹き、気温が上昇が観測されると各地方気象台は「春一番」が吹いたと発表します。関東甲信・北陸地方から九州では、この春一番を「冬から春へ移り変わる時」の大切な気象変化として発表されているそうです。
「春一番」の語源として、注目されるのは、安政6年(1859年)旧暦2月13日(新暦3月17日)に長崎県五島沖に出漁した漁師53人が、春の強い突風にあい全員遭難するという事件があって、このときから郷ノ浦の元居地区では、春の初めの強い南風を「春一」または「春一番」と呼ぶようになったというものです。いまでは町内の岬に「春一番の塔」が建てられているのだそうです。
その他にもいろいろな説があるようですが、「春一番」という言葉が全国的に認知されるようになったのは、民俗学者の宮本常一氏が、1959年に壱岐で用いられている語として『俳句歳時記』で紹介したのがきっかけとなって、その後、新聞などで使われるようになったためだそうです。
しかし、長野、東北、北海道では、立春から春分までに暖かい強い風が吹いてもまだまだ冬の気候が都度くために「春一番」は、観測しないのだそうです。
同じ現象でも人々の生活に直接影響を及ぼさなかったり、新聞やネットで大きく話題にならなければ、認知されないというのも世の常なのでしょうか。